AFRO FUKUOKA

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VOICE 来福した旬な著名人にお話を聞いてきました。

  • PEOPLE
  • 2019.7.22 Mon

VOICE TITLE

vol.97 中川翔子

アーティスト

INTERVIEW

  • 中川翔子
    アーティスト
    1985年生まれ、東京都出身。

    今年の夏には映画「ミュウツーの逆襲 EVOLUTION」の主題歌「風といっしょに」を、『小林幸子&中川翔子』として担当し、さらにアニメ『ポケットモンスターサン&ムーン』エンディングテーマ「タイプ:ワイルド」も担当。

    近年では自身の経験を元に「いじめ・引きこもり」のテーマと向き合い、8月8日には『「死ぬんじゃねーぞ!!」いじめられている君はゼッタイ悪くない』を文藝春秋より発売。この他に、2020年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた「マスコット審査会」委員や、2025年開催の万博に向けた「万博誘致スペシャルサポーター」としても活動している。

TEXT BY

波田龍司 a.k.a 西戸崎のぼる
AFRO FUKUOKA 発行責任者 / 西戸崎のぼる

AFRO FUKUOKAの発行人にして、返り咲きの編集長。でしゃばり市民ランナー「西戸崎のぼる」の中の人としても知られています。

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私のブログはデスノートならぬ、
ドリームノートだって言われています。

ポケモン映画の原点にして最高峰と言われる名作『劇場版ポケットモンスター ミュウツーの逆襲』が、21年の時を経てフル3DCG作品『ミュウツーの逆襲 EVOLUTION』としてこの夏公開される。今やポケモンの伝道師として、ポケモンの顔として、幅広い世代に支持される中川翔子さんも、21年前の『劇場版ポケットモンスター ミュウツーの逆襲』を鑑賞した当時は、いちポケモンファンとして、鑑賞後に涙を流した多くの少年少女のひとりだった。あれから21年、歌手、声優、タレント、女優など、様々な夢を叶えてきた本人でさえも「まさに今、最高にやりたかったことを最高の形でやれている」と驚いたという主題歌『風といっしょに』の歌唱参加についての想いと、そして次々夢を叶えていく中川翔子さんの原動力について、来福されたご本人にお話しをうかがいました。

ーまずはポケモンとの出会い、そして今作『ミュウツーの逆襲 EVOLUTION』の元となった21年前の『劇場版ポケットモンスター ミュウツーの逆襲』を初めてご覧になった時のことは覚えていますか?

中川翔子さん(以下:中川さん) たしか13歳とか中1くらいだったかなと思うのですが、テレビを観ていて、あっポケモンというゲームが出るのか!交換できる!戦える!通信できる!そして「ポケットモンスター赤 緑」の2つのバージョンがあって、ちょっとこれは絶対に面白いぞ!って思って。お小遣い握りしめて買いに行くんですけど、赤か緑か悩み過ぎて、なぜか一瞬帰るっていう(笑)で、結果緑にして。とか、ポケモンとの最初の出会いの一連のことはすごくドキドキしてたからか、とっても覚えているんです。
それに『劇場版ポケットモンスター ミュウツーの逆襲』は銀座の映画館に祖父に連れて行ってもらって。当時は映画館で映画を観ること自体、やっぱり、すごくエモーショナルな体験だったので、始まる前のワクワクもはっきり覚えているんですけど、何よりも観た後の感動というか、映画で泣くっていう体験が初めてだったもので、帰り道に星がきれいだったなとか、風が吹いていたなとか、帝国ホテルのハンバーグを食べたなとか、鑑賞後のあれこれをすごく鮮明に覚えているんです。それはたぶんあの感動を忘れたくなくて、繰り返し反芻してたのもあると思うんですけど。 父が早くに亡くなった分、いつも祖父が全部今の仕事と繋がるような、プラネタリウムだとか、宇宙の図鑑とかをよく買ってくれたんですけど、この映画に連れてってくれたこともあって。夢にも思わなかったミラクルが起きて今こうしてポケモンの映画に関わらせてもらえるようになって考えると、この映画は大好きな祖父といつも心の中ですぐに会うための大切な存在でもあるのかなと思っているので、大好きとかそういう以上の、なんというか本当に特別な映画ですね。

ー中川さんは今やポケモンの伝道師のような存在として知られています。そして世代を超えてコミュニケーションの真ん中にポケモンがいるという時代になりましたが、ご自身もそれを実感されますか?

中川さん 今「ポケんち(ポケモンの家あつまる?/テレビ東京)」という番組をもう3年ぐらいやらせていただいてることもあって、今は大人になってからもポケモン好きな人とも普通に話せて「最初のポケモンはなんでしたか?」って聞いたら皆絶対覚えていて。それってほんとに凄いことだなって思いますね。いま全国を「風といっしょに」のリリースイベント<ポケだちツアー>でまわっていて、ちびっこたちに好きなポケモンは?とか、大人になったら何になりたい?って聞いたらハイハイ手をあげてくれて、聞くと、デザイナーになりたい!ケーキ屋さんになりたい!歌手になりたい!僕まだ夢決まってませんって教えてくれた子もいて。あれ?手あげてたじゃんとか思って(笑)それぞれがすごく未来に対してワクワクしてたり、世代を問わず皆ポケモンが好きってことで繋がってたり。「むかし『ミュウツーの逆襲』観てた人?」って聞くと、親としてお子さんを連れてきてくれた大人の方も手をあげてくれて主題歌の『風といっしょに』を口ずさんでくれるんですよね。それぞれの人生に、ポケモンとの出会いがあって、しかも一生忘れられない思い出がいっぱいあって、親子2世代3世代っていう。こんな凄い地球に、21年かけてなったんですね!って思うと、ほんと素晴らしいですね!!

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ーその21年の間に、中川さんはポケモン以外にも歌手、声優、漫画の執筆などなど、たくさんの夢をひとつひとつ現実にされてきて、夢をしっかり叶えてこられた方っていうイメージがあります。

中川さん いやあ恐れ多いですけど、確かにありがたいくらいに叶ってきたなって自分でも思っています。ただ、もちろん悲しいことやもうやめようかなって思ったこともたくさんあって。10代の頃なんて、私なんてってすごくネガティブに考えてばかりで、学校もうまくやれなかったし、すごく考え込んじゃって消えちゃいたいなっていう夜もたくさんあって、そういう自分にならないようにハリネズミみたいにバリケードを張るように、歌ったり、絵を描いたり、妄想したりしていたら、まさかの芸能界にいた、みたいな。考えてみたらもともとは特撮ヒロインに憧れて、そうだブルース・リーがいるのは映画の世界だ!なんて思ったり、なんだかそういうピースが集まって、その前にアニメソングを歌う人になりたい!という夢ははっきりと持っていて、それを実現するにはどうしたらいいのかなっていう妄想はずっとしていて、お仕事を始めてみても、なかなかうまく出来なくて、最初の事務所もすぐにクビになったりとか(笑)でも、どんなときも救ってくれたものはたくさんの「好きなこと」だったんですよね。
今思うと10代ってとてもデリケートなんだけど、脳みそが好きなことを飲み込める時期でもあって、未来への夢の種まき期間でもあって。私は特に好きと嫌いがはっきりしていたので、好き!って思ったことはずっと没頭していたから、ほんとに「好きなこと」に救われてきたんだと思います。18歳の時にブログを始めて、最初は愚痴を書こうとしたけど、思い留まって、書いたものを読み返してまた嫌な気持ちになってしまうとか、誰かが見たら嫌な気持ちが伝染してしまうだろうなとか思って、なんとなく好きなことだけ書いていこうと、残していこうと思ったら、だんだん更新することにハマっていって、あれもこれもってやっていたら、「わっ!好きってことを思いっきり叫べる場所が出来た!嬉しい!!!」ってなって。そしたらだんだん性格も明るくなってきて、それが言霊っていうか、願ったり、言ったり、歌ったり、描いたりすると夢って叶えやすくなるんだなって気づいたんです。時間はかかるけど、違った道からでも、夢って叶うんだなって。あとでマネージャーさんに私のブログはデスノートならぬ、ドリームノートだって言われたりもしました。

ー確かに、中川さんほど何が好きで、何が得意かってことがよくわかるタレントさんって他にいないんじゃないかな?と思うくらい「好き」を発信されていますよね。好きなことをずっとブログで発信してきたからこそだと思うのですが。

中川さん もともとなんでブログやってたかっていうと、猫の生きた証を残したいだけじゃなくて、父がいた頃、おじいちゃんおばあちゃんがいた頃、皆天国に行ってしまったけど、夢に見るのは、なくなっちゃった実家の景色とかおじいちゃんがいた頃とか、あの頃の気持ちがすごく大好きで、好きなものがいかに素敵で素晴らしいものか!って残したくて。例えば学校では話せないことも、ゲームについてとか、おいしいものであったりとか、ジャッキー・チェンの人間性だとか、音楽も80年代から90 年代初期が好きだったり、昭和のコンクリートだったり、フォントだったり見るのもワクワクするし、あんまり写真に残っていない心の景色たちをなるべく忘れたくない!とかもそうだし、たのしかった!とか好き!とか、ほんとにそれに没頭できるブログという場所があったことで、すっごくその後の未来が救われましたね。
そう、だからもし今落ち込んでる子、悩んでる子がいたら「大丈夫!好きなことをみつけたらきっとそれは一人じゃなくて同じことが好きって思えるような人が学校の外とかにもいっぱいいるんだよ」っていうことが、押し付けじゃなくなんとなく、大人って楽しそうじゃんって思ってもらえるような、そんな大人になりたいって思って。あの頃の自分に声をかけるなら、こんな感じにたのしいぜ!っていうような大人になっていたいですね。

ーそういう意味ではそれ以上の大人になっていますよね。その頃のご自身に今会ったらきっとびっくりするでしょうね。

中川さん そうですね、まさに今、一番最高にやりたかったことを最高の形でやれている夏だ!って、今回の映画の主題歌を歌いながら身震いしちゃいましたもん。『ミュウツーの逆襲』って映画は私にとってほんとにすごく特別で、最初に主題歌のお話を聞いた時も、そんなまさか嘘でしょ?!っていう、それがちょっと正直今日もまだ継続していて、レコーディングもして、ミュージックビデオも出来て、いま全国をキャンペーンでまわってるんですけど、たぶん公開初日に映画館で観て、エンドロールで流れたらやっと信じるかもしれないです(笑)
歌手になって歌を歌う仕事ができた!夢が叶った!って言っても、そこから続けていくのってほんとに難しくてリリースの間が3年半くらい空いちゃって、コンサートはやってたけど新曲をリリースするのってほんと大変なんだな〜って改めて感じていて、もう無理なのかな?って思ったこともあったんですけど、昨年の秋にやっと新曲出せて。そして今回ありがたいことにあの日祖父と観た特別な映画の主題歌『風といっしょに』を歌えるなんて!今回当時歌われていた小林幸子さんとコラボというかたちでシングルを出したんですけど、もちろんあの当時はそんなことになるなんて思ってもいなかったわけで。めちゃくちゃびっくりしてます。

ー中川さんと同じくポケモンも同じ時間を重ねる中で多彩な広がり方をしていて、それこそ21年前とはその存在も大きく変わっていますよね。

中川さん ポケモンが平成で生まれて、その間にTVアニメ、映画、ゲーム、カードゲームもまたすごいバズってて。『ポケモンGO』で、新たにまた知る方もいて。先日、万博誘致スペシャルサポーターをピカチュウと一緒にやらせていただいたんですけど、ポケモンパワーってすごくて、渋い顔した外国の男性に「万博限定ピカチュウあるんですよ」って見せるとキャー☆ってなるんですって。いやぁピカチュウが笑顔と世界を繋げてるんだなーって改めて感動しましたね。それにアニメソングって、海外でライブしてもみんな日本語で歌ってくれるんですよ。歌って宝物で、その時生まれてからどんどん思いが重なって、それぞれのなかで育っていくんですよ。ポケモンの新作の情報が世界トレンドになったり。世代も国も超えて、ポケモンでみんな笑顔になっているってすごいなーって感じますよね。

ー中川さんのドリームノートに新たに書き加えたい、今の新しい夢や目標を教えていただけますか?

中川さん 実は子どもたちに夢を届けたいなっていうのがあって、夢の実現の第一歩として自分のコンサートに子どもたちを招待して、親子席を設けたり、ステージにあがってもらったりとかしているんですけど、そしたら子供たちがすごく練習してきてくれて、一緒に「ドリドリ(TVアニメ『ポケットモンスター XY』のEDテーマ)」を踊ってくれるんです。このあいだは「ポケんち」で、私をポケモンバトルでボコボコにしたある女の子が応募してきてくれてて、ステージにあがってきて初めて気づいたんですけど「将来の夢は何?」って聞いたら「歌手になりたい」って、え!プロゲーマーとかになるのかなって思ってたら、「ドリドリ」も完璧に踊れているし、その思い出がまた彼女の夢へのピースになるとしたら、めちゃくちゃ嬉しい!って心から思えて。だから子どもたちのワクワクのためにも、親子限定ファミリーコンサート略して「ファミコン」なんですけど、それをこれからも続けていくのと両立して、自分の歌を歌い続けたいって思ってます。
あと、最近はいじめ問題を考えることも多くて。闇を抱えている10代の子ってデリケートなので、押しつけではない、そういう時期をのりこえた大人のお話しを本にして出版しようとしているところです。あと、やっぱり壮大な夢としてはシャンソン歌手になることです。ていうかまだまだやりたいことってむちゃくちゃありますね!猫がいっぱいいる純喫茶もやりたいですし。いったことのない世界に行ってみたい!宇宙にも絶対行きたいです!

ヘアメイク:柏瀬みちこ(ROOSTER)
スタイリスト:尾村綾(likkle more)

INFORMATION

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■映画『ミュウツーの逆襲 EVOLUTION』
2019年07月12日[金]公開
https://www.pokemon-movie.jp/
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■ニューシングル『風といっしょに』
小林幸子&中川翔子
7月10日(水)発売の小林幸子&中川翔子歌唱、亀田誠治プロデュースの強力タッグによるシングル
7月12日(金)公開のポケモン映画最新作「ミュウツーの逆襲 EVOLUTION」主題歌

INTERVIEW

  • 中川翔子
    アーティスト
    1985年生まれ、東京都出身。

    今年の夏には映画「ミュウツーの逆襲 EVOLUTION」の主題歌「風といっしょに」を、『小林幸子&中川翔子』として担当し、さらにアニメ『ポケットモンスターサン&ムーン』エンディングテーマ「タイプ:ワイルド」も担当。

    近年では自身の経験を元に「いじめ・引きこもり」のテーマと向き合い、8月8日には『「死ぬんじゃねーぞ!!」いじめられている君はゼッタイ悪くない』を文藝春秋より発売。この他に、2020年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた「マスコット審査会」委員や、2025年開催の万博に向けた「万博誘致スペシャルサポーター」としても活動している。

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