AFRO FUKUOKA

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VOICE 来福した旬な著名人にお話を聞いてきました。

  • PEOPLE
  • 2012.11.27 Tue

VOICE TITLE

vol.40 Nabowa

ミュージシャン

INTERVIEW

  • Nabowa
    ミュージシャン
    京都を拠点に活動している、4人組インストゥルメンタル・バンド、Nabowa(ナボワ)。現在までに3枚のアルバム、数枚のミニアルバム、シングル、アナログ盤をリリース。セカンド・アルバム『Nabowa』では、ツアーで鍛えられた演奏とノスタルジアをおぼえる、Nabowaオリジナルの世界観が見事に交差し、各方面より大きな反響を得た。リリース後には「FUJI ROCK FESTIVAL ’10」をはじめ大型フェスに多数出演、ライブバンドとしても高い評価を得ている。2012年9月12日、2年振りとなる待望のサード・フルアルバム『Sen』を発表し、「朝霧JAM2012」にも出演。

TEXT BY

後藤 麻与
編集兼スタイリスト

香蘭ファッションデザイン専門学校卒業後、インポートセレクトショップ・広告デザイン会社のマーチャンダイザーを経て、現在は編集を中心にスタイリングまで行う。ファッションをより身近なものにしたいと願う良いお年ごろ。

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それぞれの感覚に身を委ねる。

FUJI ROCK FESTIVALをはじめ、全国各地の大型フェスに多数出演し、デビュー以来ライブバンドとして高く評価されてきた、インストゥルメンタル・バンド「Nabowa」。先日、彼らが2年半ぶりとなるフルバム『Sen』をリリースした。前作の『DUO』では、個性派の5組のシンガーを起用し、非インストゥルメンタルに挑戦していたが、本作でも共同プロデューサーにフィッシュマンズやBOREDOMESなどで知られるzAkを迎え、新境地を拓いている。 2009年のSUNSET LIVE で、はじめて彼らのライブを体験し、すぐさま虜となった私だが、今でも彼らに惹かれるのにはもうひとつ理由がある。それは、もの作りに携わる人にパワーを与えてくれる “自分達が面白いと思うことに進む力”。そんなひたむきな姿勢に感化されるべく、今回も楽曲にまつわる様々な質問をぶつけてみた。

キャンドルライブは、衝撃的にいいライブだった。

サンセットライブ伺いました。発売前の新曲を披露され、会場が盛り上がっていましたね。

景山:今年はサンセットライブが20周年で、俺らも絶対参加したいと思っていました。去年出てなかったのもあり、めっちゃ楽しかった。
山本:サンセットライブは、僕らが初めて出た大きなフェス。だから思い出も多いし、こんなにもいいもんなんだと感動しましたね。参加する時は、いつもライブの前後の日程を空けるんです。出る日だけではなく、3日間そこにいたいから。

サンセットライブではどのように過ごしましたか?

景山:自分達が見たいアーティストのライブにそれぞれ行きますね。個人的には、「Sen」の特典を作らなければいけなかったので、みんなが遊んでる間、宿でパソコンとサンプラーと一緒に、ヘッドホンをして作業してました。でも、どうしても畠山美由紀さんのライブが見たくて、それだけは行きました。キャンドルライブは、本当に衝撃的に良かった。それが、僕の一番の思い出です。
山本:宿に荷物取りに戻ったら、奏くん(景山)が床にパソコンとサンプラーを置いて、作業してましたね。
堀川:今回は、本当に忙しかったですね。僕も、ファイナルファンタジーのトリビュートアルバムに収録する曲の作業をしていました。奏くんの隣で。

どんな所に宿泊したんですか?

川上:会場の近くの民宿です。
堀川:仲の良いバンドも近くの民宿に泊まってて。夜は、そのバンドがいる宿に遊びに行ったり。
山本:あと、宿のすぐ近くあったスナックに、夜な夜なアーティストが集まってきてて面白かったですよ。アーティスト同士が、スナックでお酒を飲んでる姿が。
景山:タロット占いとかしてたね。面白かったよね。

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僕に、ギターを教えてくれたのは啓くん。 僕のギターの師匠です(笑)。

みなさん仲が良さそうですよね。そもそも、現在のバンド編成になったきっかけは何ですか?

川上:最初は3人だったんです。その編成でどうしてもやりたかったからというわけではなく、大学の頃僕と奏くんが美術部で一緒だったからなんです。
景山:バンドを始めたきっかけは、学内イベントでライブペインティングと一緒に僕らが即興で演奏することになって。最初は、打楽器とギターだけだったんですが、その後やっぱりメロディーが欲しいということになり、僕の幼馴染だった啓くん(山本)を誘って。
川上:人の繋がりで集まったバンドです。気の合う仲間とやりはじめて、たまたまできる楽器が違ったみたいな。

音楽を始めたのは、みなさん同じ頃ですか?

川上:バラバラかな。
山本:僕は、3歳、4歳くらいから。
景山:小・中学校時代、僕は啓くん(山本)と一緒に音楽をやってました。啓くんは、昔からヴァイオリンをやってて、ギターをはじめたら、それも上達早くて、めっちゃ格好良く見えました。だから教えてやーと。なので僕に、ギターを教えてくれたのは啓くん。僕のギターの師匠です(笑)。
山本:今じゃ師匠とか、そんなのはないんですけど、あの時は周りに比べたらうまくて。ヴァイオリンと違ってフレットがないから、音楽の授業で初めてやった時にやりやすく感じた。あと、これ絶対モテるわと思って(笑)。達(堀川)は僕ら3人が組んでから2年後に入りました。
堀川:僕は、啓くんと高校の同級生で、僕が軽音部で、啓くんが陸上部だったんですけど、ヴァイオリンが弾けるからよく軽音部に来てくれていて。その後、啓くんのバイト先に飲みにいった時、啓くんのやってるバンドで「ベース弾いて〜」と誘われて。今までずっと続いてますね。

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レコーディングの前、 みんなで合宿みたいなのをやっています。

どんなタイミングで、作品作りに入りますか?

山本:1年に1枚、何かしら作品を発表したいと思っています。ライブでさまざまな所に行き、経験したことの集大成を何かに活かしたいと思います。それに、新しいものを作らないと、結局いつもライブの内容が似たり寄ったりになってしまうので。

曲作りはどんな所でしますか?

川上:レコーディングの前、みんなで合宿みたいなのをやっています。2週間くらいの宿泊パターンで12回。4人で暮らすんです。朝7時には起きて、遅くても夜12時には寝る。同じ環境で生活しながら曲を作っています。同じ曲を作りながら、 同じ時を過ごすというのが、すごく効率良い気がしていて。
堀川:みんな意識がひとつのことに向かうから、かなり効率が良い。
山本:早寝早起きと美味しいご飯。
景山:全くサボれないから。

合宿では、ひとりひとり役割はありますか?

景山:役割というよりも、ルールがあります。洗濯や食器洗い担当とかを、トランプで決めてます。何をするにも、担当者を決めるのは、ご飯後にやる大富豪(笑)。
山本:大富豪で独自のルールをどんどん作っていってますからね。できるだけ長い間楽しむために、いろいろなルールを付け足していく。今日は、早く終わらせないといけないという時はあの難しいやつでいこうとかいってやってます。
川上:まあ一日、必ず5回以上はやってますね。

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一人のプレイヤーのこだわりというより、 バンドとしての完成度を優先できた。

今回のニューアルバム「Sen」は、どんな仕上がりですか?

山本:すごくライブ感がある。躍動感があるというか、本当にライブを聞いてるような気がする。どっと身近に迫ってくるようなイメージだと思います。
堀川:本当にダイナミックで、勢いがあるよね。そういう意味で、僕らがやりたかったことが今回のアルバムに詰っていると思います。これまでパートごとに音を録り、後で編集するというやり方でした。でも今回は、4人一気に音を録ってます。
景山:一人のプレイヤーのこだわりというより、バンドとしての完成度を優先できたというか、細かい個々のミスよりも、一発目の音楽から感じる、臨場感や勢いを重要視しています。それが本当に良かった。
山本:「Sen」を出してから、他のパートのことを考えられるようになったと思います。この部分、俺は結構ミスしてるけど、ギターは今すごくいい音をしてた し、やっぱりこの時の方が良かったのかなとか。自分のパート以外のことを基準に、音の良し悪しを判断できたのは良かった。だからバンドとしての音を考える良いきっかけになりました。今後もこんな感じでできたらと思います。
川上:自分はミスしてしまったけど、そんなこと気にならないと思えるくらい、今のテイクは良かったんだと思えましたね。
景山:今回は、僕らの音楽を客観的に判断してくれるzAkさんの存在が大きかったです。もし僕らだけで一発録りした場合、「あ〜今のは違う」と、誰かがいい始めてたと思う。

プロデューサーのzAkさんは、どんな方ですか?

山本:もともと直接的に面識はなくて、僕らが一方的に知ってる感じで。だからレコーディングする前に絶対会いたいということで、会いに行きました。その時は、僕しか行けなかったんですが、レコーディングについて、バンドでやるということはどんなことかとか、レコーディングに挑む前の心構えを教えてもらいました。バンドというものに対しての独自の考えや哲学をお持ちの方だったので、すごく面白かったです。そのことを、僕は帰り道のバスの中で、みんなに、長文でメールを送ったよね。

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ライブは「手料理」。 ライブは、その日限りのものだからこそ、 今の力をすべて注げられるんだと思う。

アルバムタイトルの由来は何ですか?

川上:「Sen」を作る前から決めていたのは、次はゲストなしで全曲インストゥルメンタルのアルバムにしようということ。 それで今回は、ナボワの最小単位をイメージさせる”点”で表現したいと思っていたんですが、それぞれの点が繋がり、一本の線になり続いていくというイメージに落ち着きました。普段、僕らはお客さんに対し、詳細な説明をするのが好きではありません。それもあって、いろんな意味にも取れるような言葉を選び ました。

アルバムの収録曲に、「No Violin, No Nabowa」という曲がありました。これはライブではどんな風にプレイするんですか?

山本:今回のアルバムで、1曲はヴァイオリンの入っていないものを作りたいと前から話していました。いつもとは違う曲に対し皮肉を込めて…このタイトルにしました。ライブでは、ヴァイオリンが主旋律を演奏しています。

ツアーへの意気込みを教えてください。

景山:9月から始まったツアーで、半分くらいまできましたが、レコーディング時と、少し変わった気がしています。そこが演奏面にも出てると思います。今の僕らにおいて最高の演奏を、ライブでは毎回繰り広げていますので、CD を聞いたことがある方もそうでない方も、ライブを聞いて欲しいと思います。きっと毎回全然違うことをやっていると思うので、それを楽しみに、何度も来ていただけるとすごく嬉しいです。
堀川:九州は、これまでに行ったことがないところも多くて。やっぱり、初めていく土地には、すごくワクワクしています。すごく楽しみです。
山本:ライブは「手料理」。ライブは、その日限りのものだからこそ、今の力をすべて注げられるんだと思う。ライブは、毎回最高点を更新していくところであるべきだと思っています。だからこそ、昨日より今日の方がいいものをやりたいし、今日より明日の方が良いものができないといけない。ツアーは、ちょうど今折り返し地点に差し掛かっていますが、一度来ていただいたお客さんにも、ぜひまた別の会場での僕らを見て欲しい。
川上:バンドとして大事にしていることなんですが、場所にはこだわらないでいたい。例えば、カフェのようなところで、アコースティックな僕らのライブも聞いて欲しいし、すごく大きな空間でも聞いてもらいたい。そのどちらも、僕らの表現したいことだと思うから。これからもいろいろな環境で、僕らのライブを楽しんでもらいたいです。

INFORMATION

LIVE 11/18[日]開催!
■Nabowa new album『Sen』リリースツアー 福岡公演

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    ミュージシャン
    京都を拠点に活動している、4人組インストゥルメンタル・バンド、Nabowa(ナボワ)。現在までに3枚のアルバム、数枚のミニアルバム、シングル、アナログ盤をリリース。セカンド・アルバム『Nabowa』では、ツアーで鍛えられた演奏とノスタルジアをおぼえる、Nabowaオリジナルの世界観が見事に交差し、各方面より大きな反響を得た。リリース後には「FUJI ROCK FESTIVAL ’10」をはじめ大型フェスに多数出演、ライブバンドとしても高い評価を得ている。2012年9月12日、2年振りとなる待望のサード・フルアルバム『Sen』を発表し、「朝霧JAM2012」にも出演。

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