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  • 2022.12.27 Tue

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圧倒的没入感!!「バンクシーって誰?展」レポート

TEXT BY 徳満 梨紗

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徳満 梨紗
編集ライター

鹿児島出身。美術、料理、DIY。多趣味には24時間では足りません。 猫が寝床をつくるような部屋作りを日々実践中。

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全国5都市で約50万人を動員した「バンクシーって誰?展」が福岡初上陸!

“壁に絵を描く”ストリートアート界の異端児「バンクシー」の代表作を“体感”しながら鑑賞する、まるで映画のセットのような美術展。顔を明かさず突如街に現れては作品を残していくゲリラ的な表現活動は、SNSなどを通して瞬く間に拡散し、全世界で話題を集めています。これだけ有名なアーティストでありながら謎多き彼の作品は、誰もが目を逸らしてしまうような現代の問題に鋭くアートで切り込むグラフィティーアート。巧妙かつユーモラス、そして大胆な表現にロマンとかっこよさを抱かずにはいられません。そんな世界を魅了するバクシー作品を一挙に観覧できる展覧会に行ってまいりました!作品を見るというより体感すると言った方がしっくりくる、そんな没入感満点の展示内容。福岡展公式サポーターを務める筧美和子さんを招いた内覧会の様子をレポートします!福岡での展示は2023年3月26日まで!これを逃すと絶対に後悔しますよ!



バンクシーって誰?

自作に約1億5000万円の値がついたとたん、仕込んでいたシュレッダーを作動させて作品を切り刻んだり、コロナ禍のロンドンの地下鉄でくしゃみをするネズミを描き込んだり…。自分の作品をきっかけに大騒ぎをする人たちをあざ笑うかのように、ゲリラ的な表現活動を繰り返している覆面アーティスト、バンクシー。
イギリスのブリストルで少年時代を送ったと考えられている彼は、1990年代よりこの街を舞台にストリート・アートを描き始めた。2005年メトロポリタン美術館や大英博物館などの有名美術館に、許可なく自作を展示し始めた頃より広く知られるようになり、近年は遊園地のプロデュースや映画の監督なども手がけている。 移民や人権問題、大量消費社会への警鐘など、政治的・社会的テーマを積極的に取り上げることでも知られるバンクシーは、SNSを戦略的に使った活動でますます注目されているグラフィティー・アート界のカリスマなのだ。

街角(ストリート)をリアルに再現!


本展は、世界各都市を巡回し人気を博した「ジ・アート・オブ・バンクシー展」の傑作群を、日本オリジナルの切り口で紹介する意欲的な展覧会。活動の主戦場である“ストリート” に焦点を当て、リアルに再現された街並みを再現!テレビ局ならではの完成度の高い再現も見どころ!



落ちているゴミにすらこだわりを感じる…。リアルな錆を施すための職人もいるんだとか。


3大地域をめぐるアートトリップ

バンクシーの活動の3大地域と言われるヨーロッパ、アメリカ、そして中東の街並みをリアルサイズで再現!故郷イギリスのブリストルからロンドン、映画にもなったニューヨークでの活動や自主企画展で一世を風靡したロサンゼルス、そして幾度も訪れては作品を残し続けている中東をめぐる展覧会。まるで旅をしているような感覚です。



2020年にブリストルで発表された《Aachoo》。急な坂道に描かれた本作では、老婆が大きなくしゃみをし、口から入れ歯も飛び出している滑稽な様子が描かれていますが、これはコロナ禍にマスクをつけず飛沫やウイルスが拡散することへの警鐘とも考えられています。

会場には至るところにネズミの影が!バンクシー作品にも度々登場するネズミを見つけてみて♪


2006年にアメリカでは初となる、大型規模のエキシビション「Barely Legal」を開催。その個展で発表され、本物のインド象を展示した 《Barely Legal》を再現!当時、実際には37歳の生きたインド象「Tai」の全身を赤色と金色でボディペイントしたもので、これは「Elephant in the room(部屋にいる象)」という英語の慣用句を用いて「問題があっても、誰もそれに触れようとしない」という意味が込められています。特に「世界に貧困が眼前にあるのに、多くの人が何も行動を起こさない」状況に対してのメッセージと考えられている。当時、生きた象にペイントするという前代未聞の展示で物議を醸した話題作です!

2017年、バンクシーがパレスチナ自治区のベツへレム市内にオープンした「The Walled Off Hotel(壁で分断されたホテル)」を再現!イスラエル政府が築いた高さ8m、全長700kmにも及ぶ分離壁の前にあえて建つこのホテルは「世界一眺めの悪いホテル」と皮肉られていますが、バンクシーやその仲間アーティストが担当した内装とあってファンの聖地として大人気の観光地となっています。本展では、分離壁にバンクシーが描いたとされる作品の一部を窓から見える風景としてピックアップ。「世界一眺めのいいホテル」になっています!

タバコの吸い殻など、ついさっきまで人がいたかのような演出。



プライベート・コレクター秘蔵のオリジナル作品を一挙公開!

街なかや美術館でも通常は見ることのできない、プライベート・コレクター秘蔵のオリジナル作品を一挙公開!バンクシーに代わって作品の真贋を認証するペスト・コントロールにより本物認定された作品の数々で、バンクシーの足跡とその謎に迫ります。
会場で街並みごとリアルサイズに再現するストリート作品と、コレクターからお借りする額装作品の比較展示は、本展でしか見られない貴重な体験!キャンバス、段ボール、鉄板、木板、紙、石の彫刻、リトグラフ、ポスター、アルバム・ジャケットほか、バンクシーの作品制作風景を収めた写真を含め、多種多様な表現手法や出展品にもご期待ください!

特別出展として、イギリスのファッション・デザイナーで、アートに造詣が深くバンクシー好きで知られる、ポール・スミス氏からお借りする希少な油彩画《コンジェスチョン・チャージ》も必見です!


バンクシー《コンジェスチョン・チャージ(混雑税)》 Congestion Charge 2004年 ポール・スミス蔵 ©
のみの市で販売されている無名の画家が描いた作品に、描き足すことで意味を変えてしまうデトーナメント(転用)の手法を使ったシリーズの一つ。本作は、田園風景の油彩画に、ロンドン市内への車の乗り入れを料金の徴収によって制限し渋滞の解消をめざす「コンジェスチョン・チャージ」の対象となる区域を示す「C」の標識を描き加えている。


福岡展公式サポーターを務める筧美和子さん来福!


他の美術展とは異なる圧倒的没入感、細部まで表現された街並みなどエンターテイメント要素が強く、新感覚な展示になっています。ぜひ足を運んでいただけたらと思います!



数々の美術展を観てきましたが、ストリートアートをここまで体感できる展示は初めてでした!世界各地で描かれるバンクシー作品を一度に観られる圧巻の空間!作品に込められる意味と想いを知ることで、より一層バンクシーの魅力が深まりました。バンクシーを知っている人も知らない人もぜひ訪れてほしい!ここでしか味わえない貴重な体験を会場にて。



INFORMATION

「バンクシーって誰?展」福岡展
会期
2022年12月17日[土] ~ 2023年3月26日[日]※計81日間
※休館日:水曜日(年末年始休館:2022年12月26日(月)~2023年1月1日(日))
時間
10:00~18:00 ※最終入場は30分前
【ナイトミュージアム】毎週金曜・土曜 20:00まで開催
場所
福岡アジア美術館 
福岡市博多区下川端町3-1リバレインセンタービル7・8F
入場料
一 般 : [平日] 2,000円 [土日祝] 2,200円
大学・専門学生 : [平日] 1,700円 [土日祝] 1,900円
小学・中学・高校生: [平日・土日祝] 1,200円
★金曜・土曜アフター5チケット 1,700円 ※金曜、土曜17:00~19:30入場限定のチケットです。
★グループ割チケット 1,900円 ※当日3名様以上のグループでの入場が可能な方限定のチケットです。 ※平日・土日祝共通料金。
★お得なチケット
※「中・高校生、大学・専門学生」料金でご入場の際は、学生証や生徒手帳などのご提示が必要となります。
※身体障害者手帳、精神障害者保健福祉手帳、療育手帳の提示者とその介護者1名、および特定疾患医療受給者証、特定医療費(指定難病)受給者証、先天性血液凝固因子障害等 医療受給者証、小児慢性特定疾病医療受給者証の提示者、および未就学児は観覧無料
WEB
https://whoisbanksy-fukuoka.jp/

TEXT BY

徳満 梨紗
編集ライター

鹿児島出身。美術、料理、DIY。多趣味には24時間では足りません。 猫が寝床をつくるような部屋作りを日々実践中。

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