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VOICE 来福した旬な著名人にお話を聞いてきました。

  • PEOPLE
  • 2013.12.16 Mon

VOICE TITLE

vol.54 上戸彩・高良健吾

女優

INTERVIEW

  • 上戸彩[Aya Ueto]
    女優
    1985年東京都生まれ。97年、第7回全日本国民的美少女コンテスト審査員特別賞を受賞し、デビュー。映画やドラマ、音楽、CMなど活動範囲は多岐に渡る。主な映画出演作品に『インストール』(04年)、『テルマエ・ロマエ』(12年)、『おしん』(13年)などがある。『あずみ』(03年)で第27回日本アカデミー賞優秀主演女優賞ノミネート、同話題賞俳優部門および優秀新人賞受賞。映画最新作は『テルマエ・ロマエⅡ』(14年)。
  • 高良健吾[Kengo Koura]
    俳優
    1987年熊本県生まれ。『M』(07年)で第19回東京国際映画祭”日本映画・ある視点”部門特別賞受賞以降、数々の作品に出演。10年に映画『ソラニン』『ケンタとジュンとカヨちゃんの国』『おにいちゃんのハナビ』で第23回日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎新人賞を受賞。11年に映画『軽蔑』で第35回日本アカデミー賞新人俳優賞、第26回高崎映画祭最優秀主演男優賞、『苦役列車』(12年)では、第36回日本アカデミー賞助演男優賞を受賞している。

TEXT BY

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人を思いやるこころの温かさを知る

江戸時代、武士の料理人〝包丁侍〟として、加賀藩の主君に仕えた舟木家をめぐるエピソードが描かれた映画『武士の献立』。本作は、今注目される伝統的な和食の世界を舞台に、そこに生きた家族や夫婦の日常を描く。8年ぶりの映画出演となる上戸彩さんと時代劇初挑戦の高良健吾さんが、夫婦役を演じることでも話題のタイトルだ。本誌取材の前の合同記者会見で上戸さん、高良さんが登壇し、お互いを思いやりながら質疑応答に臨まれている姿を見て、まるで劇中の夫婦を見ているようだったが、この取材当日も変わらず微笑ましいお二人の空気に場が和むなかで物語の背景にあることを詳しく伺った。本作に描かれる家族愛や夫婦愛の美しさは、ぜひ時間にゆとりがあるときに観て欲しい。

「古だぬき」と呼ばれるところ(笑)。安信が春をいつもそう呼んでいるんですね。(上戸)

「釣りバカ日誌」シリーズを手掛ける、朝原雄三監督作品ということですが、監督のこだわりや作品についてのご感想を教えてください。

上戸:制作現場では、監督がずっと時代劇のルールを壊す作業をされていました。例えば、セリフとセリフの間にある独特な〝間〟や、ゆっくりとした話し方など、どこか単調になってしまうものを省くことです。そして監督からは、よく「二人でどんどん話の掛け合いをしていって!」と言われていましたね。所作や料理についても、作業の工程を細かく見せていくよりは、大切な動きだけに絞るような。完成した作品を観て、私達世代でもとても見やすい仕上がりになっていると思いましたし、コミカルで面白いなと思いました。

高良:そうですね。今回の作品は、本格的な時代劇とは違った魅力があると思います。きっと、子供からおじいちゃんやおばあちゃんまで年齢を問わず楽しめるはず。本当に見やすくて、映画を観た後もスッキリして帰ることができる作品です。

とくに印象に残っているシーンはありますか?

上戸:「古だぬき」と呼ばれるところ(笑)。安信が春をいつもそう呼んでいるんですね。高良くん、思いきり古だぬきって言ってたよね。

高良:なかなか、上戸さんに「古だぬき」なんて言えることはこれから先は絶対ないと思うので。ラッキーでした。

2

この夫婦は、しっかり者の春がいないと成り立たない。(高良)

夫婦愛を描いた作品でもありましたが、その点で印象的なところはありますか?

上戸:私は、一度出戻りした女性である春を演じていますが、実際には当時は春のように、自分の言いたいことをそのまま口にしたり、武士を睨みつけ意見したりする女性はいなかったと思います。そんななかで、安信が春の良いところをしっかりと吸収しながら成長していく姿が印象的でした。最初、安信は不器用だったけれど、次第に奥さんを立ててくれる良い旦那さんになっていきましたし、逆に春は安信の弱いところを理解した上で、お尻を叩き料理を教えていく。本当に、二人は相性が良かったんだろうなと思います。

高良:二人は、何か足りないものを埋め合うことでしっかりと繋がっているような気がしました。夫婦は、楽しいと思う価値観が一緒なのも大切ですが、悲しいと思うこと、ある意味ネガティブな部分の感覚が似ていることも必要。長く一緒にいるからこそ、それはすごく大切だと思うんです。春と安信の二人は、何かを失ったことによる寂しさや何かを諦めたことによる寂しさなどを経験し、互いにすごく惹かれ合ったのではないかなと思います。この夫婦は、しっかり者の春がいないと成り立たない。

現代よりも伝える術が少ないなかで、映画では夫婦の気持ちのすれ違いなどが多々見られました。映画を通して、改めて人に想いを伝える時に大切にしたいと思ったことはありますか?

上戸:相手のことを思いやって出る言葉や行動は、必ず相手に伝わるものだと信じたいです。春が、安信のことを思って取った行動は、最終的には安信にしっかりと伝わっていたということが一番ハッピーなところですね。

1

高良:思いやりが大事だと思います。ただ言葉もきっと必要で、言葉がなくても伝わるということは、絶対にないですから。それは、恋愛でも夫婦の仲でも一緒だと思います。

私はかぼちゃのいとこ煮が大好き。(上戸)

多彩なお料理が登場しましたが、どの献立が好きでしたか?

高良:治部煮が好きでした!

上戸:私も治部煮が一番好きでした。郷土料理になるんですが、塩辛い味ではなく、甘くてとろみのある味わいで、それにワサビをといて食べるとピリッと味が引き締まって美味しかったですね。それと、私はかぼちゃのいとこ煮が大好き。高良くんは、役作りだからと言って、出てくるもの全部を完食してましたね(笑)。

本作の特徴とも言える個性的な女性たちの魅力とは?

高良:覚悟を決めた女性は強い。それは、この時代に限らず、どの時代でもそうだと思います。覚悟を決めたら、女性の方が強くなれるんだと感じました。

3

役作りや作品について、撮影中にお二人が話すことはありましたか?

上戸:撮影中よりも、今のようなキャンペーン活動中の方が話すことが増えましたね。高良健吾という人の人間性には、ここ最近とても魅力を感じています。撮影中は、やっぱり役柄の印象が強くて、普通に会話するんですが場の空気感が全然違いました。

それを見てくれている人は絶対にいて、その人たちとどのように関わっていけばいいかを考えていたら、先が見える。(高良)

上戸さんから見た、高良さんの魅力を教えてください。

上戸:とても真面目です。とてもピュアで誠実。それと、ぶきっちょなところが人間味溢れていて素敵ですね。会話が良い意味で上手くないから、お互いに本音で話せる。だから、お互いに意見しあうし、それに流されることもない。上辺だけではない感じがとても嬉しいです。

なるほど、何だか私が照れてしまいました(笑)。最後に、読者へメッセージをお願いします。

上戸:作品の中心となるシーンが、みんなの気持ちをひとつにすることができる食事の時間をテーマにしているので、実際に映画を観て、「お腹が空いたな~。何か食べたくなったな~」と言ってもらえる作品になれば嬉しいです。温かい気持ちになれる映画なので、ほっこりして帰って頂ければと思います。

高良:人生は、最初自分が望まなかった環境であったとしても、そこで諦めず、何を感じ何をするべきかを真剣に考えていけばいいんだと思います。それを見てくれている人は絶対にいて、その人たちとどのように関わっていけばいいかを考えていたら、先が見える。この時代は不自由だらけで、自分を試される場も多く、自分の意思がしっかりしていないと生きていけなかったんだなと。ぜひ映画を観て、いろいろと感じてもらいたいです。

INFORMATION

12/14[土]公開
映画『武士の献立』
■監督:朝原雄三
■出演:上戸彩 / 高良健吾 / 西田敏行 / 余貴美子 他
中洲大洋 / T・ジョイ博多 / UCキャナルシティ13 / UC福岡他 全国ロードショー
© 2013「武士の献立」製作委員会

INTERVIEW

  • 上戸彩[Aya Ueto]
    女優
    1985年東京都生まれ。97年、第7回全日本国民的美少女コンテスト審査員特別賞を受賞し、デビュー。映画やドラマ、音楽、CMなど活動範囲は多岐に渡る。主な映画出演作品に『インストール』(04年)、『テルマエ・ロマエ』(12年)、『おしん』(13年)などがある。『あずみ』(03年)で第27回日本アカデミー賞優秀主演女優賞ノミネート、同話題賞俳優部門および優秀新人賞受賞。映画最新作は『テルマエ・ロマエⅡ』(14年)。
  • 高良健吾[Kengo Koura]
    俳優
    1987年熊本県生まれ。『M』(07年)で第19回東京国際映画祭”日本映画・ある視点”部門特別賞受賞以降、数々の作品に出演。10年に映画『ソラニン』『ケンタとジュンとカヨちゃんの国』『おにいちゃんのハナビ』で第23回日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎新人賞を受賞。11年に映画『軽蔑』で第35回日本アカデミー賞新人俳優賞、第26回高崎映画祭最優秀主演男優賞、『苦役列車』(12年)では、第36回日本アカデミー賞助演男優賞を受賞している。

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