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VOICE 来福した旬な著名人にお話を聞いてきました。

  • PEOPLE
  • 2012.10.1 Mon

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vol.38 中原慎一郎

プロデューサー・ディレクター

INTERVIEW

  • 中原慎一郎[Shinichiro Nakahara]
    プロデューサー・ディレクター
    1971年、鹿児島県生まれ。ランドスケーププロダクツ代表。 オリジナル家具等を扱う「Playmountain」、故郷である鹿児島に、カフェ「Playmountain KAGOSHIMA」、子供のためのレーベル「CHIGO」を展開している。また店舗設計業務、イベントプロデュース・ディレクションを手がける。2012年より 「マルヤガーデンズ」(鹿児島)のアドバイザー、「Shibuya Hikarie ShinQs」内のイベントスペース「Craft Bureau」のディレクターに就任。

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STAFF
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誰かのために、自分が得たものを隠すことなく伝える。

インテリアショップやカフェの運営をはじめ、様々な分野でデザイン活動を展開する「ランドスケーププロダクツ」の代表・中原慎一郎さんが、先日、自身のプロデュースするイベント会場設営のため来福した。今回は、そもそも雑誌「Casa BRUTUS」の"九州の旅案内"の立体版として企画されたイベントなのだが、設営現場では中原さんご自身が、会場を作りながらも展示商品に見入ったり、商品を持ってきた生産者と話こんだりする姿などが印象的だった。今回の取材では、そんな純粋な気持ちで物事と向き合う中原さんから九州の新しい魅力を教えてもらった。

「マン メイド オブジェクト」であることを意識しています。

中原さんがお仕事で大切にしていることは何ですか?

物作りでは、プロジェクトのコンセプトとして、「マン メイド オブジェクト」であることを意識しています。つまり、どんな生産方法であったとしても、人の仕業というか、手仕事としての素晴らしさみたいなものを大事にしたいと思っています。また自分達で作らないにしても、「Playmountain」では、そういった物を扱うようにしています。

会社名に込めた想いなども教えてください。

僕達は、家具から家自体まで作っていますが、そのプロダクトが来たことによって、そこの景色がいつもより良く見えるようにしたいと思っています。僕達が作ったもので、住環境の空気を少しでも気持ち良くできたら嬉しいです。そして僕達が、プロジェクトの現場にデザインするだけではなく、どっぷり入り込むことによって、物事が面白い方向に進んでくれればと思います。そのために、プロジェクトにはどんな風に接するといいのかとか、自分達の立ち位置はどこかなどをじっくり考えるようにしています。パフォーマンスとしてデザインするのではなく、あくまで必要な時にだけ、デザインが果たせる役割を考え表現する。デザインは最小限に押さえたいと思っています。

デザインは続けることがすごく大事なこと。

デザインを始めた当初と考えは変わりましたか?

若い頃は、欲だらけですよ(笑)。格好良いものを作りたいとか、単純にそういう想いがありました。あと売れるものを作ってみたいとか思っていましたが、実際そう上手くはいかないんですよね。今思うと、デザインは続けることがすごく大事なこと。東京にいる人間とよく話すんですが、自分達に実力があるから今業界に残っている訳ではなく、完全にデザインを続けたからなんです。きっと、欲だらけで何かをしても上手くはいかないだろうし、人のために愛情を持ってやることや自分たちの満足できることを探すことが大切だと思います。十数年仕事をしてきて知識の蓄積も出来て、最近ではさまざまなコミュニティとの繋がりも出来たからこそ、改めてそう感じます。

中原さんは、仲間との繋がりを大事にお仕事されているイメージがあります。

そうですね。今は、自分のコミュニティに対しすごく興味があります。鹿児島に帰るようになってから想うことなんですが、自分の会社のスタッフでもないのに、一つのプロジェクトに対し手伝ってくれる人が自然と集まってくる。そんなすごく気持ちよく仕事が出来る仲間達と何かをやろうと始めたのが、鹿児島で開催したイベント「さつまもの」というプロジェクトです。今回のイベントは、そういったことがどんどん広がり、九州全体をテーマとしたイベントになっていった感じです。

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ランドスケーププロダクツ発行の書籍「ぼくの鹿児島案内」の著者でもある岡本仁さんはどんな方ですか?岡本さんが、メンバーに加わってから会社の活動に変化はありましたか?

岡本さんは、編集者だから、明るい未来を描ける言葉の力を持っていますが、何より物事を客観的にまとめるのが上手な人です。編集者としての直感力や新しいものを見いだす開拓力もありますし、僕達のやるべきことのバランスを保つのにすごく役だっていますね。会社の業務内容としては、これまで設計やグラフィックなどデザイン全般の業務が中心でしたが、今ではディレクションの仕事も増えました。僕達が、一つのブランドのディレクターとして参加し、プロジェクトを企画・計画することも多くなりました。

自分が良いと思っていることを上手に伝えられる人が居るお店は、すごく魅力的だと思います。

鹿児島の魅力を教えてください。

鹿児島の人は、おおらかで何でも受け入れてくれるところがあります。また、何か質問されたことに対し、概算で答える事が多い。僕も友達に「中原さんに頼むと、聞いてた店の数より2件多い」とか言われます(笑)。ありがた迷惑みたいな感じで言われるので、それが怒られているのか、褒められているのかがよく分からないです。

中原さんご自身もお店を運営されていますが、魅力的なお店の理由は何だと思いますか?

もちろんお店の独自性は大事ですが、そこの魅力をしっかりわかっている人がいるかどうかだと思います。自分が良いと思っていることを上手に伝えられる人が居るお店は、すごく魅力的だと思います。店の商品を仕入れるまでに至った経緯やそれとどう暮らしているかなどストーリーも語れるといいですね。新しい人との出会いを逃さず、自分の想いをそのまま伝えられる能力に長けた人がいて欲しいと思います。そういう意味で、今回のイベントに参加している人達のお店は素敵なところばかりです。

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自分が案内する側だったらどうするかなど考えて見て欲しいですね。

今回のイベントの見どころを教えてください。

今回は、九州各地にある面白いお店7ヶ所を基点に、そこのスタッフ達がおすすめするところをそれぞれ案内してもらっています。僕が面白いと思うお店といのは、特殊なことをよく知っている人がいます。そんな人達と知り合うことをポイントに、そこから始まる様々な旅を楽しんでもらいたいです。擬似的な旅ではありますが、誰かをガイドブックにはのっていない面白い場所に案内するとして、自分が案内する側だったらどうするかなど考えて見て欲しいですね。

あの人を招待するんだったら、ここはイイとかダメだとか想像してみると楽しそうですね。

相手のことを考えながら、案内先を探してみると、意外に自分の方が新しいところを発見することもあるんですよ。以前、僕が岡本さんを鹿児島に案内した時、僕より年上の男性をどうやったら満足させられるかすごく悩みました。結果、高校生の頃からずっと素通りしていた見た目入りづらいお店を選んだんです。創業100年位、池波正太郎も通っていたという「湯豆腐 ごん兵衛」というお店です。一か八かで案内してみたんです。そしたら、岡本さんがものすごく気に入ってくれて。明日は、あそこに連れて行こうと別のお店を考えていたのに、「実はもう一回あそこに行きたい」と、結局連日「湯豆腐 ごん兵衛」に行きました。

今回の参加ショップのものでオススメのものはありますか?

今回は、案内人であるみなさんにお任せしているので、僕ではオススメできません(笑)。そもそも、僕らに対しての「九州案内」がテーマなので、僕も楽しむ側の人です。みんなそれぞれ見せたいものや買わせたいもの、食べさせたいものを提案してくれていると思うので、僕もそれを見て楽しもうと思います。

僕は、そんな”シェアする気持ち”が今は一番大切かなと思っています。

イベントの楽しみかたはありますか?

これを機に、自分が知っている良い場所や良いものなどを、みんなとシェアして欲しいと思います。僕は、そんな”シェアする気持ち”が今は一番大切かなと思っています。僕は良い情報を知っていたら、誰かに知らせないともったいないと思ってしまいます。良いものはいい!と、そういう気持ちを共有し、そのものの本質をしっかり評価したり、売れるようサポートしてあげたりできたらいいと思います。

中原さんが福岡で気になっている場所はありますか?

最近は八女に行ったり、郊外を車でまわるのが面白いです。基本、ひとつの場所にとどまることは無いので、欲張っていろんなところに行きます。いろんなところに行きたいし、いろいろ食べたいし、たくさん人と会いたいし…ジッとしてられないですね。仕事先でも、少し時間ができると、ふらっとどこかに立ち寄ります。僕はそんな性格なので、例えば社員が出張に行き、どこにも寄り道せずに帰ってきたら叱ります(笑)。もったいない!せっかく知らない場所に行ったのにと。僕は、仕事を少しでも早く切り上げ知らない場所に行くのが好きですね。

まだ行ってないところで、興味があるのは?

友人に熊本の天草の話を聞き、すごく行ってみたいです。歴史的な部分でも興味があるし、歴史や伝統のあるところは職人芸を感じられるものも残っている場合が多いので興味深いです。あと、鹿児島でも、奄美以外の島々はあまり行ったことがないので、与論島とか、沖永良部島とか、徳之島に行ってみたいです。

INFORMATION

開催中〜10/15[月]まで
■みんなでつくる九州案内

INTERVIEW

  • 中原慎一郎[Shinichiro Nakahara]
    プロデューサー・ディレクター
    1971年、鹿児島県生まれ。ランドスケーププロダクツ代表。 オリジナル家具等を扱う「Playmountain」、故郷である鹿児島に、カフェ「Playmountain KAGOSHIMA」、子供のためのレーベル「CHIGO」を展開している。また店舗設計業務、イベントプロデュース・ディレクションを手がける。2012年より 「マルヤガーデンズ」(鹿児島)のアドバイザー、「Shibuya Hikarie ShinQs」内のイベントスペース「Craft Bureau」のディレクターに就任。

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