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VOICE 来福した旬な著名人にお話を聞いてきました。

  • PEOPLE
  • 2011.9.1 Thu

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vol.26 大根仁

映画監督

INTERVIEW

  • 大根仁[Hitoshi One]
    映画監督
    1968年生まれ。ADとしてキャリアをスタートした後、テレビ演出家・映像ディレクターとして、数々の傑作ドラマ、ミュージックビデオを演出。『劇団演技者。』『週刊真木よう子』『湯けむりスナイパー』など深夜ドラマでその才能をいかんなく発揮し、話題作を連発。業界内外から高い評価を受ける。テレビドラマや舞台の演出を手掛ける傍ら、ラジオパーソナリティ、コラム執筆、イベント主催など幅広く活躍する先鋭的なクリエイター。脚本・演出を手掛けたドラマ 『モテキ』(テレビ東京)が2010年7月より放送開始し大ブレイク。待望の映画監督デビューを映画『モテキ』(東宝)にて飾り、映画界に参戦する。

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STAFF
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普遍的で本能的な欲求を満たすチカラ。

200万部を超えるあの大人気コミックス「モテキ」が、原作者・久保ミツロウ書き下ろしにより映画化!2010年夏、カリスマ的人気を誇ったTVドラマの鮮烈な印象を未だ残す中、その期待を裏切ることなく素晴らしい作品が完成した。映画は豪華キャストを迎え、斬新な映像表現を駆使して描かれるラブコメディだが、普遍的なテーマ「恋愛は人を成長させるのか?」をもとに恋の答えを教えてくれる作品だ。観る人を惹きつけてやまない本作の魅力を、大根監督に伺った。

久保さんは、幸世をそのまんま女性にしたようなタイプですよ。

初の映画監督作品だと伺いました。それに至った経緯を教えて下さい。

そもそも、モテキが連載されていた「イブニング」が好きでした。それで、コミックの三話目くらいかな…小宮山夏樹が登場する回がすごく面白くて絵も良いなと思っていたので、自分のブログにその事を書いたんです。そしたら、久保さんから「褒めてもらってありがとうございます」みたいなメールが来ました。その時は、未だ久保ミツロウが女性という事さえ知らなかったですね。話してみると、久保さんも僕が作ったドラマやバラエティを観ていたと分かり、それに気づいてからマンガを読むと、僕のドラマで出たDVDが小道具として使ってあった。それ以来、メールのやり取りをしながら、「原作が面白いから、いつか映像化の話が絶対来るから、その時は監督指名してね」と言っていました。

久保さんはどんな方ですか?

そうですね。モテキの主人公・幸世をそのまんま女性にしたようなタイプですよ。ただ一つ違うのは、メチャクチャ仕事が出来る!(笑)。

オリジナルストーリーを初めて読んだ時の感想は?

映画化の話が来た当初は、久保さんも僕もTVドラマで達成感があったのでどうしようかと話しました。だから一から作るのは、すごく大変だったと思います。ザックリこんな話にしようかと二人で話しあいながら進めました。まず、久保さんがネーム(漫画の下書きのようなもの)を50ページ書いてきてくれたんですが、そのクオリティが素晴らしかった。完成作品でいうと、Perfumeが流れる前までです。松尾みゆきのキャラクターが、漫画版もドラマ版も上回るほど、ヒロインの魅力がありました。正直、ビックリしましたね、「まだ描く事あるんだ!」と。

森山くんは役作りの的確さがあります。

森山未來さんに映画の演出上、アドバイスしたことはありますか?

TVドラマの時から一貫して、森山くんは役作りの的確さがあります。役を演じていても、どこかで素の自分が見えたりする人もいますが、森山くんは、何しても素の森山未來も残り香も全く見えない。完全に役に同化するし、演じ手としての幅広さを信じてお任せしていました。森山くんは、脚本を読み僕のやりたい事や想いを汲み取ってくれている感じがします。

撮影の合間、出演者の方々とよく話す方ですか?

次のシーンのセリフの意味合いはこうだと決めて、役者を追い込むタイプではないです。セリフや行動については、読めば訳の分からない事はないはず。僕のはアートではないですから。ただ次のシーンの雰囲気を会話で作る事はします。

“幸世の成長”を見せるために、ひとりの新しいヒロインが必要でした。

本作の見どころでもある4人の女性。まず長澤まさみさんの魅力は?

松尾みゆき役の長澤まさみさんは、最初に決めました。今回は、ドラマから映画になり、”幸世の成長”を見せるために、ひとりの新しいヒロインが必要でした。セカンドモテキは、目の前に現れる女の子に次々と手を出す男ではなく、一途な男の恋愛をやりたいと思っていました。それには、これまで登場したヒロイン達の集大成のような、最終兵器彼女といえるキャラクターを作ろうと思いました。ドラマ版の土井亜紀といつかちゃんと小宮山夏樹を全部合わせた女性にしようと、ルックスが相応しい人を選びましたね。僕は、昔から長澤まさみさんとは本当に仕事したかったですし、「目の前に芸能人が現れたら、一番キレイと思う人は誰?」みたいな話では、必ず「長澤まさみが最強だ」と言ってました(笑)。実際最強で、とにかく長澤さんがずっとキラキラしてれば2時間持つと思いました。

麻生さん、仲さん、真木さんも教えてください。

麻生さんは、普段のイメージとして、ものすごく美人で雰囲気のある癒し系美人女優ですよね。でも実は、ものすごく心の中にドロドロしたものを持っている人なのではと思っていました。それで、みゆきが「陽の人」に対して、「陰の人」として選びました。そういう存在のキャラクター、ヒロインを作ってみたいなと。重たい女の麻生さんを魅せれた気がしています。まあ実生活に置き換えると、こういうタイプは見た目が違いますけどね…。仲さんは、映画「純喫茶磯辺」が大好きで、最近の3〜4年でブレイクした新人女優の中では、一番可愛いと思っていました。仕事も的確ですし、単純に興味がありました。作品には10分くらいしか出演しないですが、確実な存在感を残しています。映画の軸は、みゆきとるみ子にあり、途中で冷や水を被せる役として、愛(演:仲さん)や素子(演:真木さん)がいます。じつは、素子というキャラクターは最初男でした。制作途中で森山くんが、「このキャラクター女性にした方が面白くないですか?」と言いだし、確かにあんな辛辣なことを言うSキャラは女性が多いよねと…変更しました。真木さんは、見た目でズバリそう言う感じがする人。あと、真木さんは以前から仕事していたので、他の3人が初仕事だったのを少し元カノ的に来てもらい、僕に安心感を与えてもらいました。会うと、一番緊張するんですけどね(笑)。

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みんな愛らしかったですが、同性に魅力を共感される女性を描くのは大変でしたか?

僕、「SATC」も大好きなんですけど、あれを日本でやるとなると難しいですよね。あれはアメリカで、自分たちの世界観とかけ離れたものだから面白い。あの世界観を、OLがあけすけなエロトークを交えて展開しても、「ちょっと勘弁して」となる(笑)。ただ、そんな事をふまえつつ普通の女性がさまざまな困難がありながら、日々の生活をこなし、楽しく生きている話を作りたいと思いました。映画モテキは、じつは4人の女性の人生観を主題においた、僕的な「SATC」でもあるんです。

J-POP150曲からの選曲は時間がかかりましたか?

最終的には僕が脚本を書きながら歌を選曲していったんですが、曲の候補は久保さんと僕とプロデューサーと若い助監督で決めました。それぞれの世代の好みを聞きバランスを取りましたね。印象的なB’zの曲は、久保さんのネームの時から入っていました。一番大変だったのは終盤で流すもの。レイ・ハラカミ〜くるり〜TOKYO NO.1 SOUL SET〜N’夙川BOYS〜今夜はブギーバッグのスチャダラパー、この流れを作るのが大変でしたね。

監督が好きなシーンは?

優劣はつけがたいんですけどね。ただみゆきと幸世が出会った最初の居酒屋のシーンから、部屋での最初のキスまでの流れは何回観ても飽きないです。つねに新鮮な気持ちで観れるので、未だ僕の中にも童貞マインドが残っているんだなと(笑)。

2011年ナウみたいなバンドを一組入れたくて。

主題歌を歌う女王蜂の魅力は?

ドラマの主題歌の時はタイミング的に、「神聖かまってちゃん」がキテる状況で、上手くタイミングが合いました。だから今回も、2011年ナウみたいなバンドを一組入れたくて。女王蜂は、2年前くらいに、ゆらゆら帝国のライブビデオの仕事で、坂本さんから「神戸にすごく面白いバンドがいるよ」と教えてもらいました。それから気になっていて、たまたま知り合いのディレクターのレコード会社と契約したんでお願いしました。魅力は、まず間違いなくこれまでに観たこと無いバンドだと思います。とくに、アブちゃんは、もう生まれつきのロックスターですよ。ミュージシャン以外の生き方なんて考えられない(笑)。いちファンとしていえるのは、最初からここまでの完成系に届いているバンドは少ないと思います。オシャレだし、スキャンダラスだし、グロテスクでもある。ロックの魅力って、「何コレ?」というグロイ部分も絶対必要だと思います。そんな面を出しきりながらも輝いて見えるのがすごい。

上手くいく恋愛では人は成長しないですよ。

監督自身の思い出深い恋愛エピソードを教えて下さい。

映画にすごく関わる事なんですが、ドラマのモテキが放送されたのをキッカケに仲が復活した元カノとデートした時、映画の脚本がうまく進んでなくて愚痴を言っていたら少し良いムードになって。「あ、これはイケる?」と口説こうとしたら、「じゃあバイバーイ」とタクシーに乗って帰られてしまいました。それなりに傷ついた訳なんですが、とぼとぼ事務所まで歩いて帰り脚本の続きを書き始めました。チクショーっと思いながら、朝4時くらい、煮詰まっていた後半の山場の話に、このエピソードをそのまま使おうと思いました(笑)。ま、さすがに実際は、くるりの「東京」は流してないですけど(笑)。年の功というか、僕はそこで冷静になれましたね。その出来事から、幸世がみゆきにボッコボコに振られた後、事務所に戻り、やっと一人前の仕事をするシーンが生まれました。

映画のテーマにある、「恋愛による成長」については?

上手くいく恋愛では人は成長しないですよ。上手くいかなかった恋愛で成長するんじゃないかな。

男性にはどんなメーセージがありますか?

美しい4人の女性を観に、下心を抱えて来る訳ですよ。彼らには、「見ろ!現実を!」といいたいです(笑)。ちょうどいい言葉としては、仲さん演じる愛の言葉、「女の子にはタイムリミットがあるんだよ」です。未だに女性に対し、モラトリアムなままの男性ではモテません!

福岡の女性へのメッセージを。

一番良い女は、福岡の女性というイメージが僕の中にはあります(笑)。九州女とカテゴライズするのは乱暴かもしれませんが、九州の女性は本当に好きなんです。そう久保さんも九州女です。何か、男を上手く転がしてくれる所がいいですよね(笑)。男の事をすごく冷静に見てくれている。だから映画「モテキ」も、冷静な目で、いろんな事を感じてもらえたら嬉しいです。

INFORMATION

モテキ
9/23〜 全国東宝系にて公開中
© 2011 映画「モテキ」製作委員会

原作:久保ミツロウ「モテキ」
(講談社イブニングKC)
監督・脚本:大根仁
出演:森山未來 / 長澤まさみ / 麻生久美子 / 仲里依沙 / 真木よう子 他

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  • 大根仁[Hitoshi One]
    映画監督
    1968年生まれ。ADとしてキャリアをスタートした後、テレビ演出家・映像ディレクターとして、数々の傑作ドラマ、ミュージックビデオを演出。『劇団演技者。』『週刊真木よう子』『湯けむりスナイパー』など深夜ドラマでその才能をいかんなく発揮し、話題作を連発。業界内外から高い評価を受ける。テレビドラマや舞台の演出を手掛ける傍ら、ラジオパーソナリティ、コラム執筆、イベント主催など幅広く活躍する先鋭的なクリエイター。脚本・演出を手掛けたドラマ 『モテキ』(テレビ東京)が2010年7月より放送開始し大ブレイク。待望の映画監督デビューを映画『モテキ』(東宝)にて飾り、映画界に参戦する。

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