VOICE 来福した旬な著名人にお話を聞いてきました。
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インテリア・デザイナー
福岡の情報ポータル&ウェブマガジン
片山さんは、空間全体、素材のバランス、動線、空気感を把握するために、CGではなく模型をつかうそうだ。そんなアナログなツールに徹底する氏に、クライアントへの想いや仕事の仕方などを伺った。「会話上手な人はユーモアセンスがある」とはよく聞く話だが、まさにそのとおりだと感じた。
「抜け感」のある人が多いですね。いい意味で力が抜けているような気がします。東京とも似た、都会的なイメージがあります。
一言でいうと、流行っている店です。入店した時に感じる「いいムード」が好きですね。僕がデザインをさせていただく場合でも、空気感や雰囲気をつくることが大事だと思っています。そして、新鮮な気持ちを抱かせることも必要。見たことはないんだけど、きっとあったらいいだろうなと思える店。僕は、自分も行きたいと思う店をつくりたいです。
嬉しいですね。僕は、昔からファッションやカルチャーが好きで、お店をつくる全ての要素に興味がありました。なので、ファンの目線でデザインすることが多いんです。人は好きなことには、嘘がつけないですし、ブランドイメージの理想型もそこから生まれると思います。
LOOPWHEELERは、東京と福岡の2店舗をデザインさせていただいたのですが、一般的に表舞台に立たないような機械にスポットをあてました。ループウィールとは、世界的にも希少な吊り編み機のことです。それは、最良の風合いに生地が編めることに加えて機械としても格好いいものなのですが、人知れず隠れた存在なんです。ここでは、「この人は偉い人なんですよ!」とあえて吊り編み機を示すことで、存在感をアピールしたいと思いました。また、高級スーツのように贅沢なものを扱う型でスウェットを並べたり、福岡店ではイームズチェアのファブリックをスウェットでカスタマイズしたりしています。最初の東京のお店で吊り編み機を店内にディスプレーしたいと言った時、オーナーには、「台数の少ない貴重な機械だから難しいよ」と言われたんです。ただ、商品のできる過程を見てもらったり、体験してもらったりすることで、スウェットの良さが絶対伝わるからと理解していただき、2店舗目の福岡店にも入れさせてもらいました。
カジュアルなイメージが強いアイテムなので、付加価値をつけなければと思いました。LOOPWHEELERのものは、時間や手間をかけてつくられた上質なスウェット。知れば知るほど、愛着がわきます。それをつくる吊り編み機には敬意を表し、ショーケースでディスプレイしました。そんな想いや本物を知ることで、このブランドをもっと理解してもらえると嬉しいです。ファッションは、着る人が自信を持つための道具だと思うんです。自分が気に入ったものを着るというのは、モチベーションが上がりますから。
BAPE®の商品は相当人気が高くて、入手困難によりすごい価値がついていました。スニーカー自体は買うことができない程高いものではないかもしれませんが、価値という意味ではスニーカーもジュエリーも同じだと思うんです。そんな希少価値を見せようと思いました。その裏側では、カジュアルファッションのイメージを変えるためのジョークでもあります。ガラスケースにまで入れて、大層な扱いをするなんて、少し冗談っぽいですよね(笑)。そんなちょっとした違和感が人の気を引きつけると思いますし、希少価値がブランドの人気の高さを物語るコミュニケーションにつながればと思いました。
そうですね。UNIQLOでは、商品を沢山積み上げました。ブランドによってイメージやコンセプト、強みが異なるので、それに伴いデザインの答えも変わります。UNIQLOに出来ることは何かと考えた時、それは圧倒的な商品量とバリエーションを見せる事だと思ったんです。そこでUNIQLO Soho New Yorkでは、天井まである棚にカシミヤセーターをびっしりと6メートル積み、迫力のある壁を作りました。そうするとまるでアートみたいにきれいなんです。時には、極端な位の表現方法の方が面白いと思います。
いつも聞くのは、ブランドを始めた頃の想いや今後どうしていきたいのかということです。それにブランドの強みも確認します。オーナーやデザイナーと直接お話させて頂くんですが様々な角度から質問をして、ようやく感覚を共有できた気がしますね。例えば、同じ赤が好きな人でも、どんな角度から見た赤が好きなのかを知ると、デザインの答えが変わってきます。Tシャツやジーンズなど、同じアイテムをメインとしているブランドはいくつもあります。だから、ブランドの違いを見極めるために、意外と些細なエピソードが役立ちます。最初は、照れから話さなかった方でも、話し込むにつれて率直な意見や本音で話をしていただけます。最終的には、昨日観た映画の話や好きな音楽の話をすることもあります。やはりどの方もそれぞれこだわりを持っているので、人と違った見せ方をしたいという思いがあり、結果的にはコンセプトが同じものになることはないんです。
時間や空気感が記憶に残る空間であるかどうかが求められると思います。人が発した言葉や動作をはじめ、そのお店に行ったときのシチュエーションの全てが絵として蘇ると、いつかまたそこに行きたくなると思います。僕は、そういった記憶が沢山つまった空間をつくることに意味を感じています。
2010年12月、50プロジェクトを網羅した国内初となる作品集「WONDERWALL ARCHIVES 01」が刊行。その発売を記念し、模型展覧会「WONDERWALL ARCHIVES 01 -10 PROJECT MODELS-」が、東京、福岡にて開催された。2011年春には、名古屋パルコでも開催予定。
※福岡での模型展覧会は、2011年1月4日迄開催中。
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