AFRO FUKUOKA

VOICE

VOICE 来福した旬な著名人にお話を聞いてきました。

  • PEOPLE
  • 2009.2.1 Sun

VOICE TITLE

vol.2 東信

花屋

INTERVIEW

  • 東信[あずままこと]
    花屋
    1976年福岡県生まれ。2002年より花屋を営み続け、現在は東京・南青山にてオートクチュールの花屋「JARDINS des FLEURS」を構える。花屋を営む傍ら、2005年からはNYでの個展を皮切りに海外へも活動の幅を広げ、同年12月パリのセレクトショップ「コレット」のクリスマス・ウィンドーディスプレーは大きな反響を呼ぶ。2006年11月にはパリのカルティエ現代美術財団の「ソワレ・ノマド」に招聘されアートパフォーマンス「Kehai(気配)」を披露、2008年7月にはドイツ(デュッセルドルフ)NRWフォーラムにて1ヶ月に及ぶ個展「BOTANICAL SCULPTURE」を開催し約6000人の来場者を集めた。2008年10月〜2009年1月まで東京ミッドタウンにて開催中の21_21 DESIGN SIGHT「セカンドネイチャー」に参加。2009年4月ミラノサローネと同時開催のトリエンナーレ美術館「TOKYO FIBER 09 SENSEWARE」へも出展が決定している。また2007年4月には東京・清澄白河に2年間限定のプライベートギャラリー「AMPG」をスタートさせ自身の作品を発表し続けている。東氏の全てにおける活動は、花・植物のみが有しているもっとも神秘的な形を見つけそれを美的なレベルに変換し表現する事で、植物の価値を高める事に一貫している。
    http://www.azumamakoto.com/

TEXT BY

STAFF
AFRO FUKUOKA

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10118

みんなへの感謝の気持ちかな、そういうものを意識してつくりました。

ここアルティアムでのエキシビジョンは3年ぶりになりますか。

そうですね。前回もWBCと同じ時期だったので、ちょうど3年ぶりになりますね。

さきほど、B2Fのホールのオブジェ「White Emotion」を拝見しました。テーマなど教えてください。

僕も21歳までこっち(福岡)に居たので、IMSはいろいろと思い入れのあるビルなんですけれど。吹き抜けになっていたりするビルの造りとかも凄く印象的だったので、感謝の気持ちというのが上からどーんと落ちて、波のように横に広がってくれたらいいなと思ってつくりました。(モチーフは)しずくですね。しずくはIMSからみんなへの感謝の気持ちかな、そういうものを意識してつくりました。

今回、「AMPG Vol.25」は四期に分けて作品を発表されますね。

そうですね。単純にこのギャラリースペースを贅沢に使いたかったというのがまずあって、こういうミニマムというか、しゃきっとした緊張感で、ひとつひとつ大切に見せたかったというのがありました。かと言って2か月間同じものを展示しておくのはあまりに芸がない。せっかく今福岡に来る機会もあるし、作品をどんどんチェンジしていきながら、どんどん新しい作品を発表していけたらなと思ったので。

式のシリーズでは、松を使われていますが、なぜ松なのでしょうか。

純粋に好きだから、ですね。表現するに値する植物だと思います。

第四期が最新作とのことですが。テーマなど教えてください。

僕は福間生まれなんですけれど、地元で育った植物を使って、ちっちゃい庭のようなものをつくっていけたらと思っています。そういうものを拾い集めるというか。

せかせか何かが動いていて、常にぎりぎりの状態で作品をつくっていきたいので東京に居たいな、と。

福岡にいらした頃のお話をお聞かせください。椎木(俊介)さんといっしょにバンドをされていて、その後花屋さんでバイトを始められたとか。

そうですね。福岡でずっとバンドをやっていて、このままじゃだめになるなと思って。だらだら生活していたものですから。思い切って東京に行ってみようかなと思って(東京に)行って、それでたまたまバイト先で植物に出会ったんですね。

バイト先も椎木さんとご一緒だったのですか。

いえ、僕は僕の花屋で。別々でした。

お花の魅力は何だと思いますか。

枯れて咲くまでの命の塊として、人間とか、生き物はみんなそうなんでしょうけれど、いちばんそれが凝縮しているような存在かなと思います。飽きないし。

昔からお花が好きだったのですか。

いえ、そんなことは全然ないですよ。純粋にバイトで食べていけなかったので、アルバイト先がたまたま花屋さんで、そこからどんどん魅力に惹かれていったという感じです。

なにか影響を受けたものだとか、人だとかはいらっしゃいますか。

影響を受けた人というのはあまりいないですね。ただ、僕らは昔からUKのパンクミュージックから入ってきていて、そういうパンク精神というか、自己満足しないで目の前のものをぶっ壊して新しいものをつくるみたいな。そういうことは、普段東京で花屋をやっていてもアーティスト活動をしていても心がけていることですね。これをつくりました、それで満足するのではなくて、次にもっと新しいものをつくりたい、こういうことをやりたいというのはいつも強く望んでいることですね。そういう姿勢というか。

いずれは福岡に戻ってくる、などは考えていないのでしょうか。

全然考えていないですね。福岡に帰ると酒飲んで寝てますから。(福岡は)そういうのがいい街じゃないですか、食べものは美味しいし、環境も非常にいいですし。

東さんのお仕事で印象的なのが、パリのcoletteやMaison Martin Margiela TOKYOでのお仕事です。ファッション業界とのつながりが強いように感じるのですが。

ファッション系は結構多いですよ。今度もある香水の総合ビジュアルのお話が来ていたりしています。今回テーマがお花みたいで、これはまだ契約していないので公表できないのですが、今もNYのある方たちといっしょにお仕事をさせていただいています。ファッションの人たちって結局、感度が高いというか、いろいろな意味で、ものわかりがよいというか。こういうもの(東さんのお仕事)に対していちばん初めにくいついてきたのがNYの人間だったりしました。日本って、流行れば流行るけれど、やっぱり保守的なことろもありますよね。僕はいちばん初めにそういうところ(海外のファッション)から入ったクチなので。

東京よりもやはり海外の方が、ストイックな環境なのですか。

そうですね。ただ海外だとストイックすぎる環境になっちゃうからね。海外に拠点を移すつもりもなくて、でもやっぱり東京がいちばんいいかな。環境的に、ですよ。東京が素晴らしいと言っているわけではなくて、最低な街だけど(笑)クリエイティブなことをしたり、商売をするにあたってはいちばんいいですね。海外だと行き過ぎだし、福岡だと自分が怠けちゃうし、というところで言うとね。

海外はやはりよく行かれますか。

しょっちゅう行きますよ。一昨年とかは、一年の1/4くらいは行っていました。海外は多いですね、すごく。

AMPGでやってきたものよりもさらに進化したものを、福岡の皆さんに見せたいなと思います。

「AMPG」は既にクローズされているのですか。

3月でクローズです。2年間限定と決めていたので。

何か次の展開は考えられていますか。

そうですね、次は「AMGG」東信ゲリラギャラリー。ゲリラ的に世界各地を廻って、現地の花を使ってインスタレーションしていくというのを今計画中です。計画というか、もうほぼ決まっているのですが。

具体的に、いつ頃スタートするのでしょうか。

できれば6月からがいいなと思っているのですが、今ひとつ、直島の大きなプロジェクトが入っているので恐らく(6月スタートは)難しいですね。一発目はアイスランド。アイスランドの苔を使ってやりたいのですが、時期的に、秋口だと寒いし苔の状態が悪いということなので、7月はバケーションで誰もいないという情報なので、いけるとすれば9月。ただ9月からは逆に、あるプロジェクトの地方のイベント、地方というか、NYから始まり、パリ、ロンドン、香港、ソウル、東京と廻るというのが決まっているので、それが決まればまた9月(からのスタート)が無理になりますが。動きとしては始まっていますよ。

「AMPG」を通じて、得られたものは何ですか。

植物との距離感がうまくとれるようになったことです。昔よりももっともっと植物の本質に迫れたかなとは思っています。ただ、まだまだこれから というのはありますね。

逆に、やり残したことはありますか。

細かいことを言えば本当にたくさんありますが、ひとまず自分が追い求めたものに関してはクリアできたかなと思っていますね。ただまあこれから。最終地点ではないし、何か終わったわけではないと思っているので。ひとつの区切りとしてよかったなと思っています。特に最高の形でこのアルティアムという非常に素敵な空間でやれたというのがうれしいですし、まあ終わったわけではないのでまだ何とも言えないですが、「AMPG」でやってきたものよりもさらに進化したものを、福岡の皆さんに見せたいなと思います。

その人のためにお花を仕入れて、その人のために作品をつくりたかったからというのはあります。究極の花屋を目指していますよ。

「ジャルダン・デ・フルール」には、一般のお客様も来られますか。

もちろんです。お花屋ですからね。今は場所を移動して南青山でやっています。

例えば結婚式などのオーダーもありますか。

多いですよ。ただ、地方への発送はやっていないです。東京だけ。しかもスケジュールが空いたときしかやっていません。ただ、本当に一般的な花屋なので、何でもやっていますよ。

例えば私がお店に伺ったら、東さんにつくっていただくことも可能なのですか。

できますよ。ただ、つくれる人間はいっぱいいますが、僕って指名して頂ければつくりますよ。

これまででいちばん印象的だったオーダー、風変わりなオーダーを教えてください。

結構みんな風変わりよ。パンダの形でつくってくれだとか、鉄と花をミックスしたものをつくってくれだとか。雑草を束ねてブーケにしてくれとかいうのもあるし。基本的には(オーダーしてくるお客様は)多種多様ですね。

普段の生活の中で、お花を贈るという習慣が、海外ほど日本ではあまりないように思います。

そうですね、ただ最近は増えてきましたよ。うちも4割くらいは男性のお客様で多いです。本当に、今から10年前なんて(そんなこと)考えられなかったけどね。福岡の人はどうなんだろうね。あんまりそんなのはないのかもしれないですね。

初めてご自身で花屋を始められたときから、花のない空間だったのですか。

はじめは普通の花屋をやっていましたよ、2年間くらい。

何がきっかけで、今のような形態になったのでしょうか。

お花を大事に思う気持ち、ですかね。結局在庫を抱えるじゃないですか、それをばばっと束ねるのではなくて、何と言うか…お花を大事にしたかったんですね。その人のためにお花を仕入れて、その人のために作品をつくりたかったからというのはあります。究極の花屋を目指していますよ。

肩書きに関して、何とお呼びするのがよいのでしょう。

何でもいいですよ。お花屋さんはお花屋さんだし、フラワーアーティストと言われればフラワーアーティストだし。バカって言われてもいいし(笑)別に、それって代名詞みたいなものですから。でも僕はお花屋さんですね、基本的には。お花をつくってそれでご飯食べてますから。

まあ、いろいろやっていきますよ。次は青山にあるビル一棟まるまる買い取って…とか(笑)そうできたらhappyかなって。

ブログを拝見しています。すべてご自身が書いていらっしゃるのですか。

もちろん。僕のブログですから。

ブログの写真の色がとても印象的なのですが。

コントラストと色みくらいですね、Macで加工しています。こうするとかっこいいかな〜とか思ったりして。写真撮るのはすごく好きなのでね。

ブログでは、博多弁もすごく印象的です。

そうですね。相棒(椎木さん)も博多出身なので会社では結構博多弁で話しています。

最後に、今後の夢を聞かせてください。

ずっとお花と接して新しいことをしてきたいなと思っています。植物を中心に、どんどん新しいことを生み出していければなと思います。僕は必ず2年なら2年で目標をたてて、堅実にやっていくんです。だから2年間隔でものごと考えているんですけれど、 2010年にはある老舗の出版社から写真集を出すんです。まあそれもありますし…。

「AMPG」がひとつの区切りで、次の2年が「AMGG」になるのでしょうか。

そうですね。ただ「AMGG」は永遠にやっていきたいなとは思っています。まあ、いろいろやっていきますよ。次は青山にあるビル一棟まるまる買い取って…とか(笑)そうできたらhappyかなって。

INTERVIEW

  • 東信[あずままこと]
    花屋
    1976年福岡県生まれ。2002年より花屋を営み続け、現在は東京・南青山にてオートクチュールの花屋「JARDINS des FLEURS」を構える。花屋を営む傍ら、2005年からはNYでの個展を皮切りに海外へも活動の幅を広げ、同年12月パリのセレクトショップ「コレット」のクリスマス・ウィンドーディスプレーは大きな反響を呼ぶ。2006年11月にはパリのカルティエ現代美術財団の「ソワレ・ノマド」に招聘されアートパフォーマンス「Kehai(気配)」を披露、2008年7月にはドイツ(デュッセルドルフ)NRWフォーラムにて1ヶ月に及ぶ個展「BOTANICAL SCULPTURE」を開催し約6000人の来場者を集めた。2008年10月〜2009年1月まで東京ミッドタウンにて開催中の21_21 DESIGN SIGHT「セカンドネイチャー」に参加。2009年4月ミラノサローネと同時開催のトリエンナーレ美術館「TOKYO FIBER 09 SENSEWARE」へも出展が決定している。また2007年4月には東京・清澄白河に2年間限定のプライベートギャラリー「AMPG」をスタートさせ自身の作品を発表し続けている。東氏の全てにおける活動は、花・植物のみが有しているもっとも神秘的な形を見つけそれを美的なレベルに変換し表現する事で、植物の価値を高める事に一貫している。
    http://www.azumamakoto.com/

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