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VOICE 来福した旬な著名人にお話を聞いてきました。

  • PEOPLE
  • 2013.5.10 Fri

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vol.46 宮藤官九郎・平岡拓真

映画監督

INTERVIEW

  • 宮藤官九郎
    映画監督
  • 平岡拓真
    俳優

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STAFF
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人気脚本家でありながら、演劇、音楽など幅広い分野で活躍する宮藤官九郎さんの約4年ぶり、3作目となる監督作『中学生円山』。この5月18日の公開を前に、宮藤官九郎監督と、本作の中心人物である中学生・円山克也を演じた平岡拓真さんが来福!謎のシングルファーザーと中学生の"特大妄想劇"と称される本作の見どころや制作秘話について、お二人にお話を伺ってきた。

次はせめて3年で撮りたいですね(笑)。(宮藤監督)

宮藤監督、4年ぶり3作目となる監督作の完成、おめでとうございます。

宮藤:本当はもっと早く撮りたかったんですけどね。前作を撮影し終えて、観ていただいた方からの感想とかを聞きながら余韻に浸っていると、別のお仕事のオファーをいただいて。まあ、そんな感じで自分の作品を後回しにしているうちに4年が経ってしまいました。次はせめて3年で撮りたいですね(笑)。

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また宮藤さんが考えた個性的な役を演じることが出来ると思うと、嬉しかったです。(平岡拓真さん)

平岡さんはテレビドラマ「11人もいる!」に続き、宮藤監督の作品に出演されて、いかがでしたか?

平岡:「11人もいる!」に出演する以前は、結構まじめな役をさせていただくことが多くて、自分もそういう役の方が好きだったんです。でも、「11人もいる!」で個性的な役をいただいて、最初は難しそうだなと思っていたのですが、演じているうちにどんどん楽しいと感じるようになっていきました。なので、本作のお話をいただいた時は、また宮藤さんが考えた個性的な役を演じることが出来ると思うと、嬉しかったです。きっと、宮藤さんの考えたキャラクターなら、どんな役でも演じていて楽しいはずだと思って、台本を読む前からすごく楽しみでした。

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妄想の世界にのめり込んでいく中学生・円山克也を実際に演じてみていかがでしたか?

平岡:克也が服を脱ぐシーンがたくさんあったので、完成した作品を観た方からは、恥ずかしかったでしょ?って聞かれるんですけど、そういうシーンがあることは、台本をいただいてすぐに覚悟していたので、全然平気でした(笑)。それよりも、リアルな中学生の自然な表情を意識して演技することの方が難しくて大変でしたね。でも、すごく楽しかったですよ。

「団地」と「中学生」という組み合わせを思いついたのは、僕自身の妄想からなんです。(宮藤監督)

舞台に団地、中心人物に中学生という構想はどこから思いついたのですか?

宮藤:もともと「妄想」をテーマにした映画にしたいなと考えていて、それに必要不可欠な要素として「団地」と「中学生」を組み合わせました。これを思いついたのは僕自身の妄想からなんですけど。僕の仕事柄なのですが、世間のお父さん方が普通はお仕事をしている日中の時間帯にベビーカーを押して公園に行ったり出来るんですよ。そこで集まっているお母さん方とお話ししたりするんですけど、その様子を客観的に見たら、すごく変じゃないのかなって、ある日思ったんです。そこから僕の妄想が広がっちゃって。中学生がもし僕のような人を見たら「あいつは人殺しなんじゃないか」と妄想を繰り広げたりするかもなって(笑)。中学生の頃って、知識も経験も無いから、いろんなことを勝手に妄想して楽しみながら、現実との折り合いを付けていくじゃないですか。そこで、妄想と中学生と謎のシングルファーザーという組み合わせが完成しました。舞台は、生活圏にたくさんの人がいる都会の住宅街、なおかつ、プライベートがあるようで無い場所がいいなと思い団地を選びました。

円山克也くんのように宮藤監督も中学生の頃はよく妄想されたんですか?

宮藤:しました。中学生の頃だけじゃなくて、今でも。そもそも僕の監督とか脚本という仕事は妄想からスタートするので。妄想って、なんだかネガティブなイメージがありますけど、誰でもすることですからね。

平岡さんも妄想すること、ありますか?

平岡:僕は、家族が宇宙人だったらどうしようとか、そういう妄想をしちゃいます(笑)。妄想するという点では円山にすごく共感出来ました。

宮藤監督は、中学時代どのような学生でしたか?

宮藤:中学の頃は、僕の実家が溜まり場になっていたので、よく学校帰りに友達数人と集まって遊んでいました。ちょうど『スネークマンショー』というラジオコントが流行っていたので、それを真似て、みんなでコントを作ってテープに吹き込んでみたりとかね。

その頃から何かを作るということがお好きだったんですね。

宮藤:そうですね。やっていることは全然変わっていないと思います。現に、今活動している『グループ魂』とかはそのラジオコントが原型になっています。

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あえてシンプルに「信じれば叶う」ということだけを想ってブレずに撮りました。(宮藤監督)

本作を観る方に一番伝えたいメッセージは何ですか?

宮藤:大げさなことではなく、ただ単に「信じれば叶う」ということを伝えたいですね。信じる内容は、人の命を救いたいとか大スターになりたいとかいう大きなことではなく、ちょっとしたことでいいんです。深い意味を付けるわけではなく、あえてシンプルに「信じれば叶う」ということだけを想ってブレずに撮りました。もちろん完成を観たのですが、僕自身、今までの作品の中で一番満足度の高い作品となりました。

最後に読者の方にメッセージをお願いします。

宮藤:男子中学生のありのままを美化することなく描いた作品です。女性の方が観るのであれば、男の子ってこういう感じなんだなと、未知の世界を楽しんでいただきたいですね。なおかつ、面白かったねって言ってくれるような懐の深い女性は、きっとモテますよ(笑)。男性の方も女性の方も、是非、共感や発見をしながらお楽しみ下さい。

平岡:試写会に来ていただいた方から、「最初から最後まで笑いっぱなしだったよ」と言っていただけるくらいとても楽しい映画です。妄想と現実世界のギャップを感じられるのもすごく面白いと思いますので、是非、劇場でお楽しみ下さい。

INTERVIEW

  • 宮藤官九郎
    映画監督
  • 平岡拓真
    俳優

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