AFRO FUKUOKA

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VOICE 来福した旬な著名人にお話を聞いてきました。

  • PEOPLE
  • 2017.4.18 Tue

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vol.77 たなかみさき

イラストレーター

INTERVIEW

  • たなかみさき
    イラストレーター

TEXT BY

しばた たみ
AFRO FUKUOKA ふく編集長

福岡糸島生まれ。カルピスとヤクルトが好きです。カタカナと横文字に弱いです。 へらへら:★★★★☆ 【特徴】どんな感情でも眉毛が下がっており、だいたい目がありません。 http://tamitawi.tumblr.com/

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目に見えない、思い出す「感覚」のようなものを描きたい。

いまやInstagramのフォロワーは15万人。レトロでセクシーな女の子や男女カップルをシンプルなラインで描き出す人気イラストレーター、タナカミサキ。渡辺通のStereoCoffeeで開催中の福岡初となる個展「喫茶シャレード」の展示準備中に潜入。男女問わず多くの支持をあつめる彼女の作品を拝見しながら活動についてお話を伺った。

ーイラストレーターとして活動するきっかけを教えて下さい。

知り合いからの紹介ではじめて行った熊本PARCOでのXmasイベントがきっかけです。その頃もイラストレーターとしてフリーでやっていたんですが、全然仕事はなく。まだアルバイトしながら活動していました。通常のイラストレーターさんは、コンペに入賞してとかで火がつくことが多いと思うんですが、私の場合、本当にInstagram(@misakinodon)の力が大きいと思います。Instagramからフォロワーが増えていって、Instagramからお仕事の依頼が増えていきました。図らずも現代的な売れ方をしてしまいました(笑)。本当にありがたいです。

ーはじめから今のようなタッチだったのですか?

元々は…それこそ大学時代は全然違うタッチで描いていました。丸尾末広とか伊藤潤二とか、楳図かずおとか…そういう美少女ホラー、エログロの感じで描いていましたね。

以前の絵柄。現在のタッチとは違い、ものすごく描き込まれたイラスト。

ーこのようなタッチになった経緯は?

エログロナンセンスの需要ってものすごく狭いんです。一部界隈では盛り上がりをみせてて受ける絵なので、専門のコレクターさんもいるんです。大学の教授とも、そういう作家になればいいよっていう方向性だったんですが…正直、コレクターさんにだけ知ってもらうのってすごい狭い世界だなぁ、自分には合わないなぁ、と。もっと多くの人に反応してほしくて意識的に絵柄を変えました。洋服が好きなのでファッション誌に出せるような、部屋に飾れるような絵柄がいいなぁと思って。線をどんどん少なくしていって。

ーでは本来の田中さんの絵を知っている方は、今の絵柄だと気づかれなかったり。

そうですね、昔の絵の方が好きだった人も居たり。

ーただ、共通しているのは、どちらも少し官能的というか。

エロのテーマは昔から変わってないです。昔からエロいことばっかり考えてましたね(笑)。作品によっては、より多く昔の要素がはいっていたりとか。

ー直接的ではないんだけど間接的に、想像力をかきたてるエロさ。見る人がエロければエロい程、エロく見えるというか(笑) 。

そうなんです(笑)。私がこの絵柄でエロいこと描くから普通の女の子に受け入れやすいような、田中が描けばコンドームもまぁいいだろうってなるような存在になりたいです。

ー今回の展示のコンセプトは?

「喫茶シャレード」という架空の喫茶店をテーマに描いています。テーマが喫茶店なので、その空間で物語を描くというか。特に「視線」をテーマに描いてるかもしれないです。この作品も対になっていて従業員とお客さんで分けて描いていて。黙々と仕事をするウエイトレスさんと、それに視線を送るお客さんというか。喫茶店という同じ空間に本読んでる人もいれば、黙々と食べてる人もいる。全然知り得ない人と人との人間関係みたいなものを表現したかった。男と女の恋愛だけじゃなく…これ、妄想じゃない?みたいなのとか(笑)。 それで、過去に描いたものと今回の展示で初卸の新作と合計で20点程の展示に。 グッズも販売してるんですけど、期間が長いので、もう一度来て頂けるような仕組みとしてグッズの内容も途中から変えています。

ー福岡での活動といえば福岡の古着屋Miss wednesdayでも作品をご提供されていますよね。

月1で、お店のDMのイラストを担当させてもらっています。お店に行って買い物したら、DMがもらえる仕組み。おおまかなテーマが高校を卒業して、大学生になって、どんどん福岡でおしゃれになる女の子の一年を描こうと思っています。今が3回目で、これから恋愛したり、失恋したりする予定です。

ー今、Instagramをはじめ、沢山の女の子たちがタナカさんのイラストに反応しているのに対してはどう感じていらっしゃいますか?

私は人間が描きたくて描いてるのではなくて、目線があっているとか、こことここが触れ合っている時の気持ちとか、そういう見えない感情などを思い出して欲しいというか。「あの時のアレ」っていう、目に見えないものを思い出すようなものを描きたいというのがコンセプトなので、感想や実際にお会いした時に「キュンキュンしました。」「初恋のあの瞬間を思い出しました。」とか言って頂くととても嬉しいです。

ー宇多田ヒカルですね(笑)。

(2人)タバコのフレーバーがした(笑)。そうそう!そういう感覚です。ただ、それが今たまたま人と人との触れ合いだったりしてるんですけど、いずれまた違うものを描くかなと思ってもいます。

ー憧れている人、意識している人はいますか?

昔の女優さんとか、昔のアイドルとか…結構昔のことに思いをはせるのが好きです。私の世代ってその頃は産まれてもないし、全然知らないからこそキラキラしてる。リアルタイムで知らないからこそ夢があるじゃないですか。それが好きで、割と昔のものを追っていたりしますね。 日活ロマンポルノとかの女優さんとかも好きで、写真集買って参考にしてます。ポーズだったり…昔の写真集の女優さんたちは、すごく愛嬌があるんです。自分の内面が出ているというか。なのでたまんねぇな〜って掻き立てられますね(笑)。神保町で変な写真集を買うのも好きです。最近見つけたのはYOGAの写真集で「チャクラ」っていう衝撃的な表紙のやつがあって。中身を見れないんですけど、ジャケ買いしてしまいましたね。結構高かったので勇気がいったんですけど、大満足の内容でした(笑)。

ーでは、今度たなかさんの新作にヨガっぽいものがでたら、コレはチャクラインスパイヤだなぁと。

そうですね。チャクラインスパイヤの作品ですね。完全に。(笑)

チャクラの内容についてポーズを交えながら解説してくれるタナカさん。人柄もとてもチャーミング。

ー最後に、見に来てくれる方にメッセージをお願いします。

思う存分、妄想してもらいたいです。視線とか、人間関係とか自分の中で物語を作って見てみると、より楽しんでいただけると思います。

ーありがとうございました!

▲今回の個展のみに発売されたマグカップ。様々な男女が対になっている。(現在売り切れ)その他限定コラボグッツも発売中。※展示期間中

▲個展は4/23まで開催中。限定発売のメロンソーダとミルクセーキはなんともフォトジェニックで乙女心を擽られます。

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  • たなかみさき
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