AFRO FUKUOKA

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VOICE 来福した旬な著名人にお話を聞いてきました。

  • PEOPLE
  • 2017.9.22 Fri

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vol.82 Pantovisco(パントビスコ)

クリエイター

INTERVIEW

  • Pantovisco(パントビスコ)
    クリエイター
    クリエイター。各代表作を毎日欠かさずInstagramやTwitterへ投稿中。SNS投稿作品への「いいね!」数は月間平均100万回以上。2016年からはSNS外からのオファーが殺到し雑誌「smart」「VOCE」、WEB「オズモール」などの連載をはじめ、アパレル・飲料メーカー・百貨店とのコラボや、各種メディアからの取材や出演など、業種やメディアを問わず活躍の場を広げている。

TEXT BY

しばた たみ
AFRO FUKUOKA ふく編集長

福岡糸島生まれ。カルピスとヤクルトが好きです。カタカナと横文字に弱いです。 へらへら:★★★★☆ 【特徴】どんな感情でも眉毛が下がっており、だいたい目がありません。 http://tamitawi.tumblr.com/

20027

Instagramのフォロワー26万人超。イラストレーター?アニメーター?なのに会社員!?謎多きのクリエイター、 Pantovisco(パントビスコ)に迫る。

Instagramのフォロワー数26万超!若い女の子達の間ではInstagramで"必!フォロー"という存在のクリエイター、 Pantovisco(パントビスコ)。投稿される作品は、ゆる〜く可愛いものから劇画調、時には恋に悩める女の子たちをハッ!とさせてしまう言葉モノまでと…幅広く実にさまざま。一度ツボをつかれてしまうと、じわじわたまらなくなる魅力的な作品はいったいどうやって生まれてくるの?Pantoviscoって一体何者なの?え?実は福岡県出身なの?と、謎多きクリエイターの”謎”を少し暴いてきました。

ーInstagramはいつから、どんなきっかけで始められたのですか?

始めたのは3年前くらいからです。SNSはFacebookやmixiも使っていましたが、完全プライベート用という感じで。写真がメインとなるInstagramがイラストを投稿しやすく、反応も良かったので。当初は個人の趣味としてイラストをちょこちょこあげるくらいに使っていました。そこからtwitter、LINEブログという感じですね。個人の趣味でやっていた頃は、あんまりどういうターゲットに向けてとか、どんな描き方とか特に何も考えずにアップしていました。普段は会社員として働いているので、今のようにいろんな角度からのお仕事やメディアに露出させて頂けるようになったのは完全にInstagramの力だと思っています。

ーPantoviscoさんのフォロワーは女性が多いとお聞きしました。

僕のインサイトは85%は女性なんです。85%の女性の内、7割が20代~30代の女性。次第にそういう方に向けてのクリエイティブ・イラストを発信するようにしてみました。そうすると、そこからめちゃくちゃフォロワー数や反応が加速し始めたんです。丁度Instagramが流行し始めたタイミングだったという事と、Instagramを使っている層と、僕のクリエイティブとの相性がよかった事、また僕がそれを意識して作品を作り上げたっていうところが大きいと思います。申し訳ないことに男性向きのネタはほとんど描かないようになっていきました。

ー数多くのシリーズがありますが、最初のシリーズは何ですか?

『カオス絵日記』という、絵日記のフォーマットに”わたし”と”先生”のやりとりで展開していくシリーズが最初ですね。まだInstagramで誰もやっていない事はなんだろうと考えていた時に、小学生の頃から絵を描くことが好きな少年だったんですけど、人生で絵日記を描く機会が無かったから悔しいなぁ…大人になった今、描いてみようかなぁと思ったのが始まりです。このシリーズが凄く反応が良く、僕といえば『カオス絵日記』の人でしょ?っていう認識がある感じはありますね。

カオス絵日記 2017.9.3 タイトル:「謎の選曲」 #カオス絵日記

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ー使っている道具などにこだわりはありますか?

『カオス絵日記』に関しては、ジャポニカ学習帳にHBの鉛筆で”わたし”が書き、”先生”は赤ペンを使用されています。他のシリーズも自分のこだわりのあるペンで、シリーズごとに使う道具を変えています。

『カオス絵日記』、『やさ村やさお』のシリーズ原画

ー先程、女性のフォロワーさんが多いとのことでしたが”女性”ということで作品づくりで意識されていることはありますか?

女性は男性よりも言葉を大事にしているなぁと感じています。人への伝え方や使うワードを、シチュエーション(その場にいるメンバー)によって、使い分けたりしますよね。なので男性より言葉に繊細で、それに対しての仲間意識を感じている部分があるなぁと思っています。『カオス絵日記』以外、Instagramに投稿しているものは、ほとんど妄想(フィクション)なんですが、言葉のやりとりや、キャラによって温度感をリアルに表現することは心がけていますね。ネタを集めに意識してどこに行くとか、何をするとかはあんまりしないですが、小さい頃からキョロキョロして周囲の会話が気になって聞いたりしていたので、その辺の感覚は冴えてるんではないかなと思っています。普段の生活で耳や目に入ったことが突然作品になることが多いです。そういう意味では種類は違っても、芸人さんのネタ探しに似ていると思っています。みなさんがSNSで何を求めているかというと「美味しいごはん屋さんに行きたい」「おしゃれなモノをみつけたい」「タレントさんの私生活を覗きたい」などがあると思うんですけど、僕はその中のどれもやっていなくて。女性が見て笑えるものとか、ハッと気づかされるものだったり、癒やしだったり、その辺を超微力ながらご提供できればいいなぁと考えて描いています。『やさ村やさしさん』というキャラクターがいるんですが、彼は女性向けに描いた象徴的なキャラクターです。やさしい言葉でみなさんの心に寄り添うような…そういうものの最たるものかなぁと思います。投稿時間も日曜日の夜にアップするように心がけています。

ーなるほど!!明日から月曜日で憂鬱なOLさんたちを、やさしさんが癒やすためですか?!

はい。憂鬱な気分な時にこそ、響く言葉やイラストがあると思うので、投稿時間や曜日、その日のイベントなど…より皆さんの心に届くように、「みんなが欲しい!」と思っているタイミングに提供することが出来るように、世間の雰囲気などを自分なりに分析し、読み取って投稿していきます。朝の10時とか、深夜の3時に投稿しても見てくれる人は限られてきます。みなさんがスマホを触っているであろう、響くであろうタイミングを狙って投稿するように意識していますね。

ー作品を作る上でのコンセプトなどはあられますか?

自分のクリエイティブの根源にあるのは”普遍的なテーマ”を取り扱うことです。僕の作品は、イラストだけでなく、アニメーションまで様々なんですが、各作品に出てくるキャラクターや世界観もバラバラです。登場人物にギャルもいれば、主婦、高校生、宇宙人みたいな得体のしれないキャラクターもいます。なので、より広く、ライフスタイルが全然違う皆さんに響くものを作って、届けたいなって思っています。この「大福くん」っていうキャラクターは、共同制作で作っているものではあるんですが、僕がキャラクターデザインから書き起こし、アニメーションの演出までやっています。

【大福くん】ショートアニメ第1話「だいふくくん、たんじょう」 (YouTubeにて2週間に1回更新中)

これもメインとしてはお子様向けではあるんですけどテーマは同じです。Instagramのフォロワーさんが観ても楽しい、どの年代の人も楽しめるようにっていう意識はしています。動きとかビジュアルは可愛いのに、言ってることが面白かったり、大人なことを言っていたり。僕は正直、SNSで出てきた人間だと思うので、1歩間違えたらSNSで潰される可能性もあるとも思っています。なので、極力誰も傷つけない、嫌悪感をもたないようにかなり気を張っています。ただ、あまりそこに囚われすぎると今度はあまり目立たなくなってくる。その絶妙なラインを意識しています。始めて間もない100人のフォロワーのときも、26万の現在も、”反応”が嬉しいっていうのは変わらないので、楽しい・面白い・かわいい・癒されたなど、反応がリアルタイムで帰ってくるのはSNSの醍醐味だと思います。僕自身Instagramは楽しんでやっています。反応がなくなると…多分僕はやらなくなると思います(笑)。

ー1番人気なものはどのシリーズでしょうか?個人的には『乙女に捧げるレクイエム』好きで。なんかお寺とかの前にある、今月のありがたいお言葉のような…(笑)。ハッと気付かされるというかギクッとしちゃうというか。何度か友達にシェアして送りつけたことがあります(笑)。

あはは(笑)そうですか。ありがとうございます。僕もお寺のありがたいお言葉、立ち止まって読んでしまいます。『乙女に捧げるレクイエム』は書籍化もしていて。定番で人気ですね。僕にとってシェアしたくなる、届けたくなるっていうのは最高の褒め言葉ですね。あとは『リカさんシリーズ』。僕が個人的にリカちゃんの公式SNS(@bonjour_licca)のファンで。すごく面白いんですよね。国民的アイドルのリカちゃんがすごくシュールなことや発言をしていたり。それをオマージュして描いたら、公式アカウントから反応があり(笑)。交流がはじまって、相互フォローしたり、年賀状のやりとりがはじまった感じですね。男女の関わりを描いたものでシリーズになったのは「リカさん」シリーズのみですね。期間限定で『七夕』シリーズっていうものをやっていたんですが、これがすごく反応が良くて。この発想をリカさんとはるおくんでやってみようと思いました。サイン会などでサインする際もこの2人のイラストをお願いされることが多いです。

アイアムリカさん『スイカ割り』 @bonjour_licca のオマージュ 第36弾 #アイアムリカさん

pantoviscoさん(@pantovisco)がシェアした投稿 –

ーすごい。公式から。

タカラトミーのノリの良さのおかげです(笑)。SNSだったから、このスピード感で不思議な交流が生まれたんだと思います。『I am リカさん』っていうタイトルなんですけど。アラサー女子で、歯科衛生士っていう。きらびやかなリカちゃんというよりも等身大の女性を描こうと思って。SNSの面白いところは、必ず「反応」がその場ですぐもらえること。早いときは30秒くらい。フォロワーさんからの反応から次の展開のヒントを得たり、逆にあえて期待を外したりして新たなキャラクターの性格や展開が生まれていきます。

ー私も女性なのですが、Pantoviscoさんは女性なのかな?って思っていたくらい女性の輪の中での温度感を表現されるのがうまいなぁと思っていました。ちなみに女友達が多い方ですか?女性の興味深い生態があれば教えてください。

女友達多いです。女友達と話すほうが面白いと感じる部分があるかもしれません。すごいベタだけど、女性って同じ気持ちになってもらいたい気持ちが強いのかなって思います。みんなで「あるあるネタ」を言って共感し合うというか。悩みがあっても解決しようというよりはこういう風に思えたらいいねって聞くだけでも違うのかな、と。「やさしさん」なんかは特にそうですが他のキャラクターもこちらから押しつけるのではなく、解釈はあくまで見てくれている方の自由だと思っていて。「乙女に捧げるレクイエム」はそれぞれが主役で、それぞれ文字の前後にテーマがあって…。僕は今でこそメディア露出をしていますが、あまり出過ぎないように心がけています。自身の素性をあまり明かしていないということがそれに紐付いてるんですが、プライベートを公表すると作品のカラーが安定しなくなるのかな、って。例えば僕が大失恋した、とか、いいことがあったから、というのを知っていて作品を見るのってちょっと違うのかな、って。なるべく「無色」でいたいなと思っています。

一(笑)。謎の多いパントさんですが、実は福岡ご出身なんですね?

そうです。仕事で上京しましたが、それまでは福岡に住んでいました。

一ではその縁から今回の西鉄バスのキャラクターのお話が?

というよりは、西鉄の方が私のイラストのファンでいてくださって、今回の話を頂きました。あと、二冊目の書籍「乙女に捧げるレクイエム」でサイン会をやる際に、どうしても福岡でしたかったんです。相変わらずずっと地元愛が強く残っているのと、恩返しがしたくって。ファンの方も突然なぜ福岡?ってなると思ったので、それを機に初めて去年の夏に福岡出身だということを公表しました。そしたら1冊目の東京渋谷でやったサイン会よりも多く反響を頂けて、とてもびっくりして、嬉しかったです。95%は女性の方でしたが、彼女に連れ添ってきてくれた男性の方もいて(笑)。福岡の仕事といえば、ソニーミュージックさんと縁があって、大人気の10神アクターの「サカタケント」さんの作詞と、前々から憧れだったアーティストのジャケットを描いてみたいっていうのを実現しました。

一福岡のおもしろい地域性ってどんなところだと思いますか?

福岡を出て思ったのは、男女の関係性ですかね。出張の多い知人も言うんですけど、「九州男児」って豪快で俺についてこい!それに「九州女子」が一歩下がって支えるのが一般的なイメージだと思うんですけど、実は違うのかなって。僕もその血をふんだんに引いているのでそう思うんですけど、実は九州男児って子供っぽくて、いい意味で嘘がつけない可愛いおバカさんというか(笑)。それがいいとこでもあったり、女性を困らせる種になったり。九州の女性は裏でしっかり実権を握っていて、男性を気持ちよくさせて裏でコントロールしてる。九州男児が活躍出来るのは、九州女子がいてからこそなんだなって、本当にそう思います。周りにもそういう男女が多いです。

一(笑)。九州女子はモチベーションが上がります!!

本当にそう思います。そういう意味では福岡の女性って強くて、全国的にもすごく優秀なんじゃないかなって。東京で生活していても、福岡の女性の人気ってすごいです。すごい気が利くし、美人が多いっていうのもありますけど。

一福岡のお気に入りスポットはありますか?

朝倉市の「だんごあん」が好きです。山の斜面に川床があって、緩やかな斜面に互坐があって、とても涼める場所です。3年前にSNSで知って、なんて素晴らしい場所なんだって感動してから毎年行ってます。真夏でも涼しくて、焼いたヤマメとかラムネとかかき氷など、夏を堪能できます。昼寝している人もいたり、とても気持ちのよい場所なので、福岡市からちょっと時間をかけてでも行く価値はあると思います。

一福岡の方にメッセージをお願いします。

福岡はクリエィティブ、デザイン、広告などの質がとても高いと感じます。日本全国・世界でもやれるレベルの人が沢山いらして。僕は福岡を出た身ではあるんですが、そんな地元がとても誇らしいです。福岡出身だというと「おっ」「やっぱり」「さすが」って言ってもらえるんですよね。なので福岡だけで活動を考えていらっしゃる方は、外に目を向けてより広く活動をされると、今よりもうちょっとおもしろい効果が得られるかもしれないと思います。僕の周りにも、物凄い力量があるのに福岡大好きだから福岡でやり続ける、という人がいて。それはそれでとっても素敵なことなんですけど。でもその才能をもっと桁違いの人にお届けするっていうことは、もっと幸せになる人が増えるということだと思うので。僕がたまたま縁があってたくさんの方に見て貰える機会が増えたのと同じように、福岡の人は福岡を大事にしつつ活動を広げてみてはいかがでしょうか…というか。なんて、偉そうな感じで書かないでくださいね(笑)。

一今後の活動の意気込みを最後に聞かせて下さい。

もともと映像作品を作るのが好きなので、アニメと、映画は実写までいきたいなって思っています。あと、福岡でやりたいという気持ちがずっとあって、そんな時に西鉄バスさんのお話をいただいたので、このキャラクターが福岡で愛される存在になってほしいし、そこから更に九州や福岡の人が楽しんでくれる他のコンテンツやキャラクターを生み出していきたいなって。それが一番で二番が映画です(笑)。今後共よろしくお願いします。

一ありがとうございました。Pantoviscoさんの公式サイトではオリジナルキャラクターグッズが購入できるので、是非チェックしてみてくださいね。
officialWEBサイト Pantovisco(パントビスコ)
公式Instagram @pantovisco

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    クリエイター。各代表作を毎日欠かさずInstagramやTwitterへ投稿中。SNS投稿作品への「いいね!」数は月間平均100万回以上。2016年からはSNS外からのオファーが殺到し雑誌「smart」「VOCE」、WEB「オズモール」などの連載をはじめ、アパレル・飲料メーカー・百貨店とのコラボや、各種メディアからの取材や出演など、業種やメディアを問わず活躍の場を広げている。

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