AFRO FUKUOKA

LUNCH

そのランチ、たべてきました

  • GOURMET
  • 平尾

SPOT NAME

floatanのカレー

¥1,000(税込)

TEXT BY 岡島 佐和

TEXT BY

岡島 佐和
プロジェクトマネージャー

瓶ビールならサッポロ、ワインなら白、つまみなら鳥刺し派です。音楽なら、古いほうがいいですね。 あ、今日ですか?空いてますよ、今夜なら。

20323

くもりの日、午後。

「雨の日とくもりの日と晴れと、どれが一番好き?」「……くもり」「あ、おんなじだ」

小さい頃、天候が悪い時分にはこぞって観ていた某ジブリ映画で、とりわけ気に入って、口走っていたセリフ。小学校5年生の女子生徒である主人公が、はじめて男の子に意識され、下校する道の上のシーン。主人公に「好き」を伝えられない男の子の気持ちを精一杯言葉に込めた、甘ずっぱいセリフでした。

偶然にも、主人公の女の子の名前は同じ苗字の岡島。映画の中の「広田くん、5組の岡島さんのこと好きなんだって」のセリフには、何度振り向かされたか。

でもわたしは残念ながら、くもりの日は好きではありません。晴れの日なら溌剌さ、雨の日ならしとやかさ、というように、一向にくもりの日に良さを見いだせないから。

そして今日はそんな、なんだか気持ちが前を向かない、どんよりくもりの日。それでも人間お腹は空くもので、せめて気持ちの晴れそうなものを口にしたい午後。

そのカレー屋、“平尾村”にあり

くもり空と同じ、グレーのコンクリートが続く街。まるで均一化されたような街の一角に、奥には白熱灯のオレンジと、緑色が映える小路が見えました。平尾の真ん中に突如現れた、明らかに様子が変わったその路に、足を向けざるを得ませんでした。

街の喧騒などなんのその、嘘のように静かなその場所には、いくつかの古民家が身を寄せて、なかば“集落”のような“村”を成していました。奥に進むと、古民家を改装したお店が軒を連ねているではありませんか。コーヒー屋さんに花屋さん、古道具屋さんなど、どれもシャレた店構えに目を向けるのが忙しい。

更に先に進むと、1軒のカレー屋さんに出くわしました。お店の名は「floatan」(フロータン)とあります。ふとお腹が空いていたことを思い出し、ちょっとお邪魔してみることに。

入ると中は、古民家を広々と改装をした開放感的な空間。そとの風景を絵のように縁取った窓も素敵です。ここに来てみて、くもりの色にも“青い”色があることがわかりました。

floatanさんではインドカレーと志賀高原ビールが味わえるほか、コーヒーやソフトドリンクも取り揃え、カフェとしても利用もできるお店です。陶器やアクセサリーの販売、写真展示なども行っているギャラリーも併設されており、1つのお店で“回遊”が楽しめる、ひと味もふた味も美味しいお店。

それではさっそく、主役のカレーをご紹介。

カレーは一皿にチキンカレーとダルカレーの2種類の味が楽しめる一品。チキンカレーはお水・お肉・スパイスと、ペーストになるまで炒められたたまねぎ、ダルカレーはトマト・豆・スパイスだけをシンプルに使いながら、どちらもしっかり丁寧に作り込まれたもの。

食べてみるとシンプルな食材だけで作られたとは到底思えない、味わいの深さに本当に驚かされます。調味料に頼らず味を出すことが、どんなに手間のかかることなのかは、料理をされる方であればみなさんお察しのことかと。

floatanさんのカレーは、日本で言うお味噌汁のような、インドの家庭料理のカレーを意識されているそうです。ご店主の平野さんも毎日カレーを食べていらっしゃるそうなのですが、胃が全くもたれないのだとか。そんなこんなで頂いていたら、じんわりと鼻の下が汗ばんできました。ガツンと辛すぎることもなく、味わいを邪魔しない、程良い辛さがさわやか。

取り扱われている志賀高原ビールは、200年以上続く酒蔵が素材を育てるところからこだわりをつくした珍しい一品だそう。香り高く個性的な風味が特長で、およそ10種類前後をいつも取り揃えているんだそうです。このビールとカレーの上に乗っているパパドという少し塩の効いた豆の香ばしいおせんべいを単品であてに、粋にちょい呑みをされる方もいらっしゃるそう。くうーっ。

すべていただくとお腹はいっぱい。カレーでじんわり全身もあたたかく、落ち着いた空間にも癒され、気持ちは晴ればれとなりました、ごちそうさまです。さてと、また街に戻らなくては。

時はまだお昼、今日はまだ前半戦だったという現実。でもなんだかホクホクと元気になったことだし、いっちょがんばってみますか。グレーも見る場所や気持ちによっては、また違う色を見せてくれるかもしれない。

お店を出ても、それでも続いていたくもり空。駆け出したそとでは雨に打たれるかもしれないし、晴れ間が見えるかもしれない。それでもそとに出てみたら、もしかしたら“広田くん”にも出会えちゃったりして。カレーを食べるというスパイスが、今日という一日を、変えてくれるかもしれませんね。

店名 floatan
カナ フロータン
ランチメニュー ・カレー¥1,000
[大盛り+¥100]
・パパド ¥100
・志賀高原ビール ¥850〜
※価格はすべて税込
住所 福岡市中央区平尾2-14-21
営業時間 12:00~21:00
店休日 月曜日、火曜日、金曜日(※要確認)
席数 10席
煙草 禁煙
Web http://floatan.co/

TEXT BY

岡島 佐和
プロジェクトマネージャー

瓶ビールならサッポロ、ワインなら白、つまみなら鳥刺し派です。音楽なら、古いほうがいいですね。 あ、今日ですか?空いてますよ、今夜なら。

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