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CULTURE INFO.
グローバルな視座から、これまで西洋と東洋の交錯、物質・エネルギー・人間の精神の遷移、変換などをテーマに、様々な仕掛けが訪れるものを楽しませてくれます!
※ Art d’Ameublement (Karena Maihiva) 2021年 182.9×137.2cm
この『Art d’Ameublement』は、境内常設《Echo》の類似作品で、初めて蓄光性の材料を用いています。展示室の日々の光とブラックライトに晒された作品は、エネルギーを蓄え、暗闇で時折、儚い光を放ちます。(写真右)
代表作でもあるこの「Art d’Ameublement(=Furniture Art)」シリーズは、フランス人作曲家エリック・サティが提唱した、「生活空間に溶け込む音楽」という意の“Furniture Music”に、ちなんでいます。 支持体の片面に絵の具を付着する従来の絵画とは異なり、霧状の絵の具の粒子を内側に封じ込めた色のグラデーションで描かれています。 また、各作品とも、遠隔地の名称の副題がつけられ、鑑賞者と作品との距離感を暗示しています。
※ Negative Entropy (Dazaifu Tenmangu, Morning Prayer and Offerings, Gray, Quad) 2020年 186.4×142.6×5.7cm
「Negative Entropy」シリーズは、音源データを抽象的に解釈・構成したテキスタイル・ ペインティング。 田島が滞在中に触れた、太宰府天満宮の御本殿に参拝する人々と日々の祝詞を記録した作品。
音を媒介にして神社の日常的な情景を、抽象的なイメージとして可視化したこの作品は、ある意味、太宰府天満宮の肖像画と言えます。 同時に、アルゴリズムコンピューティングの原型とも言えるジャガード織機で織られたこの作品は、[テキスタイルとデジタル生産の歴史]、つまりは[物質と非物質の世界が絡み合っている]ことを示しています。
※Anima 9 2021年 38.1×48.3×35.6cm
ラテン語で「呼吸・命・生命力」の意味を持つ「Anima」は、吹きガラスによる彫刻の新シリーズ。
この作品では、ガラスを吹くときの呼気が目に見える形として捉えられています。体の器官または深海や進化の過程にある生物のようにも見え、ブロンズ製のジャグジーのジェットノズルによってガラスの表面に空けられた穴は、息の放出を意味し、エネルギーの解放や循環を感じさせます。 この作品の台座には、太宰府の千年樟が用いられています。
境内の文書館の裏山には、田島の作品《Echo》が恒久設置されます。
《Echo》は座って瞑想をするための場所であり、また彫刻でもあります。瞑想の台は、古代のピラミッドの構造のようでも、SFの多角形宇宙船のようでもあります。
彫刻の表面には蓄光性の材料が使用されていて、その層は、太陽光と6本のブラックライトの組み合わせによる光エネルギーをふんだんに取り込み、作品を「帯電」した物体へと変化させます。 「禁制遷移」を経て、より高い量子エネルギー状態に達した彫刻は、日中は強力なブラックライトに照らされ、電気を帯びてスクリーンのように光り、夜に太陽が沈んでからも輝く光として可視化されます。
境内を歩き、話し、長い時間の思索を経て田島が辿り着いた、
自然と人の精神のエネルギーの可視化を試みる作品の数々との対峙をお楽しみください。
作家プロフィール
田島美加 Mika Tajima
1975年ロサンゼルス生まれ
現在はニューヨークにて制作活動中。
彫刻 、建築 、音楽 、パフォーマンスなど多様な要素を組み合わせた作品で知られる。
日本では 2013年に森美術館(東京)の「六本木クロッシング2013:アウト・オブ・ダウト」展に参加、 モダニズム建築の巨匠コルビュジエの作品を自身の作品と組み合わせたインスタレーション等で高い評価を得る。
2022年5月21日から6月18日までTARONASU(東京)での個展「Spectral」開催が決定している。
その他の主要な参加展覧会に、2022年「Hawai’i Triennial 2022」(ホノルル美術館、ハワイ)、
2019年「岡山芸術交流2019:もし蛇が」(岡山)、
2018年Programmed:Rules,Codes,and ChoreographiesinArt,1965‒2018」(ホイットニー美術館、ニューヨーク)、
2017年「Touchless」(TARO NASU、東京)、
2015年「Human Synth」(TARO NASU、東京)、
2012年「Pyramids and Pineapples」(アスペン美術館、アスペン)、
「After the Martini Shot」(シアトル美術館、シアトル)、
2010年「The Double」(バス美 術館、マイアミ)、
2009年「Today is Not a Dress Rehearsal」with Charles Atlas and New Humans(サンフランシスコ近代美術館、サンフランシスコ)など。
〈太宰府天満宮アートプログラムとは?〉
人々が行き交い集う場としての「開放性」と、1,100 年以上昔から変わらない天神信仰の場としての「固有性」という、2つの性質を併せ持つ太宰府天満宮。
この2つのキーワードをテーマに掲げ、平成18年(2006)より行っているのが「太宰府天満宮アートプログラム」です。 さまざまな分野において第一線で活躍中のアーティ ストを招き、太宰府での取材や滞在を経て制作された作品の公開を全面的にサポートすると同時に、 これらの作品を地域の財産として収蔵することで、文化活動を牽引していく役割を担っています。 太宰府天満宮ならではの「開放性」「固有性」と、それぞれのアーティストが持つそれらが重なり合うことで、アーティストの視点を通した、新しい太宰府や太宰府天満宮の一面が映し出されます。 これらは新たな文化や歴史として、ここ太宰府の地から世界へ、そして未来へ向けて発信されていきます。
※詳細に関しては運営元に直接お問い合わせください
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