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VOICE

VOICE 来福した旬な著名人にお話を聞いてきました。

  • PEOPLE
  • 2017.9.5 Tue

VOICE TITLE

vol.80 村上虹郎

俳優

INTERVIEW

  • 村上 虹郎
    俳優
    1997年生まれ。2014年、映画「2つ目の窓」(河瀨直美監督作品)にて俳優デビュー、同作品にて第29回高崎映画祭 最優秀新人男優賞を受賞。その後も、第8回TAMA映画賞 最優秀新進男優賞、第38回ヨコハマ映画祭 最優秀新人賞、第90回キネマ旬報ベスト・テン 新人男優賞受賞など、様々な方面から高い評価を受けている。

TEXT BY

後藤 麻与
編集兼スタイリスト

香蘭ファッションデザイン専門学校卒業後、インポートセレクトショップ・広告デザイン会社のマーチャンダイザーを経て、現在は編集を中心にスタイリングまで行う。ファッションをより身近なものにしたいと願う良いお年ごろ。

19914

ふいに訪れる人生の選択から、大切なものを知っていく

映画『二度めの夏、二度と会えない君』は、不治の病を患う転校生の燐と、恋心を抱く男子高校生・智の関係を描いた青春ラブストーリー。村上さん演じる智が、燐の死に際に自分の思いを告白したことへ後悔したことをきっかけとして、ふたりの思い出の場所でタイムリープするということから始まる。学生のリアルな日常とファンタジーが巧く融合した作品となっており、大袈裟かもしれないが一度きりの人生にどう立ち向かうか考えさせられるものとなっている。若くして多数の映画賞を受賞し、活躍著しい村上さんを通しより鮮明に映し出される智という人の人となりや映画の魅力について伺った。

—先日、大名にある「UNION SODA」でトークイベントをやられていましたね。福岡にはよく来られるものなのですか?

今回で3回目、といっても仕事ばかりで観光はあんまり…。そういえば今思い出したのですが、僕が沖縄に1年くらい住んでいた時に1度修学旅行で来ました。熊本・福岡・長崎に行きました。福岡は、太宰府天満宮に行きましたね。外国人が多くてびっくりした記憶があります。空港が都心に近いのでどこからでも来やすい所だし、都会だなと思います。

—福岡のイメージはありますか?

福岡はきれいだなと思います。人やモノや情報がごった返している感じがなくて、洗練されている感じ。福岡の人は「男は渋い」、「女は可愛い」。僕の知っている福岡の男性は、粋な方も多くて、イケメンというよりも、雰囲気のあるあか抜けた印象の方たちばかり。あと食べ物が美味しいのもいいですね。

—以前、AFROでインタビューしたことのある(vol.39)劇作家の藤田貴大さん演出の舞台『書を捨てよ町へ出よう』にも出られていましたね。藤田さんはとてもこだわりの強い方というイメージがあるのですが、一緒にやられてどうでしたか?

楽しかったです。藤田さんは、一般的にとてもストイックに仕事する人という印象が強いようですが、僕にはそんなことなかったです。もちろん演出のための指示はありましたが、ダメだしとかは特になく。ただ藤田さんが主宰する「マームとジプシー」のメンバーは、かなり厳しく稽古をつけられていましたが…。

—そうなんですね…。映画の話に移りますが、本作のオファーを受けた時の率直な感想を教えてください。

制服を着て、ギターを弾くという役は人生で何度もできるような役ではないかなと思ったので、「ぜひ」という感じでした。

—今回の役で自分との共通点はありましたか?

育ちや境遇からすると、共通点はないかもしれません。ただ、本質的な部分で似ている所はあります。僕も不器用なタイプで、人間関係を築くのが上手な方ではなくて。こういう仕事の場では話せるのですが、プライベートでは無口な方だったりするので。

—役作りではどんなことを意識しましたか?

学生の役なので、役を作り込むというよりは自分の中にある無駄なものを削っていく作業をしました。僕は、高校を途中で辞めているのでそこで学生生活は終了しているのですが、この役をするにあたり学校生活や集団社会に対する期待や不安をしっかり受け入れていかないとと意識しました。

—本編の大切なテーマでもある音楽について、智の音楽にかける思いとは?

智は親にも周りにも自分のことを理解してもらえている実感がない、思春期だからこその孤独感を抱えていて、その孤独感から救われたく音楽をやっている人だと思うんです。人生において、智が今いる世界において、彼が一番大切にしたいものが音楽。そして智は、燐の歌声に惚れているわけで、燐と一緒にやっているバンド「Primember(プライメンバー)」が本当に必要なんです。だから燐がこの世からいなくなる近い未来を察して、自分が空っぽになってしまうような錯覚に陥るんですね。燐を失うことだけでなく、音楽を失うことが怖くて現実から逃げたくなるというか…。彼が知っている小さな世界のマドンナが燐ですから、なんとか彼女を守ろうとするんです。

—では少しだけ、村上さんの音楽への思いも聞かせていただけますか?

僕にとっての音楽は、ずっと昔から当たり前にあるものです。あまりジャンルは気にせず、気分に合わせてその時に気になったものを選んで聴いています。好きなものしか聴かない方ではありますね。

—好きな音楽との出会いかたといえばどんな感じですか?

映画を観た時だったり、僕の場合母親が歌手なので小さい頃からいい曲に出会う機会はたくさんありました。僕が初めて、ギターのコードを教えてもらったのはハナレグミの永積崇さんでした。素晴らしいアーティストの方が周りにいたので、意識して何かを探すという感覚ではなかったです。

—音楽の道も可能性としてはあったと思いますが、俳優を目指したきっかけはなんでしょうか。

最初は監督の名前も俳優の名前も本当に何も知らなくて。僕のデビュー作の監督である河瀨直美さんが僕に声を掛けてくれなかったら…どうなっていたか分かりません。

—それでは俳優業をやってみて、今仕事の面白さといえばなんですか?

何でも楽しいです(笑)。作品それぞれで全く役柄が違うので、毎回違う人の人生を歩むことができる。こんな贅沢なことはないと思っています。でも、だからこそその分生半可なことではできないとも思います。また、俳優業は死ぬまでできるものだから、その点もいいですね。

—本作のヒロインである燐さん(吉田円佳)はどんな方でしたか?

円佳さんは「初芝居だから緊張している」とおっしゃっていましたが、それはあまり感じなかったです。やっぱり10年ずっと歌をやってきたというキャリアがあるので、僕なんかよりも色々としっかりされていました。本当に人間力のある方で演技にも迷いがなく、遠慮なくつっこんで来てくれる感じがよかったです。クランクインのシーンが教室で、燐が智に「バンドやろうよ!」というのですが、燐らしく積極的で眩しすぎるくらいの演技でした。智は塞ぎがちなタイプだから、ふたりのテンションのギャップが色濃く出ていて印象的でした。初芝居でいきなり個性をバーンとぶつけないといけなかったから、大変だったと思うのですが、ライブなどで鍛えられた現場力とかエネルギーとかで演じきっていてさすがだなと思いました。

—同年代の方々が集まり、現場も賑やかだったのでは?

そうですね。現場では、監督も制作スタッフも役者もみんな役名で呼びあっていて、すごくいい雰囲気が流れていました。やっぱり役名で呼んでもらえると、その役の顔になる。すごく簡単なことのようですが、案外そういったことの積み重ねが大切で。自分での役作りとは違って、現場でその役に育ててもらえる感じが僕にはとてもよい環境でした。現場は、みんな和気あいあいと過ごしてはいたのですが、僕はわりと「智」な感じでおとなしくしていました。

女性が多い現場で女性の皆さんは終始楽しそうにされていて、そんな女性陣に対し六郎役の山ちゃん(山田裕貴)がちょっかいを出してるという感じでした。“ザ・ムードメーカー的存在”が山ちゃんで、超面白いキャラクターなんです。人を楽しませるのが好きで得意な人でもあって、話が滑ることを全く怖がらない男。僕はそこが好きです(笑)。僕は面白いことをいおうとして滑る時の山ちゃんが好きなので、僕との舞台挨拶では、ほとんど話がそっちの方向になってしまいました。僕が話を滑らせるような感じの振り方をするから、山ちゃんの地元である名古屋でも期待通りの結果でした。

—バンドメンバーは本当に個性のある方たちの集まりのようですね。ただ作品を観るととても一体感があるように思いました。

ありがとうございます。あんなにキャラクター性の強い男女がよく一緒にやっているなと僕は感じていました…(笑)。似たもの同士でまとまっているというよりかは、燐という強いものに導かれている。みんな燐に惹かれているから、ひとつの方向に向かっていけているという感じがありました。

—本作では乙女のゆらぐ気持ちをていねいに描いていますが、本作でとくに魅力的に感じたシーンはどんな所ですか?

うーん…なかなか選べないですが、個人的に好きなのは演奏シーンです。基本的に智は辛いことの連続なのですが、その辛い印象をかき消すくらいのバンドメンバーとの楽しいやり取りはよかったです。台詞でいえば、僕はストレートな燐の「バンドやろう!」が好きです。

—一度目の夏も、二度目の夏にもあった大切なシーンでの言葉ですね。今回はタイムリープするという設定なので、同じシーンが繰り返されることもあり心境の変化によって表情を変えなければならないことも多々ありましたが、演じるにあたって苦労したことはありますか?

今回の作品は、僕の寄りの表情にナレーションが入るようなモノローグが多いものだったので、僕自身はこれで間が持つのか分からなくて、何が正解なのかという難しさはありました。とはいえ、それは監督のみぞ知るものだと思うので、ただ役に向き合うことに集中していました。

—最後に、村上さんが1番観て欲しい所といえばどちらでしょうか。

1番?う〜ん…(笑)。観る人が観たい所でいいと思います。しいていえば、智が辛いことに立ち向かっていたり、バンドメンバーと一緒に楽しそうに音楽していたり、一生懸命頑張っている姿を観て欲しいです。音楽映画というわけではないと思うのですが、音楽の良さがつまったものなのでやっぱり音がいい劇場で体感して欲しいです。音楽が最高なのでぜひ劇場に足を運んでもらえたらうれしいです。

INFORMATION

全国公開中、映画『二度めの夏、二度と会えない君』



不治の病を患う森山燐(吉田円佳)と、燐に恋心を抱く男子高校生・智(村上虹郎)の大切な夏を追う青春ラブストーリー。ある日死を間近にした燐に対し、自分の思いを告白したことを後悔する智が、タイムリープを体験する。もしも“あの夏”をやり直せるなら―。そんな智に起こった奇跡を描く。今最も旬な若手俳優ともいわれる村上虹郎をはじめ、映画初出演となるガールズバンド「たんこぶちん」の吉田円佳がヒロインの燐役を担当。その他共演に「AKB48」の加藤玲奈、モデルの金城茉奈、俳優の山田裕貴ら注目の若手が揃う。





■原作:赤城大空
■監督:中西健二
■脚本:長谷川康夫
■出演:村上虹郎、吉田円佳、加藤玲奈、金城茉奈、山田裕貴、本上まなみ、菊池亜希子 ほか
■公式サイト:http://nido-natsu.com/
T・ジョイ博多 / T・ジョイ リバーウォーク北九州 / イオンシネマ福岡 / T・ジョイ久留米 / ほか全国ロードショー
©2017赤城大空・小学館/「二度目の夏、二度と会えない君」パートナーズ

INTERVIEW

  • 村上 虹郎
    俳優
    1997年生まれ。2014年、映画「2つ目の窓」(河瀨直美監督作品)にて俳優デビュー、同作品にて第29回高崎映画祭 最優秀新人男優賞を受賞。その後も、第8回TAMA映画賞 最優秀新進男優賞、第38回ヨコハマ映画祭 最優秀新人賞、第90回キネマ旬報ベスト・テン 新人男優賞受賞など、様々な方面から高い評価を受けている。

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