それがグイン。人生を長く生きて来た音。
今回の公演のテーマは「千年唄」。永いときを経て受け継がれてきた奄美シマ唄をお聴かせいただけるのを楽しみにしています。朝崎さんがお考えになる、奄美シマ唄の最大の魅力は何でしょうか?
古い時代の生活を唄にして、それが口伝でつたえられていることです。
朝崎さんの唄声には、こころの奥底に触れるやわらかさやあたたかさを感じます。朝崎さん特有の「グィン」という唱法について、お教え頂けますか?また、うたうときに気にかけていることやコツを教えてくれますか?
私が小さい頃、昔の人たちの唄は、なぜか唄に不思議な、何とも言えない音がありました。それがグイン。人生を長く生きて来た音です。
奄美シマ唄といえば譜面がなく、唄の拍数は唄者に大きく影響すると伺っています。同じ唄でも、ご自身のその時そのときのお気持ちで、唄が変化することはありますか?
大いにあります。
奄美シマ唄の歌詞は全て奄美の方言である島口(しまぐち)ですね。歌詞によく出てくる島口を少しだけ教えてもらえますか?
ウガミショレ(古いご挨拶の言葉。原意は「あなたを尊敬申し上げます」。こんにちは おはようございます こんばんは の意で使われます)ハレー(びっくりした時に出てくる言葉)
奄美を離れて最初に来た場所が福岡でした。思い出がたくさんあります。
今回は久しぶりの来福ということですが、福岡での思い出や、お好きな場所はありますか?
奄美を離れて最初に来た場所が福岡でした。思い出がたくさんあります。良く行った場所は、大濠公園です。
今回の福岡公演「千年唄」で唄われる曲の中で、特に思い入れのあるものはありますか?
おぼくり〜ええうみ
そのエピソードも是非お聞かせください。
最も古い唄と言われています。奄美の唄をはじめてピアノで唄いました。今から十二年前です。FMラジオ局などで話題になりました。
ご自身の生活の中に、音楽は切り離せないものであると思いますが、奄美シマ唄以外に好んで聴かれる音楽はありますか?
あります。ひなまつり、赤い靴、赤とんぼ などの童謡。美空ひばりや石原裕次郎も大好きでよく聴きます。
唄のお陰でたくさんの世の人々との出逢いが出来ました。唄に感謝です。
7/22には奄美で皆既日食音楽祭が予定されていますね。世界中が注目する神秘的な自然現象に、幻想的な唄声が響き渡るとあって、大変興味深く思います。まるで自然と対話するようなステージになりそうですね。
今回は、バリのガムラン、インドのシタールとの共演です。バリは、昔の奄美と生活がとても似ているようです。
これまでに印象的だった公演やイベントがあれば、是非教えてください。
2006年、奄美大島「けぃんむんまんでぃ」という野外イベントで、坂本龍一さん他5人のメンバーで10曲ほど連続で、即興コラボをしました。とてもスリリングで、是非、もう一度やりたいと願っています。
奄美シマ唄の唄者でよかったと思えることはどんなことですか?
芸は身を助けると言いますが、唄のお陰でたくさんの世の人々との出逢いが出来ました。唄に感謝です。
後継者にどんなことを伝えて生きたいと思いますか?
唄うだけでなく、唄の意味と、シマグチ(島の方言)をしっかり覚え、唄の背景にある歴史を学んで欲しい。
古い音楽が様々な世界の音楽と融合することによって、奄美だけの音楽ではなく、世界の音楽になっていく可能性を感じています。
朝崎さんの唄声は音楽家にとどまらず、各界の数多くの人々に感銘を与えていらっしゃると聞き及んでいます。また、多くのアーティストが朝崎さんとの共演を熱望し、数多のコラボレーションが実現していらっしゃいますね。朝崎さんご自身は、様々なジャンルの音楽と奄美シマ唄の融合にどんな可能性を感じられますか?
現在も伝えられ、歌い継がれている日本の唄の中で、奄美のシマ唄は、最も古いものに属すると、私は思います。その古い音楽が様々な世界の音楽と融合することによって、奄美だけの音楽ではなく、世界の音楽になっていく可能性を感じています。
若いアーティストや音楽家に向けて、一言お願いします。
今の若い方々は.世界の音楽を聴いて育っているので、大変お耳が良くて、本物の音楽にすぐ反応できることが素晴らしいと思います。
それでは、今後の展望をお聞かせください。
唄える限り、日本全国津々浦々、唄って旅回りをして、奄美の昔の魂と言葉の魂を伝えたいです。古代の多くの唄を口伝で残して下さった先人達へのご恩返しをしたいと思っています。