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VOICE 来福した旬な著名人にお話を聞いてきました。

  • PEOPLE
  • 2014.2.1 Sat

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vol.55 三池 崇史

映画監督

INTERVIEW

  • 三池 崇史[Takashi Miike]
    映画監督
    1960年8月24日生まれ、大阪府八尾市出身。横浜放送映画専門学院(元・日本映画学校)卒業後、1991年に監督デビュー。1995年の『新宿黒社会 チャイナ・マフィア戦争』で劇場用オリジナル作品初監督を務める。以来、様々なジャンルの作品を発表し、国内外で高い評価を獲得。多作な監督としても知られ、劇場用映画だけでも50作品を超える。主な作品に『クローズ ZEROⅡ』(09)、『十三人の刺客』(10)、『藁の楯』(13)などがある。

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STAFF
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圧倒的なスピード感で駆け巡るアウトローな男たち

スリルあり!コーフンあり!アクションあり!お色気あり!バイオレンスあり!愛あり!男気あり!正義あり!爆笑あり!ルールなし!!何かと暗い話題の多い昨今のムードを吹き飛ばす、予測不能のジェットコースタームービーが誕生。原作は、これまで"映像化不可能"と言われ続けてきた高橋のぼる氏の大人気コミック『土竜の唄』。警察官なのに超がつくバカ、ドスケベなのに童貞、だけど純粋な正義感だけは誰にも負けない男・菊川玲二の壮絶な極道潜入伝説が、超豪華キャスト&スタッフの手によって抱腹絶倒のエンターテインメント作品としてスクリーンへ。2/15[土]の公開に先駆けて、本作で監督を務めた三池崇史さんが来福。『クローズ ZEROⅡ』や『十三人の刺客』をはじめ、これまで数々の大ヒット作を生み出してきた巨匠と人気脚本家・宮藤官九郎が贈る"5分に1度何かが起こる"超エキサイティングな本作についてアレコレ伺ってきた。

魅力は、主人公の玲二が本当にバカなところ(笑)。

とてもファンの多い原作ですが、今回の劇場版で初めて知ったという方もいらっしゃるかと思います。そういう方々に本作の魅力を伝えるとしたら、どのようなところだと思いますか?

登場人物たちが、警察だから”まとも”でヤクザだから”悪い”という職業における善悪の括りで分けられていないんです。ステータス関係無く、良いやつと悪いやつそれぞれが、全力で暴れまわる。そして、気がつけばみんなが心の中に抱いている夢を叶えてくれるんですよね。そこが一番の魅力だと思います。あとは、主人公の玲二が本当にバカなところ(笑)。でも、絶対に曲げられないところを持っているんです。そういうのって、普通なら社会で生きていく上でいつか捨てないといけなかったりするのですが、「みんなが出来ないなら俺がやってやる!」っていうパワーを持っている男なんですよね。

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本作で監督を務めるにあたり、特に意識したことはありましたか?

意識していたというわけではないですが、撮影中はキャストの方々が楽しみながら演じてくれたらいいなと思っていました。こういう作品は、観ているお客さんに「この撮影は大変だっただろうな」と思われたらダメなんです。せっかく楽しい作品を作るのに、観てくれているお客さんから、そんな心配をされてしまうのって嫌じゃないですか(笑)。それよりは、「この人たちバカだなぁ」、「どうしてこんなに嬉しそうに演じているんだろう」と思って欲しいでしょ。だから、キャストの方々が楽しんで演じられるよう、僕たちスタッフも楽しんで作るよう心掛けていました。

本作を拝見して、セリフ1つ1つにおけるこだわりを強く感じました。私はクレイジーパピヨンの「ヤクザってのは面白くなくちゃいけねぇんだ。」というセリフが特に印象に残っているのですが、監督にとって思い入れ深いセリフがあれば教えて下さい。

台本的に大事だったセリフでも、前後の繋がりで充分伝わるだろうと判断してカットしたところがいくつかあるんです。あえて言うと”セリフ”になってしまうので。本編内で言うなら、岩城滉一さん演じる轟周宝の「てめぇ、今俺に殺気放ったろ」というセリフですね。本当に素なんじゃないかって思うくらいリアルな演技で驚きました。役者の芝居とはまた少し違う”生”な言い回しがかっこ良いなぁと思いました。

どこまでやるかという話は一切しませんでした。

豪華キャストの見事な競演も見どころの1つかと思うのですが、キャスティングについてこだわったところを教えて下さい。

主演の生田さんに関しては、『土竜の唄』の企画段階から既に名前が挙がっていました。彼は、これまで個性が強くて演じるのが難しそうな役が多かったですよね。今回の役どころの場合、個性は強いんだけど、ただバカでスケベなだけだから、男だったら少なからず持っている部分をさらけ出すだけなんです。役者としては楽しんでやれるだろうなと思いました。全裸で洗車機に入れられるなど、過酷なシーンは多々ありましたけどね。彼にとってはそれが今回の役どころだから、嫌とは言えない(笑)。だから、どこまでやるかという話は一切しませんでした。 他のキャストの方々は、僕をはじめスタッフ側の理想を取り入れながら決めていきました。猫沢一誠役の岡村隆史さんなんて、本当にお忙しい方なので、厳しいのではという声もあったのですが、ダメ元で声を掛けさせていただいたらOKで。それどころか、たった2〜3カットの撮影のために毎回何時間もの特殊メイクが必要だったのですが、それにも愚痴1つありませんでした。日頃から忙しさに負けないパワーを蓄えている方なんだなと驚きました。また、これは意識していたわけではないのですが、生田さんと岡村さんはもちろん、堤真一さん、山田孝之さん、上地雄輔さんといったメインキャストの方々がたまたま身体能力の高い人ばかりだったんです。だから、殺陣のシーンのアクションは、本当にハイレベルに仕上がりました。

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役作りに関して、監督からキャストの方々に何か指示を出されることはあったのでしょうか?

僕から「この映画はこういう風にしたい」という意見を役者に話したことは、今まで1度もありません。それぞれが原作や脚本から自分の役どころを解釈してくれているので、僕は彼らが思い描くキャラクター像を表現する場を与えるだけ。ただ、衣裳と髪型は7日間くらいかけて役者と一緒に決めていきましたね。そこで、いろいろなスタイリングを試すうちに彼らが役柄についてイメージを膨らませて、次第に自分からオーダーを出し始めるので、話し合うよりもはっきりとイメージが共有できたんですよ。

僕は、デートで観てもらっても全然良いと思っています。

最後に読者の方にメッセージをお願いします。

この作品は、人それぞれの楽しみ方があるんですよ。僕は、デートで観てもらっても全然良いと思っています。例えば、中学生カップルが人生初のデートでちょっと背伸びをして本作を観たら、きっと一生思い出に残りますよ。大人になって「人生初のデートは何をしましたか?」って聞かれて「映画館で『土竜の唄』を観ました。」って答えたりね(笑)。そんな使い方も良いでしょ?遊びに行く感覚で劇場に足を運んでいただけると嬉しいです。

INFORMATION

大ヒット公開中

映画『土竜の唄 潜入捜査官 REIJI』の公式サイトはこちら
■原作:高橋のぼる『土竜の唄』(小学館「週間ビッグコミックスピリッツ」連載中)
■監督:三池崇史
■脚本:宮藤官九郎
■出演:生田斗真 / 仲里依紗 / 堤真一 / 山田孝之 / 岡村隆史 / 上地雄輔 他
TOHOシネマズ天神 / UCキャナルシティ13 / T・ジョイ博多 / UC福岡 他 大ヒット上映中

© 2014 フジテレビジョン 小学館 ジェイ・ストーム 東宝 OLM
© 高橋のぼる・小学館

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  • 三池 崇史[Takashi Miike]
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    1960年8月24日生まれ、大阪府八尾市出身。横浜放送映画専門学院(元・日本映画学校)卒業後、1991年に監督デビュー。1995年の『新宿黒社会 チャイナ・マフィア戦争』で劇場用オリジナル作品初監督を務める。以来、様々なジャンルの作品を発表し、国内外で高い評価を獲得。多作な監督としても知られ、劇場用映画だけでも50作品を超える。主な作品に『クローズ ZEROⅡ』(09)、『十三人の刺客』(10)、『藁の楯』(13)などがある。

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