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VOICE 来福した旬な著名人にお話を聞いてきました。

  • PEOPLE
  • 2014.12.22 Mon

VOICE TITLE

vol.60 能年玲奈

女優

INTERVIEW

  • 能年玲奈[Rena Nonen]
    女優
    1993年、兵庫県生まれ。ファッション誌nicolaのモデルオーディションでのグランプリを経て、2010年、映画『告白』で女優デビュー。2012年に第37回報知映画賞新人賞を受賞。以降、映画をはじめ、ドラマ、CMなど、その活動の幅を多岐に広げている。主演映画『ホットロード』では大ヒットを記録。

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STAFF
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日本が世界に誇るオタクカルチャーと、シンデレラストーリーが融合を果たした、東村アキコの大ヒット漫画『海月姫』がテレビアニメ化を経て、この冬、待望の映画化。今回は、個性あふれるキャラクターたちが縦横無尽にスクリーンを駆けまわる本作の主人公で、ピュアなクラゲオタク・倉下月海を演じた女優の能年玲奈さんが来福されるとのことで、お話を伺ってきた。
古びたアパート・天水館で、オタク女子友達と共同生活を送る月海ら、ユニークな仲間たちが織りなす、この冬最高のエンタテインメントとは?

試行錯誤しながら、楽しく演技することができました。

特徴的なオタクキャラクターたちが魅力の「海月姫」ですが、原作漫画はお読みになりましたか?

はい。どのキャラクターもすごく強烈な個性で、出てくるのは“どうかしてる”人たちばかり。しかも、その中心が女の人たちだったので、とても楽しんで読ませて頂きました。今回の映画化にあたっては、原作ファンの方にも受け入れて頂けるように、私自身、こだわりを持って月海を演じたのですが、「どう捉えられるかな?」と試行錯誤しつつも、楽しく挑戦することができました。例えば、見た目で言うと、月海のチャームポイントである『三つ編み』とか『そばかす』ですね。髪型に関しては、最初は「三つ編みは付けず、ショートヘアーのままで」と言われてたのですが、原作の月海のお団子ヘアや三つ編みは譲れないと思い、私から「付けたいです」と言いました。最初はきっちりした三つ編みだったりしたんですけど、「もっともしゃもしゃで、ぶっといやつがいいです」と意見を出しながら、どんどん改良していきました。 衣装なんかも、ほんとにパジャマからパジャマに着替えるような感じで、すごく楽でした(笑)。衣装さんが月海にと、古着なども持ってきてくださったのですが「少しくらい穴ぼこが空いていても、月海だったら着そうですよね」とか言って、平気で衣装に着てみたり。そんな、ちょっとくたっとした「何年越し?」みたいなのを意識しました。

非常に個性的なメンツがたくさん登場する本作ですが、お気に入りのキャラクターはいますか?

やはり魅力的になるように頑張らせて頂いたので月海ですね。原作者の東村アキコさんに、フリーマーケットのシーンで初めてお会いしたのですが、その時に「動きも、喋り方も、声のトーンも、月海です」って言って頂けて。それにすごく安心しました。あとは劇場でファンの方々に認めて頂けるかどうかかなと思っています。

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月海のナイーブな部分は、内向させるのではなく放出する表現をしたくて。

今回は“オタク女子”という、クセのある役柄でしたが、クラゲオタクの月海を演じるにあたり、苦労などはありましたか?

役を作り込んでいくという作業はもちろんあるのですが、現場では、カメラが回ると結構自由に演じることができましたね。特にコメディというものは、創り手同士の仕掛け合いだと思っているので、カメラが回った時に「次はこうやろう!」というような、その場で思いついたアイディアも積極的に練り込んでいます。 あと月海の、「自分はダメだ」と思い込んでいるようなナイーブな部分は、内向させるのではなくて、放出する表現ができたらと思っていたので、それは頑張りました。「自分はダメだ」と思い込み、普段はオシャレ人間を見ると石化してしまう娘なのに、一旦集中し始めると周りを置いてきぼりにして突っ走っていっちゃう、切り替えの激しいところが月海の魅力だと思います。実際に友達にいたら楽しそうです。クラゲの解説とか聞きたいかも(笑)。

能年さんの周りには、月海や、オタク集団『尼〜ず』のように、一つのことにのめり込むお友達はいらっしゃいますか?

クラゲだけ、とかそういう人はいないかもしれませんね。でも、好きなものを共有してお喋りするのは好きです。尼〜ずたちが奮闘してドレスを作っている中に参加するのは楽しそうですね。

尼〜ずの皆さんも、すごく贅沢なキャスティングでしたが、共演されてみていかがでしたか?

最初、キャスティングをお聞きしてびっくりしました(笑)。池脇千鶴さんが顔も分からないくらい、もふもふのアフロをかぶっていたり、あんなにおきれいでスタイルも良い太田莉菜さんが、ジャージをインして変なポーズで動いてみたり、篠原ともえさんも、幽霊みたいに影が薄いって(笑)。始まる前からどうなるんだろう?とワクワクしていましたが、実際撮影に入ると、本当に皆さん、いつもとは別人で(笑)。 でも、やっぱり一旦カメラが回り始めると皆さんの役者魂を感じました。皆さんの演技を受けて「こう来るんだ!?じゃあ私はこういう風にしようかな」というのはありましたね。撮影に入る前に解釈し、構築していたものの中で、どうすれば、もっと楽しいシーンになるだろうと考えつつ、共演させて頂きました。

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尼〜ず5人掛かりでも蔵之介ひとりに太刀打ちできない、ダメダメな感じ(笑)。

個人的には、男子禁制の天水館にやってきた蔵子(蔵之介)が男だということをバラさないように必死で月海がごまかそうとするシーンに、尼〜ずたちの特徴が現れているようで印象的でした。能年さんが思う見所はどのシーンでしょうか?

私もそのシーンはお気に入りで、楽しんで演じさせて頂きました。尼〜ずたちの、5人掛かりでも蔵之介ひとりに太刀打ちできない、ダメダメな感じと、それぞれの“どうかしてる”部分が出ていて、作中でも楽しいシーンだと思っているので、ぜひご覧になって、笑って頂けたらなと(笑)。 蔵子に「ここの人たち皆オタクなんだ」と言われて、皆がピシッと石化した時のポーズも、それぞれの“らしさ”が出ていて面白いと思います。

カメラが回っていないところでの裏話はありますか?

映画の冒頭の熱帯魚店の前で、月海が「何ならもう既に死んでおります!」と、敬礼しながら言うセリフがお気に入りなのですが、このセリフを流行らせようとしてました(笑)。例えば、まだ撮影が終わりそうになくて、スタッフの皆さんが一番疲れている時に「何ならもう既に終わっております!」とか言って。これ、ほんとにちょっと流行ったんですよ。撮影自体は本当に長丁場だったので、スタッフの方が「何ならもう既に寝ております!」って言ってくださったり(笑)。カメラが回っていないところも、楽しかったですね。 あとは、私も月海と同じで絵が好きなので、クラゲの絵を描いたりしてました。セットの中にも、実際に私が描いた絵が飾られているんです。美術部の方が飾ってくださって。2〜3枚くらいですね。ぜひ探してみてください。

実際に完成した映画をご覧になった感想は?

尼〜ずが、苦手だったはずの蔵之介と一緒に、てんやわんやして奮闘しているところが楽しいなって。本当に始まりから終わりまで、にぎやかで明るい映画なので、気持ち良く観終わることができる作品になったんじゃないかなと思います。尼〜ずみたいに、他はダメダメなのに、好きなことに対しては信じられないようなパワーを発揮するという人たちが集まったから、クライマックスの大勝負ができたんじゃないかなと思います。尼〜ずだったからこその精神、そこを感じて頂けたら嬉しいです。 あと、試写が始まってから、ちょこちょことご挨拶させて頂いたりしているのですが、お客さんの中には、月海とおそろいのおさげで来てくださる方とか、クラゲの人形を頭に乗せて来てくださる方とかがいらっしゃって(笑)。そんな風に、コスプレして劇場で観て頂いても、すごく楽しいんじゃないかなあと。映像と一緒に参加する形で楽しんで頂けたらなと思います。

最後に、あえて言うなれば、能年さんは“何オタク”ですか?

演技オタク。「なりたい」っていう願望もあるんですけどね。なので、今のお仕事は本当に大好きです。

ありがとうございました。それではAFRO FUKUOKA読者へメッセージをお願いします。

本当におもちゃ箱をひっくり返したような楽しい映画になっているので、“海月姫祭り”みたいに、ぜひお祭り気分で劇場へ観に来てください。よろしくお願いします。

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  • 能年玲奈[Rena Nonen]
    女優
    1993年、兵庫県生まれ。ファッション誌nicolaのモデルオーディションでのグランプリを経て、2010年、映画『告白』で女優デビュー。2012年に第37回報知映画賞新人賞を受賞。以降、映画をはじめ、ドラマ、CMなど、その活動の幅を多岐に広げている。主演映画『ホットロード』では大ヒットを記録。

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