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  • 2019.4.10 Wed

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大人計画大博覧会in福岡「30祭(SANJUSSAI)凱旋」、松尾スズキ氏合同取材レポート

TEXT BY 山之内 みか

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山之内 みか
WEBディレクター

鹿児島出身。低血圧、胃腸が弱い6月生まれ。最近手相やおみくじで健康面に注意と言われたので、怯えながらひとまず積極的に鉄分を摂ることを心がけています。

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開館30周年を迎えるイムズに、
人気劇団・大人計画のスペシャルなイベントが凱旋!

多くの人気俳優や脚本家を抱える大人計画と、主宰・松尾スズキ氏の活動30周年を記念して、昨年12月にスパイラル(東京・青山)で開催され多くの注目を集めたイベント「30祭(SANJUSSAI)」。今回そのイベントがイムズ30周年特別企画として、東京以外では唯一、松尾スズキ氏の故郷でもある福岡・イムズで開催されています!


このイベント開催にあたって、松尾スズキ氏本人が来福しての合同取材会が行われるとのことでさっそく行ってきました!これまでの大人計画についてや、若い世代に向けたメッセージなど、松尾さんならではのお話しをたくさんうかがうことができましたので、レポートをお届けします。渋くてかっこいい声でひとつひとつの質問に丁寧に答えてくださり、笑いも交えながらのおだやかで楽しい取材現場でしたよ!それではどうぞ。


アルティアム会場写真 撮影:古賀亜矢子

――東京・青山のスパイラルでも行ったこの博覧会、福岡で開催されるにあたってどんなお気持ちですか。

そうですね、東京の方では25〜26歳の頃からずっと演劇やったり、イベントやったり、わりと精力的にやってきたほうだと思うんですけど、初めの頃はなかなか九州で公演は出来ませんでした。九州に来るようになったのは、35〜36歳以降になってからで、それでもほんとにたまにでして、僕が若い頃どんなことをやってきてたのかを九州のみなさんほとんどご存知じゃないと思うんですよね。自分が今このステージに立つに至る過程やプロセス、そういうものを見ていただくチャンスはなかなかないと思うので、どういう道を辿って松尾はここにいるのかとか、大人計画はどういう集団なんだっていうのを、今回の展示で順を追って観ていく中で、わかると思います。もっのすごくくだらないことをいっぱいやってきてます。(笑)博覧会を観て、こんなくだらないことをやっていても生きていられるんだっていうことを思っていただくこともいいことかなと思いますし、福岡で生まれた男の一つの軌跡というか、そういうものをパノラマで一日にして観るっていう機会もなかなかないと思いますので、ぜひともみなさん来ていただきたいなと思っています。


――そうそうたるメンバーの30年の歴史がわかる展示会だと思うのですが、松尾さんが特におすすめする場所、ここを観てほしいっていうところはどこですか。

僕だけでなく、うちの劇団員もみなさんが見ているのはおそらく、みんな中年過ぎてからだと思うんですよね。その人達の若い頃の写真がいっぱいありますんで、みんな中年の形で生まれてきたわけじゃないんだなっていうのを、是非わかっていただきたいなと思います。(笑)若い頃僕たちはもしかしたら今よりも楽しく、お金はないけど充実して過ごしていたんじゃないかな。すごく金ない感じなんで、そういうのを観て留飲を下げる…留飲は下げなくてもいいんですけど、おもしろがっていただけたらなって思いますね。舞台写真とかもすごく良い状態で展示してますので。そこはうちのスタッフも頑張ったんでぜひとも観てあげてほしいなと思います。


アルティアム会場写真 撮影:古賀亜矢子

――今松尾さんがおもしろいと思うものはなんですか?

面白いと思うもの…うーん、なんですかねー、いや、そんな話しが出てくるとは思ってなかったんで。(笑)これとこれとこれを観ておけばとりあえず日本の笑いは網羅できるんじゃないかっていうある種のバラエティ番組は必ずチェックして、ストレスを受けて帰った日の夜とかにお酒を飲みながら観て気分をリセットするっていうことはありますね。それと、ファレリー監督の「グリーンブック」って映画を見て、いいなぁと思って。もともとファレリー兄弟の撮る映画の大ファンで、うちと同じようにマイノリティが出てきてそれが笑いの俎上に載せられるってところに共感を持ってたんで、そういった映画が脚光をあびてるのはすごく良いことだなって思ったりしてます。


――30年を振り返ったときに、この時代が思い出深いなとか、このエピソードが一番印象に残っているなっていうものがあれば教えてください。

そうですね、宮藤官九郎が僕に「今年からバイト辞めます。」って言ってきたときかな。嬉しかったですね。だいぶ前ですけど、当時食えてたの僕一人だったんで、やっと出た!って、ガッツポーズというか、良かったなって思って。それからまたひとりひとりとバイト辞めていく度に「いいぞいいぞ!」と思ってます。いくらウケていても、劇団で食べていけなかったら30年続けられませんもんね、いくらウケても。そこは自分のポイントだったと思ってます。


――当初全然受けなかったとのことですが、今大人計画から脚光を浴びる方がたくさん出られているって言うことは、世間や時代が変わってきてるなっていう印象ですか。どうしてこういうふうに成長してこられたんだと思われますか。

僕らが成長したって部分と、世間が僕らに慣れたっていう部分が擦り合わさって生きてるってことですね。ただ時間はかかりましたけどね。演劇ではともかく、こうやってマスメディアにみんなが乗って、大人計画っていう特殊な集団がいるっていうのを地方の方々にも知っていただくってところに行くまでにはだいぶ時間がかかりましたね。忸怩たるものがありますけど、でもそれはきっと自分たちがやりたいことを曲げないでやってきたからの遠回りだと思っているので、悔いはないです。


イムズプラザ会場写真 撮影:古賀亜矢子

――自分たちがやりたいこと、「おもしろ」をずっと追求してきたということですが、おもしろさはなぜ必要なのでしょう。なぜそこを追求してこられたんでしょうか。

簡単に言うと、人が面白がってるところを見ることと、自分が面白がることっていうのは身体的な快楽につながることなので。それとこれは子供の時からずっとなんですけど、人より物事を窮屈に感じてしまうところが自分の中にはあって。他の人はスルーできることを、敏感に抑圧と感じてしまう部分があり、そういうことに過剰反応して苦しくなったときに唯一救いになったのが笑いだったんですよね。それはテレビの芸人さんの笑いだったり、ギャグ漫画だったり。子供の頃はギャグ漫画ばっかり読んでたんで。そういうものに救いを求めていたところがあって、だからそれが原体験というか、追い求めてしまう傾向にあると思いますね。


――学生時代も含め、天神の思い出が何かあれば教えてください。

学生時代の時初めて彼女ができたんで、天神ではよくデートしましたね。地下街をうろうろしていました。(笑)あと大濠公園ですかね。


――ご自身の若い頃の過ごし方、どういうふうに考えて生きていたのかをふまえ、今の若者へのメッセージをおねがいします。

僕が若い頃ってまだ、僕みたいな得体の知れない人間でも世に打って出れるんじゃないかみたいな空気感がまだあったんですよね。小劇場の俳優とかがけっこう深夜番組やバラエティに採用されたりとか。僕らみたいにサブカル寄りの場所から出てきた人間にも生きる居場所みたいなのがあったんです。そういう時代の空気の中で、自分なりの特色を出して割り込んでいきたいなっていうのはあるんだけど、すごい人見知りなので、人と関係性を築いていくのが難しいからもう作品だけで勝負するしかない。そういった、けっこう背水の陣みたいな思いで東京にいました。ほぼほぼ曲げずに、あと自分が面白くないって思うことを振られたとしても面白くしてやるぞ!みたいな、そういう気概で生きてきました。そこは自分の中で誇れることかなと思っています。今の若い人たちは状況的にけっこう厳しいところがあるとは思うんですけど、僕みたいな人見知りでも今なんとかこうやって人前で喋っているじゃないですか。だからそういう意味ではやり方次第かと思います。そのやり方は各々で見つけていくしかないんですけど。それがyoutuberなのか何なのかわからないですけど、ネットっていうものが入ってから僕たちの生き様っていうのは全然変わってきましたし、表現の有様っていうのも変わってきましたし、そこからは取り残されてるような自分なんで、そこはむしろ若い人たちのほうがわかってるんじゃないかって思いますけどね。


イムズプラザ会場写真 撮影:古賀亜矢子

――展覧会の中で阿部サダヲさんが「はじめて松尾さんに褒められた」って写真にコメントされていて、そんなに怒られていたのかなぁっていう印象がありました。今いろいろな作品で共演もされていて、昔と今の変化をどうお考えですか。

それは阿部が勝手に頑張ったし、もともと才能があったっていうことに尽きるし、怒ったっていっても最初の頃だけですよ。遅刻が多かったってのと、挨拶をしないとか、目を見て話さないとか、社会人としてどうなんだってところで。もともとあんまり人を褒めるってことをしてこなかったと、それはちょっと反省点なんですけど。褒めてないってことはいいんだよってことなんですけどね。僕、演出席で笑ってたらそれでOKなんで。笑えるか笑えないかっていうのをすごく重要視してきたんで、笑ってればそれイコール「You、頑張ってるよ」ってことなんです。劇団員と映画とか外の仕事でたまに共演すると照れくさいですね。一緒に演出されてるっていうのが、ちょっと不思議な気分になりますよね。


――これからまた新たにチャレンジしていきたいことがあれば教えてください。

自分でプロデュースした演劇を自分で打つっていうことを今年やるんですけど、それはけっこう新しいことかなって思います。大人計画も大きくなってきたし商業演劇にも出てますから、大人数、万単位の人間を相手にする表現が増えてきて、もっとミニマルというか、シンプルなところに立ち戻って演劇をはじめた頃の衝動を思い返せるような芝居を作りたいなって、今年からぼちぼちやっていこうかなって思っています。あと、「108〜海馬五郎の復讐と冒険〜」という映画を監督しました。自分が主人公役で出演しながら監督をするのは初めてのことでしたね。2019年の秋公開なので、是非観て頂きたいなと思います。


――大人計画30年の中で苦労した点があれば教えてください。

苦労したこと…すべて苦労の連続ですけどねぇ。お金のない時代は総じて苦労してますよね。まぁでもお金のない時代でも、たとえば小劇場の2Fの窓から受付に並ぶお客さんとか見ると幸せだなって思えることもあるし、大きな舞台ではこんなトラブル起こるんだっていうような苦しい思いもしますし、苦労は常にありますよね。具体的にひとつひとつあげたらキリがないけど、要するに好きなことをやって生きていくっていうのは楽しいけど大変さはつきまといますよね。


――最後に福岡県への愛を一言!

わたくしが子供の頃から青春時代まで過ごした福岡っていうのはもちろん今の自分を形成するのにすごく大事な時間だったと思うんで、そこにこうやって帰ってきて30年の軌跡を見ていただけるっていうのはすごく嬉しいことだなって思ってます。みなさんよろしくお願いします。


イムズプラザ会場写真 撮影:古賀亜矢子

“30祭(SANJUSSAI)凱旋”のメインイベントとなる「大人計画大博覧会in福岡」は、B2Fイムズプラザと8F三菱地所アルティアムの2会場に、30年分の舞台写真や稽古風景写真、衣装、小道具や、今まで松尾スズキ氏が発表してきた様々なイラストの原画などを展示。1988年の旗揚げ公演から最新作まで、ここでしか見られない写真や貴重な品々を見ることができます。

その他、劇団員と所属メンバー全員の等身大パネルコーナーや、限定グッズの販売なども見逃せない!実際に私も展示を観てきましたが、クスッとしたり、胸が熱くなったり、まるで1本映画を観てきたような気持ちになりました。開催は4月21日(日)まで。ぜひみなさんもこの貴重なイベントに足を運んでみてくださいね!

ちなみに本展では大人計画メンバーによる音声ガイド(有料)を借りることができますが、迷ったなら借りるのがとってもおすすめ!印象に残った出来事や当時の話をメンバーの声で聴くことができますよ。「え、それ何の話し?」ってクスッとしたり、「自分はその頃何してたかなぁ」と当時に思いをはせたり。まるで自分も一員になったような気持ちになります。

EVENT INFORMATION

30祭(SANJUSSAI)凱旋 大人計画大博覧会in福岡
会期
2019年3月16日(土)〜4月21日(日)
【休館日】4月16日(火) 【開館時間】10:00〜20:00
住所
イムズ(福岡市中央区天神1-7-11)
会場
イムズプラザ(イムズB2F)
三菱地所アルティアム(イムズ8F)
料金
一般 1,000円 学生 800円 高校生以下無料、再入場不可
※イムズプラザと三菱地所アルティアムの2会場共通チケットとなります。
※障がい者等とその介護者1名・アルティアムカード会員・三菱地所グループCARD(イムズカード)会員無料
お問い合わせ
三菱地所アルティアム(イムズ8F)
TEL.092-733-2050(10:00〜20:00)
WEB
https://ims-tenjin.jp/special/30sai2019/

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山之内 みか
WEBディレクター

鹿児島出身。低血圧、胃腸が弱い6月生まれ。最近手相やおみくじで健康面に注意と言われたので、怯えながらひとまず積極的に鉄分を摂ることを心がけています。

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