VOICE 来福した旬な著名人にお話を聞いてきました。
VOICE TITLE
ミュージシャン
福岡の情報ポータル&ウェブマガジン
ユニット名「羊毛とおはな」から想像する、"ふわふわした感じ"と"あたたかさ"がそのまま音楽性に現れているふたり。「羊毛」という名前は、実はふたりが出会った頃の市川さんのハンドルネームだそう。何となく付けた名前のようだが、今となってはふたりの音楽を象徴するものとなっている。自分たちの音楽やその周りに愛着を持ち、育て続ける。そんなイメージを持つふたりの音楽を聴いていると、ふっと気持ちが軽くなり、日々の喧騒から解放され、あたたかい空気に包み込まれる気がする。春、あたたかい日差しの中でリラックスするべく羊毛とおはなの世界に浸ってみよう
千葉はな[以下、おはな]:生音でも音が響くので、すごく気持ち良かったです。教会は、すでに完成されているような場所なので、照明をはじめ特別な演出がいらなかったです。
おはな:こだわりますね。やはりライブと言っても、視覚が60%くらい影響すると聞いたことがあります。自分が、音楽を聞く時も見た目の印象は大事です。いつでもライブには、「羊毛とおはな」のイメージに合う場所を選んでいます。
市川和則[以下、羊毛]:リハーサルの時は、少し音が響きすぎて、やりづらいかなとも思ったんですが、人が入ると、すごく気持ち良く音が完成しました。あと、拍手が2倍くらいの大きさで聞こえるので、大物のような錯覚がしましたね(笑)。
羊毛:共通した世界観はないかもしれないですね。
おはな:ありますよ!自然体なもの…。
羊毛:僕は自然体ですけどね。
おはな:私が考える自然体と、羊毛さんが考える自然体が少しずれていて。私は、結構一般的でナチュラルなイメージなんですが、羊毛さんは、”素”というイメージ。だから、ライブでも普段着を着ている訳ですよ。普段の羊毛さんそのままみたいな(笑)。
羊毛:そうそう(笑)。僕は、ステージ衣装という概念が少し苦手なんです。
おはな:いつもそうだよね。自分のキャラクターをつくらない。ライブのトークでも、日常会話をステージでしてますよね。例えば、どんなに長い時間トークをしたとしても、たくさんの会場を回っても、羊毛さんは同じ会話をしないんです。会場が違えば、お客さんは初めて聞くことが多いから、普通同じことを話してもいいと思いませんか?だけど、全くしない。
羊毛:してあげない(笑)。僕は同じ質問されたら、「それ、さっき言ったし!」と思ってしまう。それに、内容がいくら驚くものでも、全会場で同じ話を聞いてるのにまた驚いて見せるなんて…絶対無理です。自分も新鮮に思える話をしたいと思います。毎回同じ話の振り方で、同じ反応しながらやるのは、僕は大根役者なので、やる自信が無い…。だからなるべく、話さなかったりします。ライブ中で言うことは、周りに初めて言うことにしています。事前に、楽屋とかで他の人も知っていることだったら、お客さんもちょっとつまんないかなと。
羊毛:ここは、少し長めに喋りたいから喋ることはあるけど、何喋る?と聞かれても、「知らん」(笑)。ただそうなると、本番に素のリアクションをしてくれるからいいんです。基本的におはなも大根役者なんで。何かマンガみたいな、(おはなさんをみながら)リアクションするよね?
おはな:羊毛さんのキャラですかね。すごく変な人で。私は、出会った当時、他のギターの人と連絡とったりしていて3人くらいと会ってました。それに、別の人とユニット組んでいたこともあるんですけど、そっちの方は解散して長く続いたのは羊毛さんです。
羊毛:決め手は、まあ歌を聞いた時に、「あ、すごい」と思ったから。ジャズとかソウルとか、そういうことは詳しいけど、ポップスのことは全然興味ないみたいな人だったし。
おはな:昔、ブラックミュージックが好きでよく聞いてました。それで、はじめはソウル的なものを歌ってました。ジャズとか。ただ、自分の声がすごく嫌いで、もっと低く太くハスキーな声になりたいと思ってました。だから、ウィスキーでうがいしてみたり、結構無理して歌ったりしてましたね。そのうち声は、生まれつきだから変えれないと分かりました。それに、羊毛さんが、「全然そのままで、無理して歌わず、素のままで歌ったら絶対良いのに」と私に言ってくれました。羊毛さんが聞く音楽を色々借りて聞きました。そこから、私の声に合うような歌い方を見つけました。声を張るのではなくて、喋るように歌う。私は、ボーカルといえば、声量があり声も大きいのが素晴らしいと思ってたんですけど、羊毛さんは上手いのは好きではないんです。もっと下手に歌ったら?とも言われました。無理して背伸びするのではなく、もっと自然体にと。そんな音楽を聞いているうちに、自分の声を好きになれました。そして、何より自分らしい世界観が大事なんだと分かりました。
羊毛:みたいです。若干話が美化されている気がしますけど(笑)。
おはな:本当に、羊毛さんと出会ってから価値観が変わった。それまでは、オリジナルの歌には興味が無くて。昔は、ジャズでスタンダードな歌をやっていたから、上手いとか下手とかで歌を判断する部分が大きかった。羊毛さんは、オリジナリティを大切にする感じ。最初は理解出来なかった。
羊毛;AB型だから、そんなことないですよ。「分からん」ってことがあるけど、すぐ次の話にいく人。すぐ、次に次にと会話の最中にすごいスピードで別の話になっていく。
おはな:そうだね。
おはな:これは、”for good night”で、良い眠りを誘う曲を選んでいます。ライブアルバムは、過去4枚出しているんですけど、その中からの洋楽カバーと、あと新しくレコーディングしたものと全部で12曲入っています。鈴木惣一朗さんにプロデューサーとして入っていただいています。今までは、ふたりでセルフプロデュースしてきたんですけど、手探りだったのがプロデューサーのおかで要領が良かった。作詞作曲の段階から入ってもらい、いろいろと教えていただきました。言葉がしっかり伝わるようにお願いして、作詞もメロディのはめ方もいろいろポイントがあったみたいで勉強になりました。
羊毛:僕は、「Over The Rainbow」と「Rainbow Sleeves」という曲。
おはな:レインボーつながりでね。5年間の集大成だから、この一曲というのを選ぶのは難しいですね。古いものから順番に入ってるから、5年前と今では全然違うというのが丸分かりです(笑)。
うん…聞きたくない感じですね〜。ギターの音も全然違うもんね。
羊毛:違いますね〜。多分、「上手くなってんな〜」って思って頂けるというくらい最初とは違いますね。
羊毛:「月見草」という曲は、僕等もともとアマチュア志向で始めて、カバーだけをお互い練習のためにやっていたんですが、周りから「オリジナルを作れ」と言われてようやくできました。ライブのセットリストは、名曲ばかりをカバーしているから、その中にオリジナルがポンと入り「ショボイ!」なんて言われたら嫌だなと、ずっとつくるのは悩みました。「月見草」ができた時は、これなら大丈夫とすごく気に入りました。だからオリジナルを始められたのは、この曲のおかげのような気がします。
おはな:もともとCDリリースより、ライブの方が先だったアーティストだと自分では思っています。私はライブの方が大事なんですよ。羊毛さんは、違うみたいです。
羊毛:いや、どっちも大事ですよ。ずるいですか?(笑)
おはな:ずるい〜。
羊毛:CD制作は、それ特有のつくる上での楽しみがある。ライブは偶然とか奇跡みたいなものに出あうことがすごく多い。
おはな:「ライブの方がいいね」と言われる方が嬉しくない?
羊毛:ライブの方がいいのは当然だと思うんですけど、環境が整いまくっている状況じゃないですか。僕等を知っているお客さんの前で、スポットライトを浴びながら、いい音響でやれる。レコーディングは、精神状況をいい方向に持っていくのがなかなか大変です。
おはな:やっぱりお客さんがいる所でやると、音がイキイキするよね。それと、お客さんの反応が大事。ツアーを重ねれば重ねるほど、元気が沸いてくるし、活力が沸いてくる。エネルギーをもらっています。
羊毛とおはなの2年ぶり、待望のフルオリジナルアルバム「月見草」が好評発売中。「ただまっすぐに、伝えたいコトバがあります。」そんなアルバムキャッチコピーどおり、いつもそばにいる音楽がつまった珠玉の一枚。なお、12月中旬からは、羊毛とおはな band tourがスタート。『月見草の旅』全国4箇所にて開催
その他の記事
PEOPLE