AFRO FUKUOKA

VOICE

VOICE 来福した旬な著名人にお話を聞いてきました。

  • PEOPLE
  • 2023.12.18 Mon

VOICE TITLE

vol.101 藤原さくら

シンガーソングライター

INTERVIEW

  • 藤原さくら
    シンガーソングライター
    福岡出身。1995年生まれ。父の影響ではじめてギターを手にしたのが10歳。
    洋邦問わず多様な音楽に自然に親しむ幼少期を過ごす。
    高校進学後、オリジナル曲の制作をはじめ、少しずつ音楽活動を開始。
    地元・福岡のカフェ・レストランを中心としたライブ活動で、徐々に注目を集める。
    天性のスモーキーな歌声は数ある女性シンガーの中でも類をみず、聴く人の耳を引き寄せる。

TEXT BY

波田龍司 a.k.a 西戸崎のぼる
AFRO FUKUOKA 発行責任者 / 西戸崎のぼる

AFRO FUKUOKAの発行人にして、返り咲きの編集長。でしゃばり市民ランナー「西戸崎のぼる」の中の人としても知られています。

29387

コロナ禍に入る直前の2020年2月、AFRO VOICEの記念すべき100回目のゲストとしてお話をしていただいたのが、福岡出身のシンガーソングライター藤原さくらさん。
その後 未曾有のコロナ禍に突入し、長い間アーティストや作家の来福が減り、単独のインタビューをする機会も失ってしまったことで止まっていたこのVOICEが、
再びその針を動かす101回目のゲストにお招きしたのも、縁があって藤原さくらさんに。

vol.100とvol.101、コロナ禍を挟む特別なインタビューとなった今回は、この数年での藤原さくらさんの変化や想い、そして10月25日にリリースされた日本テレビ系土曜ドラマ『ゼイチョー~「払えない」にはワケがある~』の挿入歌として書き下ろした新曲「daybreak」の話はもちろん、来年届く予定の作品の制作過程、それに地元福岡への想いや来年福岡で幕を開ける全国ツアーのことなど、藤原さくらさんの「今」を語っていただきました。

以下、「daybreak」リリースにあわせて発表された藤原さくらさんのコメントとあわせて、最後までご覧ください。


【藤原さくらさんコメント】
自分がいくら何を叫んでも世界は変わらないと、投げやりになるのも仕方ない。
今この瞬間にも、どうしたって終わらない争いや、制度や価値観はこの世界に溢れてる。
ただ、変わったことも変わった気持ちもある。
ほんの少しの光でもまだ見逃したくはないです。夜が明けるのを信じて。

ーまずは前回のインタビュー(vol.100)の際にお話しをお伺いした 劇団☆新感線の『偽義経冥界歌』は、残念ながらコロナの影響を大きく受けて公演自体が中止となってしまいました。この数年は、アーティストとしてもそれまでの活動とは違うスタイルを求められた期間だったと思います。
その間に藤原さんの中で起きた変化などはありますか?また、変わらなかったこともあれば教えてください。

藤原さくらさん(以下:藤原) 変化としては、ライブ活動ができない時期が長かったので、いろいろシフトせざるを得なかったんですけど、配信ライブだったり、色々やりようってあるんだなと感じました。久々にお客さんの前でライブできた時にはあまりにも楽しくて、今まで当たり前にできていたことが全然当たり前じゃなくて、ライブの重みというかありがたみをすごく痛感できました。なかでも、弾き語りのライブを47都道府県でできたって
いうのがすごく大きくて、一人一人に向けて丁寧に歌を届けることができたのはすごくいい経験でしたね。
普通のライブハウスやホールではなく重要文化財に指定されている建物や、水族館だったり、お寺だったり、教会だったり、音楽を聴くだけじゃなくて、思い出というか、印象に残るようなライブを、みんなと一緒に作れた感覚がすごくあって、本当にやって良かったなって感じました。



ーそんな中、今回リリースされた新曲「daybreak」ですが、コロナ禍が終わりかけたと思った矢先に、国内外から日々悲しいニュースが届いてきてしまうようになってしまった、そんな「今」に対するメッセージみたいなものを感じたのですが、どんな想いであの作品を作ろうと思われたのですか?

藤原 日々生活している中で、自分の身の周りでもそうですし、世界情勢を見ても争いが終わらなくて、自分一人の力じゃ何も変わらないって気持ちに時々なってしまいます。例えば投票に行くにしてもどうやったら変わるんだろうって感じることが大人になるにつれてすごく多くなってきて。でも、すごく長い目で見ると、変わってきたことっていうのはたくさんあって、それまでは当たり前じゃなかったものが当たり前になってたりとか、絶望しちゃうような中にもたくさん希望があると思うんです。射している光を見逃さないように、諦めずにキャッチしたいなと感じて歌詞を書きました。



ーその歌詞についてですが、藤原さくらさんの曲においての全編英語詞の曲というのは 珍しくない感じもしますが、今回の「daybreak」は全編英語詞です。何か思いがあってそうされてるのでしょうか?

藤原 最初にこの曲を制作していく中で、自然と出てきた言葉が英語だったんです。ドラマサイドから、日本語か英語かという指定が無かったので、自分から出てきたままに書き進めました。



ーいつも歌詞から先に曲をつくられるのですか?

藤原 メロディー先行が多いですね。今回の「daybreak」は最初にメロディを作ってる時にデタラメな英語で書いていたんですけど、 そのデタラメ英語の中に混じって出てくる言葉みたいなものから少しずつ紡いでいくような感じで作りました。



ー今回はテレビドラマ(「ゼイチョー」)の挿入歌ということもあるので、ドラマの内容が「daybreak」に影響を与える部分というのはありますか?

藤原 漫画原作なので、読ませていただいて感じたことを自分と照らし合わせながら書きました。もちろん、漫画としての誇張されている部分やファンタジーもあると思うんですけど、誰もが避けて通れない税金の話や、生活が苦しいと感じてる登場人物が出てきたり、すごく私たちの身近にある生活のことを描いていて。そんな中でも、力になってくれたり支えてくれる人が本当はいるんだっていうシーンや描写が自分の中で印象に残っていたので、救いの光をテーマに描きたいなと思っていました。



ーアートワークの件も聞きたいのですが、今まで藤原さくらさんのアルバムのジャケットは色彩豊かなイメージがあったのですが今回はとても大人っぽくて重厚なアートワークだと感じました。このイメージはどこから着想されたのですか?

藤原 実は来年新たな作品を出したいなと思ってて、「daybreak」はそれに先駆けたシングルっていう立ち位置なんですけど、その作品全体のイメージが、森の中というか未開の地に足を踏み入れて、そこには見たことのない生き物だったり、植物だったりが生い茂ってて、その森を彷徨った先にひらけた何かがあるみたいなイメージが自分の中であるんです。なのでアートワークにも何か植物を入れたいみたいなことがあったりはしましたけど、ただいつもアートワークとか、アルバムのビジュアルとかそういったことはあまり関与していないんですよ。



ーそれは意外でした。イメージの共有までして、あとはその専門家にお任せするということでしょうか?

藤原 そうですね、アートワークとかMVは自分が信頼して良い作品を作ってくれると思ってる人に全部おまかせしてます。 今回はイメージを、アートデイレクターの佐藤(裕吾)さんにお伝えして、画家の古田和子さんがその絵を描いてくださったんですけど、いろんなパターンが上がってきた時にあまりにも素敵でビックリしました。古田さんともDMでやり取りさせていただいたりしたんですけど、すごく曲のことを愛してくださって、「曲を聴いていると、するすると絵が浮かんできた。」と言ってくださったのは嬉しかったですね。良い化学反応を絵と音楽で起こすことができたと思っています。



ーこれまでたくさんのアーティストの方とセッションやコラボをされてますし、違いの良い部分を化学反応させていくというのが藤原さくらさんのスタイルなのかもしれないですね。そういう意味では楽曲そのものについても、サウンドプロデュースに石若駿さんを迎えられていますが、ドラマーだけあって、バラードで入った曲が終盤に向けてリズミカルでとても明るく広がりのある展開になっていきますね。

藤原 私のボイスメモに石若さんが「こういうのはどう?」ってアレンジを加えてくれました。「daybreak」は、サビでテンポアップして、広がりを見せるようなアレンジになっていて、音から希望を感じましたし、歌詞を書く時に良いインスピレーションをもらえましたね。



ー確かにライブとかでもめちゃくちゃ盛り上がりそうな曲になっていますよね。

藤原 そう、間奏のバンドのソロとかめちゃくちゃ長くしたいなって思いました。



ー作品を作られるにあたっていろいろとプレイリストを作られるそうですね。藤原さくらさんといえば、ジャズやブルース、フォーク、ポップと、 一枚のアルバムの中にたくさんのジャンルを超えた楽曲が詰まっているという印象ですが、それらは毎回プレイリストが作られた上で、自分がこういう表現をしたいというプランがあって作られているのですか?

藤原 それが、今まで私はそういうことしたことがなくて、プレイリストをあらかじめ作ったのも初めてだし、今までは曲が出揃ってから「これってこういうアルバムだ」って、タイトルを付けてきたんですけど、今回は明確なビジョンがあって、そこに向かって曲を作っていくっていう、ちょっと新しい作り方で作っていってます。



ーそれこそ多彩な楽曲の中から先行シングルを選ぶのって結構大変だと思うんですけど、いつもどうやって選ぶんですか?

藤原 今回はドラマがあったので、自ずと「daybreak」になったんですけど、メッセージを取ってみても、この曲が始まりで良かったなって感じています。今後お届けする他の曲もどんどん出来てるんですけど、とてもいい感じなのでほんとに楽しみにしていてほしいです。



ーではここからはせっかくの地元のインタビューなので少し福岡にまつわるお話もまじえて少し聞かせてください。 ここ福岡出身ということはもちろん存じ上げているので不思議な感じがしますがネイティブのジャズやブルースシンガーのような雰囲気をもつ発音がとても気持ちいいと感じていて、同じ福岡で生まれて育ったのに、何故そんな感性が育ったのでしょう?

藤原 福岡って音楽をやってる人が本当に多いじゃないですか。私のお父さんの世代はロックや洋楽をたくさん聴いていた世代で、お父さんとか、お父さんの周りの方々とかが本当にたくさん音楽を教えてくれるんですよね。 だから、自分が最初に興味があって聴いていた音楽以外にも「あっこんなに選択肢がいっぱいあるんだ」ってことに気づかせてもらえました。



ー今天神ビックバンということで天神の街がだいぶ様変わりしています。天神という街にも思い出がたくさんあると思いますが、天神の街での思い出はありますか?

藤原 小学生の時から遊びに来るといったら天神で、そこからどんどん博多駅の周辺も開発されていって、天神と博多はほんとに多くの時間を過ごした街です。今また天神がきてるっていうのはいろんな人から聞いていて、素敵な雑貨屋さんだったり、本屋さんとかも増えてますよね。 イムズとか福ビルの楽器屋さんも、お父さんと一緒によく楽器を見に行ってました。



ーお父さんもベーシストということで、話が合うのはいいですね。

藤原 もう友達のような感じですね。福岡に帰ってきたら、音楽の話をたくさんします。 車で迎えに来てくれたら、最近これがカッコいいよとか教えてくれたり、私も最近これが格好いいから聴いてって、ずっと音楽聴いてますね。ずっと昔からこんな感じでした。



ーとてもカッコいい親子ですよね。ちなみに、最近福岡でお気に入りの場所とかありますか?

藤原 博多駅の方にラジオとか収録に行くことも多くて、そのままの流れで博多駅近くで過ごすことが多いかもですね。 でも油山牧場のほうとかもよく行きます。新しくなってまだ行けてないので、最近生まれた姪っ子ちゃんが、もうちょっと大きくなったら一緒に遊びに行きたいです。



ーそれでは最後に来年4月からは地元福岡を皮切りに全国5ヶ所を回られるライブツアーも予定されていると聞いています。 Zepp Fukuokaから始められるということで地元民としてはとても嬉しく思うのですが、このツアーの件含め、最後に福岡のみなさんへコメントをいただいてもよろしいでしょうか?。

藤原 今までにない私を見てもらえるようなツアーになりそうだなと感じているので、今からとても楽しみなツアーです。 個人的にはしょっちゅう帰ってきている地元なんですけど、かっこいい姿を見せられるように、まずは作品の制作を頑張ります。ぜひツアー遊びに来てください!




PROFILE

藤原さくら
シンガーソングライター。福岡出身。1995年生まれ。父の影響ではじめてギターを手にしたのが10歳。洋邦問わず多様な音楽に自然に親しむ幼少期を過ごす。高校進学後、オリジナル曲の制作をはじめ、少しずつ音楽活動を開始。地元・福岡のカフェ・レストランを中心としたライブ活動で、徐々に注目を集める。
天性のスモーキーな歌声は数ある女性シンガーの中でも類をみず、聴く人の耳を引き寄せる。




INFORMATION

29381

Sakura Fujiwara Tour 2024
◼︎会場 Zepp Fukuoka 2024年4月14日[日]
◼︎開場 16:00開場 / 17:00開演
◼︎料金 1階2階指定席6,600円(税込/ドリンク代別)
※指定席はお席(階数含む)をお選びいただくことはできません。予めご了承の上お買い求めください。
1階後方スタンディング席6,050円(税込/ドリンク代別/整理番号付)
※FCグッツは、当日 、会場のみのお渡しになります。

お問い合わせ:BEA
TEL:092-712-4221(平日12:00〜16:00)
http://www.bea-net.com

INTERVIEW

  • 藤原さくら
    シンガーソングライター
    福岡出身。1995年生まれ。父の影響ではじめてギターを手にしたのが10歳。
    洋邦問わず多様な音楽に自然に親しむ幼少期を過ごす。
    高校進学後、オリジナル曲の制作をはじめ、少しずつ音楽活動を開始。
    地元・福岡のカフェ・レストランを中心としたライブ活動で、徐々に注目を集める。
    天性のスモーキーな歌声は数ある女性シンガーの中でも類をみず、聴く人の耳を引き寄せる。

OTHER VOICE

その他の記事