VOICE 来福した旬な著名人にお話を聞いてきました。
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HIPHOP GROUP
AFRO FUKUOKAの発行人にして、返り咲きの編集長。でしゃばり市民ランナー「西戸崎のぼる」の中の人としても知られています。
ROVIN(チビ)・BAOBAB MC(デブ)・ASHTRAY(ガリ)・NOLOV(中肉中背)の、スタイルも容姿も大きく異なる4人によって2014年に結成後、あれよあれよと全国ツアーや大型フェスの出演、そしてSpotify2017年注目の新人への選出など、ポジティブな魅力を武器にジャンルを超え、日本のヒップホップ界における新たな旗手に名乗りを上げる『JABBA DA FOOTBALL CLUB』。新作のEP『DON'T WORRY, BE HAPPY』のリリースにあわせて来福した彼らに、それぞれのバックボーンや結成までのこと、そして楽曲づくりの話しまで、陽気な彼らの普段の様子が垣間見れる様々な話しを聞かせてもらった。
ー今回は新作のリリースにあわせて福岡をはじめ大阪、京都、名古屋をまわられるということですが、福岡はこれまでにも何度か来られたことはあるのですか?
NOLOV
4回目くらいですね。全部ライブで来ましたね。
ー福岡のライブはちなみにどの会場が多いんですか?
NOLOV
キース(キース・フラック:親富孝通り)が一番多いかな。こないだはどこだったけ。
ASHTRAY
INSA(INSA Fukuoka:春吉)とか?
NOLOV
そうそう、そこね。なんか新しくできたとことだったらしくて、すごいキレイなとこでした。でもやっぱキースが多いっすかねやっぱ。すごいお世話になってるDJとかがキースでやってることが多くて。だから他の福岡の会場はまだあんまり知らないんですよね。
ーそもそもみなさんご出身はバラバラなんですか?
BAOBAB 僕とASHTRAYは東京です。
ROVIN 千葉です。
NOLOV で、僕ひとり離れてるんですけど島根です。
ーなるほど、ではなぜそんな4人が一緒に活動をされるようになったのですか?
NOLOV
僕が大学進学のタイミングで上京して、その時にBAOBABと出会ったんですよ。で、ASHTRAYは僕の学校の先輩で、ASHTRAYとの共通の友達がROVINでっていうドラクエスタイルっすね。別に幼馴染みでもないし、仲が極端によかったわけでもなかったけど、かっこよかったからやろうぜっていって。
ーそもそもみなさん別々に音楽活動をされてたのですか?
ROVIN
そうですね、俺はバンドやってたり。でもまぁその時からラップはやってたりして。
ーそれではみなさん好きな音楽とかバックグラウンドとかも結構違ったりするんですか?
BAOBAB
僕はもともとバンドやりつつ、しかもDJをやっていたので、バンドサウンドとDJというかテクノとかクラブミュージックとか、そういうのを混ぜてやるってことがかっこいいなって思ってて。でももともとはヴィジュアル系から入ってて。それこそX JapanのHIDEさんがすごく好きで。ラウド系からメロコアなど経由して、同時にテクノとかクラブとかも聴くっていう。結構僕はゴリゴリのHIDEさんリスペクトが出まくってますね。ファッションもカラフルになっていくのをみながら、かっこいいって思いながら憧れてみてましたね。
ASHTRAY
僕は中学生の頃とかはオリコンとかMステとかにでるようなアーティストしか知らなかったんですけど、はじめてアーティスト単位で好きになったのはアジカン(アジアンカンフージェネレーション)だったですかね。で、アジカンがすすめている他のバンドとかアーティストの曲も聴いてみようってなったり、フェス行ったりして次第に音楽そのものにはまっていって。オアシスとかブラーとか、UKロックもはまりましたし。で、なんでかほんとよくわからないんですけど、ラップやってます(笑)
ーラップ出てきたの最後の一言だけでしたね(笑)
ASHTRAY
そうなんですよね。でも、歌詞のリズム感とかはラップじゃなくても昔から気になる方で、洋楽とかって結構韻をよく踏んでるんですよね。で、結局その韻を踏むことでメロディーやリズムに気持ちのいい抑揚がついてるって気づいて、これってなんだ?と、韻を踏んでばかりの音楽ってなんだ?と、それはラップだろうと、ということでラップを聴いてみたらすごく気持ちよくてって、それと同タイミングでPSGとかでてきて。ラップに興味を持ち出した時にすごくいいアーティストとか知れたりして、ほんとタイミングがよかったんだと思います。
ー韻を踏むというところで言うと、みなさんの歌詞は特にそこに独特なユニークさがあるなって私も聴いてて思いました。
ASHTRAY
もうあれです、フェチです。いい韻の踏み方をした時の気持ち良さがもうたまらないというか、フェチなんだと思います(笑)
NOLOV
すごいよくわかる。今これ座布団ほしがってるんだろうなぁーとか聴いてて思うもん(笑)もう笑点みたいなもんだよね。
ROVIN
俺はレッチリ(レッドホットチリペッパーズ)とSOUL’d OUTですね。完全にそのふたつです。
ーバンドやられてた時はもう完全にその方向で?
ROVIN
そう、レッチリのコピーとかしてました。でもそもそもはSOUL’d OUT歌えたらモテるみたいなのあって、なんか知らないけど俺歌えちゃったんですよ。でなんか気持ちよくなって、ラップで目立ちたいなぁとか思うようになって。でもラップってどうすりゃできるのかなって思っていろいろ考えて、DJいるのかなとか。でもいや、ラップもバンドでやっちゃえるかもなって考えるようになった時に、ちょうどバンド組もうかって言ってた友達からレッチリの「Around The World」のミュージックビデオを観せてもらって、なんだこれは!と。そっからもう聴きまくってコピーしてをずっとやってたんですけど、だんだん英語であることが嫌になってくるというか、よく考えたら俺英語わかんねぇわって(笑)だから自分でラップ書きたいってなってからはもう自分の言葉でラップやるようになったっていう感じですね。
NOLOV
僕はもうパンク好きなんで、Green DayとかGood Charlotteとか、でもパンク好きからするとパンクじゃねぇって言われるバンドばっかですけど(笑)だってかっこいいんだもんって。日本だったらビークル(BEAT CRUSADERS)とかORANGE RANGEとか、もうまさに俗でしたね(笑)ポップで派手なものが大好きで、そういうのばっかり聴いてたらこうなっちゃいましたね(笑)
ー見事に4者4様というか、みなさんはっきり違うものですね。
NOLOV
そうなんですよ。僕らデブとチビとガリと中肉中背いて、ほんと全員体型も違うからシルエット見ただけでわかるだろっていうくらい結構デコボコなんです。
ーそんな全く違う道を通って、それぞれ好きなジャンルも違うなかで、さぁ曲を作ろうとなった時はどうやってまとめていくんですか?
NOLOV
これまでにいろいろとやり方は変わってきてるんですけど、今回の曲とかは、僕がアイデアとかこういうふうにしたいんだよねとかを作曲してるBAOBABにもっていって、トラックつくってもらって、あとはテーマとかをみんなに共有して、それぞれが歌詞を書くっていうスタイルでしたね。
ーなるほど、ではマイクリレーと同様に歌詞もみなさんでつないでいくっていう感じなんですか?
NOLOV
そうですね、イメージはスタートから結構はっきりしてるので、まず最初にそのイメージをみんなに共有しといて、あとはそれぞれという感じです。例えば「水」ってキーワードを一口に言っても、「水」に対する考え方ってみんな違うじゃないですか。だからそういう単純なワードとかじゃなくて、ほんとにイメージの深いところまで最初にしっかり共有しておくってことは大事にしています。お前にとって「水」ってどういう「水」なの?みたいなディスカッションをしっかりやるみたいな。で、そこでイメージの一本おおきな軸をみんなで共有できたら、あとはみんなそれぞれの膨らまし方で各自つくっていくていう。
ーそういうコミュニケーションってそんなに簡単じゃないと思うのですが、それをバラバラなバックグラウンドのみなさんが集まってできているっていうのがすごいですよね。
NOLOV
そうなんですよね。で、そう、昨日ちょうど曲を作っている時にみんなと話してて、その時の内容がすごい真理ついてるなって思ったことがあって。というのも、女の子の口説き方ってみんな違うわけですよ。たとえば、めちゃくちゃいいセリフで口説き落としちゃう人もいれば、情熱だけで落としちゃう人もいるし、口説き方って結構その人それぞれのスタイルがすごくはっきり表現されてる気がして。口説き方ってその人の魅力とか強みを一番上手に活かそうとするじゃないですか。だから口説き方とその人のスタイルがマッチしてないとダサくなってふられちゃうし。そういう考え方でうちらをみてみると、不思議とみんな口説き方のスタイルが違う4人が集まったなって思ったんですよね。でも4人とも「女の子を口説く」という目標はひとつみたいな。目標だけしっかり共有できてるからそれぞれのスタイルで違う道を通ってもちゃんとそれぞれ中心に集まってくるっていう。女の子を口説ければ細かい口説き方はそれぞれ好きにしたらいいって思ってるから、バラバラなんだけどうまくいくって思ってます。
ーそれはアルバムのテーマとかコンセプトからさぁみんなで共有しようっていうことなんですか?
NOLOV
それが僕らアルバムをひとくくりのテーマでつくるっていうやり方が全くできないので、もう一曲一曲ですね。一曲つくるたびにテーマを共有して、結果的にその曲が何曲か集まって作品集みたいな感じでアルバムできましたって感じなので。1曲のアイデアとかテーマとか共有するのも結構しんどいのに、アルバム全体のコンセプトつくってどうこうとか絶対無理(笑)
ーとはいえデビューからこれまで、全国ツアーとか大型フェスへの出演とか、トントン拍子に来てるのかなって思うんですけどみなさん自身ではどう感じていますか?
NOLOV
いや、全然足んないですね。足んなすぎてやばい。というのも、ライブとか現場レベルで僕らのことを観てくれてる人たちからはかっこいいよねって言ってもらえるんですけど、でもそれがまだまだ届いてない。まぁでも僕らのこと知ってるよって人が一人でも多くなってくれてるなっていうのは感じるので、それはもうめっちゃ嬉しいんですけど、ただまぁやっぱ足んないですね。早く一万人の前でやりたいし。そんなことばっか考えてますよ。ただ、あれですね、曲をリリースしたらちゃんと反応がかえってくるというようになってきたのは超嬉しくて、曲をリリースするっていう行為に対する考え方は変わったかな。
ー曲のリリースという点で言うと、ファンに届くのは楽曲そのものだけじゃなくてアートワークなども大事な要素だと思うのですが、JABBA DA FOOTBALL CLUBの作品はそこへのこだわりもすごく感じるのですが、そこも4人でコミュニケーションとりながら作っていく感じですか?
NOLOV
そこはもう完全に僕ですね。やりたいことが多すぎて。最近は特にアートディレクションしてくれる人とかと仲良くなれる機会が多くなって、僕自身は描いたりつくったりできないんですけど、こうしたいああしたいをぶつけたりするとイメージがかたちとなって出てくるというのがすごく楽しくて。
ーちなみに新譜(DON’T WORRY, BE HAPPY)のジャケットにもそういうアイデアが?
NOLOV
そう、これ実は仕掛けがあって。このジャケットをカバーから出すと大きく広げることができるんですけど、裏は歌詞カードになってて、表は大きな写真一枚になってると、そしてその一部がジャケットとして表に出てるというわけなんですよ。実はこれって、サブスクとかで聴いてる人だったらジャケットの部分しか見れないんだけど、実際にCD買ってくれた人には本当の一枚の写真が見れるよっていうちょっとしたサービスみたいな意味合いも考えてて。サブスクが悪いってわけでなくて、それはそれでありがたいですけど、このご時世にCD買って聴いてくれる人ってすごい貴重というか、ファン感高めというか、そんな人たちを驚かせたいっていうか、記念品に近いじゃないですか盤って。データだけじゃなくてモノとしても残せるし。
ーそもそも「JABBA DA FOOTBALL CLUB」というちょっと変わったアーティスト名もNOVOLさんが考えられたんですか?
NOLOV
いや、そこは単純にサッカーとSTAR WARSが好きなメンバーが多いっていうそれだけなんですけど(笑)
ーそれでは最後に、福岡の街の印象を聞かせていただけますか?
全員
女の子がかわいい(笑)
NOLOV
でもほんと、僕らの後輩に「週末CITY PLAY BOYZ」っていて、彼らは福岡を拠点に活動してるんですけど、彼らは音楽だけじゃなくて、デザインしたりアパレルやってたりっていろんなことをやってるんですね。彼らはもちろん、その周りとか見てると、東京以外にそういう多方面のカルチャーが発信されてる街ってなかなかなくて、福岡はそう意味ではかなり特殊というか面白い街だなぁと思います。
ASHTRAY
確かにインディペンデントな感じは強く感じるよね。
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