VOICE 来福した旬な著名人にお話を聞いてきました。
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ミュージシャン・ピアニスト
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大きなスクリーンをバックに、金髪の女性が楽しそうにピアノの鍵盤を弾く。スクリーンには、様々な楽器と戯れる楽しそうな彼女の姿が次々と映され、それぞれの音色が一つの音楽を形成していく---。
誰もが目にしたことのあるあのCM、GoogleChromeのCMの中でいきいきと音楽と戯れ、音楽を表現する彼女の名前は世武裕子さん。幼少からピアノばかりの毎日を過ごし、フランスへ留学。フランスでの名誉ある評価と共に帰国した後は、くるりのツアーやトリビュートへの参加などでぐいぐい日本での活動の場も広げてこられた世武裕子さんが、この夏「AFROCK FESTIVAL '12」の出演で遂に福岡初ライブが決定!
福岡での初ライブとなる世武さんに、一足早く彼女の音楽への、そして彼女が想いを強く持つ映画音楽の世界のことを伺ってきた。
世武裕子(以下、S):シガヴェッツはなんでつながったんだろう。私あんまりそういうの覚えてるタイプじゃなくて(笑)お酒も飲まないし、飲み会とかそういうのも私あんまり行かないんですよね。まぁそれはともかく、シガヴェッツとの出会いはシガヴェッツに聞いてもらうとして(笑)、でもシガヴェッツと知り合えたおかげで福岡に2回も来れるような縁ができて感謝してますね。
S:そうなんですよ、彼らのレコーディングに呼んでくれて。1枚目と2枚目の両方にちょろっと参加させてもらってるんです。幹宗くん(The Cigavettes)はロックなピアノをかっこよく弾く人が絶対いいやろうと思ってたんですけど、彼かわってるから、なぜか私に参加依頼をしてくれたみたいで(笑)ピアノやってる時にも何度か来てますし、ほんといいところですよね福岡。福岡推しですよ(笑)
S:あれは偶然iTunesで発見されて、オーディション受けることになって、トントンと進んでいつの間にか出てたみたいな感じなんですよ。
S:いやいや、全然弾けなくて。楽曲のイメージはつくってたんですけど、その音を出すためにギターはおさえる場所とか聞いたりして(笑)ほんとはもっとかっこよく弾ければよかったんですけど、難しくて。それ以外の楽器もほとんどそんな感じです。
S:たぶん神奈川かな。ゲリラではなくて、一般の人もいましたけど、ほとんどがしっかりと徹底した演出があって、きっちり作ってるんですよ。すごいおしゃれな感じですよね。あれはCM監督の演出力がすごいんですよ。
S:あぁ、それは嬉しいですね。私、なんだか恥ずかしくてミュージシャンとか自分で言えないんですよ。音楽家っていうのもあるかなと思うけど、音楽家っていうのも「じぶんなんぼほどなん」みたいなところがあるじゃないですか(笑)かっこつけてる感じでるし。
S:そうですねー、正直歌は「たいしてうまくもないのになんで私歌ってるんだろ?」みたいのがあるんですよ。
S:声はですねー、たまに褒めてくださる方もいるんですけど、たぶん声の問題じゃなくて歌が下手なんだと思います。
S:いやいや(笑)たぶん音程の問題とかいろいろあるんですけど、なんていうんだろう、テクニカルな問題があって。わたしって結構音楽に向き合うときは完璧主義なところがあって、だから楽器もそうだけど、それぞれのアーティスト全員がすごくうまくないと嫌なんですよ。だから自分も同じようにきちんとできていないと嫌なんですよ。
S:そうかもしれないですけど、そうでもないかもしれないというか。まぁでも曲を作る身としては、イメージしている楽曲の世界というかクオリティをちゃんと形にしたいと思うんですよ。要はあれですけど、ピアノもそうですけど、作曲家としての自分がプレイヤーとしての自分に満足できないのであれば歌手としてのわたしを使わないという感じですね。
S:そうですね、目標というか、イメージしているところには達していないですね。だからどっちかというと、「あの人に歌ってもらいたい」「この人に~」みたいなことが多くて、でもなんせこの世の中、他人に頼むとお金もかかってしまいますしね(笑)
S:うーん、曲にもよりますけどねー。難しいなぁ。わたしあんまり曲聴かへんからなぁ(笑)たまにjonsiとかも聴くしいいなぁとは思うけど、とはいえいっつもjonsiっていうのも違うし、あ、そうだ、すごいなって思ったのは手嶌葵さん!あの人すごい!どんだけきれいなんと思って!手嶌さんがバグダットカフェのテーマみたいなの歌ってた時があって、めっちゃくちゃすごかった!どんな声でどんな歌唱力よ!って。もうあれくらい歌えたらそりゃあ歌うべきやし、人に届けるべきだと思うんですけど、そういうのはそういうことの得意な人に任せて、自分は自分の得意なことをやるほうがいいんじゃないかと思ってます。
S:ピアノもかな。いわゆるピアニストのアプローチとはまた違うと思いますし、 ピアノが決してうまいわけじゃないですけど、ただ表現としてピアノを使って、何かを生み出すというところに関しては得意なんじゃないかなって思いますね。まだやれる余地はあるんじゃないかと(笑)
S:それもあるでしょうけどね。ただ、ボーカルがある=歌詞があるってことじゃないですか。正直、わたしそんなに歌詞で表現するってことがあんまり得意じゃないのもあるんですよ。表現したいことっていうか、言葉で言いたいことがあれば日々twitterで書いてるから(笑)だからあえて作品で出すこともないわみたいな(笑)歌詞って難しいじゃないですか。恋愛の歌詞もあんまり好きじゃないし。失恋のこととか歌詞にされても、「全く知らん人の失恋のことはイマイチ分からんなぁ」みたいななるし(笑)私個人としてはですけど、そういうのことこそ、一対一の時に言ってもらいたくて、別に歌詞にして言われてもみたいに思うんですよ。だから自分もあんまりそういうのに興味がないんですよ。それで誰か他人と何かを分かち合いたいという気もないかも(笑)
S:そう、イメージはすごいあるんですよ!私が曲を作る時は、それぞれその曲に対して、シナリオというか情景の全てを完全にイメージしてますね。だから、「この曲のイメージを話してください。」って言われたら、かなり細かく話せますね。登場人物もいるし、どんな服を着ててっていうのも全部言える。
S:アデューっていうのは「さよなら」っていう意味なんですよ。バイバイ!みたいな軽い感じもあるし、さよなら!っていう情緒的な部分もあって、だからいわゆるそのまま世界で起きている数々の戦争はもちろん、小さなもめ事とか、些細なけんかとか、いじめとか、そんなことまでふくめてもうさよなら!みたいな感じです。もうええやん!みたいな(笑)日本社会って細かいこと言うでしょ?だからなんだかそういうのもういいやん!って。でもアデューの意味がわからなかったら結構厳ついですよね。
S:ほんとうは「さらば世界戦争」にしようとも思ったんですけど、寺山修司みたいになるのも違うなって思ってやめたんですよ。それは違うみたいな。私自身は結構テキトーだしネアカなんで。なんかね、作品を聴かれると繊細な人って思われるみたいなんですけど、全く逆で。ふつうのというか、んー、テキトウポジティブ(笑)?
S:そう言われるんですけど、全然そんなんじゃないですね。確かに小さな頃は、遊ぶ時間を削ってピアノの練習ばっかりしてたから、自分は絶対将来プロになるんやと思ってましたし、そう意味ではストイックやったと思うんですけど、今となっては家にCDプレイヤーもないですから(笑)普段全然音楽聴かないですもんね。映画は好きでよくみるんですけどね。
S:私映画監督になりたかったんですよ。でもカリスマ性が足りひんからやめた(笑)映画監督って、総合アーティストっていうか、いろんなことがわからないとダメじゃないですか。カリスマ性ももちろんそうなんですけど、特に私に一番足りないのって、立体でものを感じるっていうか見ることが苦手なんですよ。すごい平面な人間なんで。だからUFOキャッチャーで全然とれないんですよ(笑)映画監督っていうのはUFOキャッチャーでちゃんととれないとダメなんですよ(笑)
S:そうですねー、音楽よりも映画のほうが好きだったりしますからね。
S:そうです。でもまぁそれは後付けで、まぁ正直なところ海外に行きたかっただけなんですけど(笑)
S:日本と違って、エージェントと話してそこではじかれてっていうのがないので、直接本人と話せる環境があるので、それはとてもよかったですね。
S:デュアメルさんが書いた曲がもともとすごい好きだったんですけど、顔は全然わからないし、はじめて見たときは「あのおじちゃんめっちゃ髭長い」とかって言ってただけだったんですよ。 他の生徒さんとかはみんな知ってたみたいなんですけど。ただデュアメルさんに直接指導をされたってことはなくて、最後の試験の時に審査委員で来られてて、私の作品をとても褒めてくださって「君はすごい」みたいに言ってもらえて。実は前年の試験の時に納得がいかない評価をされたことがあってて、試験に落ちちゃってたんですよ。 あまりに納得いかなくて学長に文句言いにいったりしたこともあったんですけど、デュアメルさんが「なんでこの子が前年の試験で落ちているんだ?」と言ってくれて。出来不出来はあったとしても、そんなレベルじゃないと。 審査委員って通常は全員音楽家の人なんですね、でも映画音楽って、映画をわかっていないといけないはずなのに、 映画を全くわかってないような人が審査しちゃうんですよ。課題の映画もひっどい映画だったんですけどね(笑)ありえへん映画だったこともあって、こっちも遊んでやろって思って結構トリッキーなことやってみたんですけど、「意味がわかりません。」みたいな感じであっさり落とされたから納得いかんくて。学長に猛烈に文句言いに行ったら、「日本人は規則正しくて真面目な民族やのにお前はなんやねん」みたいに言われましたよ(笑)まぁそんなことがあってのデュアメルさんの言葉だったので、「なんていい人なんやろ!」って思って、帰りの電車で友達に「あの髭のおっさんめっちゃいい人やったわ!」って言ったら、デュアメルさんだったということをはじめてその時教えてもらって、「せやったらもっと話し聞いとくべきやったわ!」ってなりましたね(笑)
いやー、ほんとは帰りたくなかったですよ。ただまぁなんか、音楽にちょっと飽きてきて。小さい頃から曲作ったりしてたから、もうなんだかちょっと飽和してきてたんですよ。自分が簡単にできないことに挑戦してみたくなったりして、だからむこうでも映画演劇みたいなアトリエに通って、そこで演劇を習ってたりしてたんですよ。で、音楽だけじゃなく、演劇も含めてアーティストとしてフランスにいたいと思ったら、ビザの発行の壁があって。とはいえすぐに仕事があるわけでもなかったし、それを満たす実績があるわけじゃないので就労ビザも簡単にとれないし。だったら一旦日本に帰って、まずは実績をつくろうと思って。 でもいざ日本に帰って実績をつくるとなっても、元々が地元の滋賀から直接フランスに行ってるので日本の芸能界事情とかもちろん知る訳もないですし、どうしようと、とりあえずタレント事務所をうけてみるかと。タレント事務所か否かしか頭の中でなかったんですよ。で、ネットで応募してたらたまたま一個受かって。でもまぁ帰ってきたのでこんな風に過ごせてるのでそれはまぁよかったですけどね。
ほんとですよね。だから今の現状に満足しているわけではないけど、今は今で楽しませてもらってるので、日本に帰ってきたことはよかったと思ってます。
当日は気心の知れたThe Cigavettesも競演できるし、個人的にすごく楽しみにしているので、それがみなさんに伝わればいいですね。福岡はほんと今私の中でとても好きな場所なので、その福岡のみなさんの前でできるのが楽しみです!
最後は、世武さんが「電線フェチ」とうことで、電線をバックに一枚。
世武裕子さん出演決定!
AFROCK FESTIVAL '12
2012.9.29 SAT @ROOMS+galleria
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