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VOICE 来福した旬な著名人にお話を聞いてきました。

  • PEOPLE
  • 2011.3.1 Tue

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vol.23 GROOVISIONS

デザインチーム

INTERVIEW

  • グルーヴィジョンズ
    デザインチーム
    1993年京都で活動を開始。現在は東京を拠点とし、グラフィックやムービー制作を中心に、音楽、出版、プロダクト、インテリア、ファッション、ウェブなど多様な領域で活動している。近年の主な活動として、リップスライム、FPMなどの、CDパッケージやPVのアートディレクション、100%ChocolateCafe.を始めとする様々なブランドのVI、CI、「Metro min」誌などのアートディレクションやエディトリアルデザイン、メゾンエルメスのウィンドウディスプレイのディレクションなどがある。

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STAFF
AFRO FUKUOKA

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10066

人と物とを繋げる力

広告や雑誌の表現に魅せられ、数ある仕事の中から編集者となった今、物を伝える面白みや難しさを感じる度に思う事がある。それは表現するメディアが何であれ、共感を得るのは簡単ではないという事だ。今回は、様々な表現領域から記憶に残る物や事を生みだし続けているグルーヴィジョンズの伊藤さんと原さんに、編集やデザインのヒントを伺った。

小西康陽さんが僕らに、「GROOVISIONS」と名前をつけてくれました。

福岡に来る機会は多いですか?

伊藤:そうですね。多分20回以上は来ていると思います。福岡は、活気のある大都市ですし、東京から飛行機に乗って来ていますが、距離感を全く感じていないです。結構、身近な感じがしますね。

デザインのイメージはありますか?

伊藤:それは…よく分からないですね。逆にいうと、東京にいる時とあまり違和感がないです。普段からそんな風に意識して見ていないですね。特別な街に来たという認識はなく、いつもと変わらないです。もちろん悪いイメージもないですし。

グルーヴィジョンズの名前の由来を教えて下さい。

伊藤:ピチカート・ファイヴというグループのお手伝いをしていた時の話で、当時映像制作をやっていたから、小西康陽さんが僕らに、「GROOVISIONS」と名前をつけてくれました。

広範囲で活動されていますが、どういった流れから今に至るのですか?

伊藤:僕らが映像を始めた90年代前半は、今だと少し想像しにくいですが、まだコンピュータがいまほど一般的ではなく、それを使い実験的にデザインするのがようやく現実的になった時です。そこで、コンピュータの中でアイデアをつくれば、アウトプットの仕方は後でメディアを選べるんだと思っていました。だから、映像の業界からキャリアをスタートさせたというよりも、コンピュータから入っていった感じです。コンピュータに汎用性のあるデータがストックされていけば、後でいかようにもなるという考えが始まりでした。出来上がる物がグラフィックだったり、映像だったりするのは、かえって当たり前の事ですね。それは、僕らにだけいえる事ではなく、90年代前半からコンピューターを使っていたデザイナーの特徴的な傾向だと思います。もう随分と昔の話になってしまいますけどね。

今はチームに何名いらっしゃいますか?それぞれのお仕事も教えて下さい。

伊藤:デザイナーが9名。マネージャーが2名。デザイナーには、映像を主とした人間がいたり、グラフィックを主とした人間もいたり。でもグラフィックの方が多いです。

企業や団体として、社会にどうコミットしているかの関係性を大事にします。

グラフィックデザインを主とする方が多い理由は何ですか?

伊藤:グラフィックの方が、ある種のルールで共有しやすい気がします。例えが悪いかもしれないけれど、映像に関わる人間はミュージシャンのような独特のセンスと感覚が必要とされるので、なかなかそれらのノウハウを共有するのは、グラフィックよりも困難なのかもしれません。独特なリズム感や動きに対する感覚は、教えることが難しい。どちらかといえば、グラフィックの方が学習可能な気がします。

プロジェクトをスタートする時、クライアントに必ず確認する事はありますか?

伊藤:やんわりと遠まわしにですが、「あなた達は、何者ですか?」と聞きます(笑)。そして、「今から何をしようと考えていますか?」と尋ねます。やはり、やりたい事と今からしようとしている事は、決してイコールではないですし、僕らもなるべく上手い解決策をみつけたいと思っているのであえて確認します。クライアントがいる場合は、そこを突き詰めて考える事がデザインをする上ですごく重要です。要は、クライアント自身が、企業や団体として、社会にどうコミットしているかの関係性を大事にします。社会に何を訴えようとしているのかのポイントは、すごく重要で、割とそこに関しては複雑すぎて曖昧だったり、現実と理想の狭間で悩んでいたりしますから。結果としては、やりたい事と今からやろうとしている事がどこかで繋がっている事が多いし、そこを見つけることが重要だと思っています。

なるべくネガティブでダークなメッセージを選ばないようにしています。

仕事に対して大切にしている事はありますか?

伊藤:僕らの仕事は、不特定多数の人達の目に触れる事が多いので、ある種の責任感がともなっていると自覚しています。なので、なるべくネガティブでダークなメッセージを選ばないようにしています。コミュニケーションの仕事なので、あえて手段として強烈でダークなイメージを選んだ方がてっとりばやいケースもあることはわかるのですが、必要以上にそうしたメッセージは出さないようにしていますね。

原:普段の生活と地続きである事を大切にしています。デザイナーが、デザイナーに対し喜ぶような物をつくるような状況にならないよう生活者目線である事、普通の感覚を持つ事は大切だと思っています。

遊び心溢れるアイデアや色使いから、「ポップなデザイン」と称される事が多いように見受けますが、自分たちの考える「グルーヴィジョンズ」らしさとは何ですか?

伊藤:世間の評価とは逆であることはよくわかっていますが、僕らは、なにかを表現しているというイメージではなく、問題を合理的に解決することにとても大きな労力をはらっています。まずそこが一番重要で、クリエイティブとエンジニアリングの作業は、分けて考えられる事ではないけれど、どちらかというとエンジニアリングの作業を重要視しています。特別な事をやるのではなく冷静に普通のコミュニケーションの手助けをする。そこはすごく意識しているところですね。

様々なエディトリアルデザインを手がけていらっしゃいますが、編集で大切な事は何ですか?

伊藤:編集は情報の基礎です。例えば、雑誌などの具体的な編集作業も情報構築の基本ですよね。それはカルチャーに携わる人間のベースだと思います。だから僕らは、編集力みたいな基礎体力を持っていないとデザインなんて絶対にできないと思っています。デザインという行為と編集という行為は、アウトプットは違っても、かなり共通する部分があると思います。

日本では10年ぶりの個展だそうですね。開催に至った経緯はありますか?

それは、いつもお仕事を一緒にしている方から個展のお話を頂いたからです。その方々との関係があり、トントントンと話が進んでいきましたね。

展示の仕方を含め、会場全体をひとつの作品として見て頂けると嬉しいです。

今回は193点を展示されていましたね。そのセレクトした理由を教えて下さい。

伊藤:まず、これはないなと思う物から外していく作業をして、並べる作業をしながら選びました。ほんとはまだまだ展示したいものはたくさんあるんです。

原:物は良いけれど、今回の雰囲気には合わないから外した物もありますね。例えば、最近の仕事で増えているiPhoneやiPad用のお仕事は見せにくいと思い外しました。

見て欲しいところはありますか?

伊藤:先程もお話しましたが、今回は圧倒的に編集なんですよ。いかに、自分達の作品を立体的に見せるかという編集作業がほとんどでした。展示の仕方を含め、会場全体をひとつの作品として見て頂けると嬉しいです。これまでで作った物はほんとに沢山あるんですが、とても多くを削除しました。そして見せ方によっても印象が全く変わるので、そこにすごく気を遣いました。

読者にメッセージを。

伊藤:グラフィックというのは根本的に、モノではなくヴァーチャルなイメージです。例えば世間をアッと言わせるようなグラフィック広告でも、展覧会という物理的、モノ的な空間にもってきてしまうと圧倒的に弱いんです。今回僕らは、そうした「グラフィック=抽象的なイメージ」を「モノ」として見てもらおうと思いました。普通に壁にかけたり額に入れたりすると、それは抽象空間になってしまう。床にグラフィックを配置することからスタートして、イメージを「モノ」に還元しようと思ったのです。ここは少しわかりにくいですが。

原:グラフィックは、原理的に厚みがない物ですからね。

伊藤:これまでの展覧会でもずっとこだわってきた所なので、観に来てくれる人達にはそこに気づいてもらえたらいいなと思います。

INFORMATION

GROOVISIONS FUK
会期:2011/3/16[水]〜5/8[日]
場所:三菱地所アルティアム[イムズ8F]
展覧会レポートはこちら

東京では、8月頃に個展を開催予定。
個展と同時期に、作品集も刊行される。

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    デザインチーム
    1993年京都で活動を開始。現在は東京を拠点とし、グラフィックやムービー制作を中心に、音楽、出版、プロダクト、インテリア、ファッション、ウェブなど多様な領域で活動している。近年の主な活動として、リップスライム、FPMなどの、CDパッケージやPVのアートディレクション、100%ChocolateCafe.を始めとする様々なブランドのVI、CI、「Metro min」誌などのアートディレクションやエディトリアルデザイン、メゾンエルメスのウィンドウディスプレイのディレクションなどがある。

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