AFRO FUKUOKA

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VOICE 来福した旬な著名人にお話を聞いてきました。

  • PEOPLE
  • 2017.1.19 Thu

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vol.74 惣田紗希

グラフィックデザイナー/イラストレーター

INTERVIEW

  • 惣田紗希
    グラフィックデザイナー/イラストレーター

TEXT BY

しばた たみ
AFRO FUKUOKA ふく編集長

福岡糸島生まれ。カルピスとヤクルトが好きです。カタカナと横文字に弱いです。 へらへら:★★★★☆ 【特徴】どんな感情でも眉毛が下がっており、だいたい目がありません。 http://tamitawi.tumblr.com/

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辿り着いた先は、いかに線を削ぎ落として動かせるか。

今若者に絶大な支持を集めている音楽バンドceroのアートワークなどを手がけ、グラフィックデザイン、書籍デザイナーとしても活躍しながら、独特の存在感を持つイラストレーターとしても関東を中心に韓国でも個展を開催するなど活躍の幅を大きくもつ惣田紗希さん。昨年11月、渡辺通のSTEREOCOFFEEにて九州初の個展「いつかいつかの」が行われ、国内新作のドローイング(線画)などを拝見しながら活動などについてお話を伺った。

「今までやってきたことを活かせるかな…。」からはじまった。

ー音楽関係のアートワークが多いですが、惣田さん自身も音楽活動などはやられていたのですか?

いえ、全くです。残念ながら音楽は詳しく無く(笑)。桑沢デザイン研究所という専門学校でデザインの勉強をしていたのですが、ceroというバンドのオリジナルメンバーでドラムをやっていた柳智之くん(現在はイラストレーターとして活躍されている)と同級生で。そこからceroのライブに行くようにもなって、音楽界隈でも繋がりが出来てって感じで。もともと私も書籍のデザインがやりたかったので、卒業してからは書籍のデザインを2年ぐらいやってました。

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—そこから、そのままフリーになられたんですか?

本は好きだけど、ずっと事務所に篭って作っているのはおかしいぞ、パソコンにしか向き合ってないし…この本作ってるけど、誰が読んでいるんだろう?ってくらいに疑心暗鬼になってしまい、勤めていた会社を辞めて、改めて本とデザインの勉強をしてみようと思ったんです。本屋でアルバイトをはじめて、週末だけ東京の青山ブックセンターで行われているミームデザイン学校に通い、ブックデザインを改めて学びました。そんな時に、ceroが「アルバムを出すからジャケットのデザインを やってよ!」と声を掛けてくれて。CDのジャケットは初めてやる仕事だったんですが、中のブックレットは本の要素もあるんで、やってきたことを活かせるかなって。そうして始まった仕事が音楽家同士の繋がりのなかで「うちでもやってよ」と声を掛けていただくことが増えて、フリーでの活動が始まりました。

—この、なつやすみバンドのジャケットもそのような繋がりですか?

そうです。これはデザインもそうなんですがイラストも描いている仕事で。 なつやすみバンドの曲はポップだけど無機質な所が「いつも描いてる絵に合うんじゃないの?」って言われて。それまではイラストレーターとしてやってくつもりはなかったので「これででいいのかな…」って言いながら。

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中央下がイラストレーターとして活動するようにきっかけとなったなつやすみバンドのジャケット。

—わたしはイラストから惣田さんのことを存じていたので驚きです。

デザイナーとしてイラストレーターさんに「これを描いてくれ」っていうのはずっとやってたんですけど、まさか自分で描くとは思ってなかったんです。恐る恐る描いたのがあれなんです(笑)。

—そんな、ひょんな出来事から関東を中心に韓国などワールドワイドに個展を行うようになったイラストレーターとしての活動その経緯を教えてください。

なつやすみバンドの仕事から雑誌の挿絵の依頼があったり、書籍のデザインでもイラストを描くようになり仕事として現在のスタイルにたどり着いた感じです。そうするとどんどん広がって個展をやりなよって。

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韓国での個展の際に描いた200枚近い生原稿。

—すごい。こちらも自然とファンがついてきたという感じですね。確かに独特の存在感をはなつ世界観はとても魅力的です。なにかコンセプトなどはありますか?

よく「あの女の子はよく誰なのか」「自分なのか」「モデルがいるのか」聞かれるんですけど、自分としては誰でもないです。しいていうと…影響を受けているのは、コンテンポラリーダンスのダンスカンパニー、ローザスの「Rosas danst Rosas」という作品に出てくる女性ですかね。同じ格好をした女性たちがどんどん現れて、建物の中の動きとダンス含めて構成されてる映像があるんです。そのダンスしているときの体の節々のラインの美しさを描き出したいと思って描いています。体を描いてるけど体を描き始めると人になるので頭も描くけど顔は描いてないとか、ラインとして描き出してみて、人ではないけど、でも人だから、髪の毛は風で揺らしやすい長さのボブにして、体のラインを描きたいから半袖半ズボンにして、手足がすらっとして、人の形なんだけど誰でもないからいろんなもの省略して、目だけ残ってって感じで。

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—デザイナーとしての構成の能力も大きく影響しているんですね。風になびくような曲線がすごく印象的で綺麗だなって思っていたのでダンスと聞いて納得しました。

そうですね。女の子を描く時は、人を描くと言うよりは曲線とか、風で揺れる髪のラインとかをどれだけ線を削ぎ落として動かせるかということを意識しています。 それから3年前に東京から故郷の栃木に戻ったんですけど、改めて街を見渡すと土手や山に囲まれてて、季節ごとにどんどん植物が生え変わってて。風で常に草とか木が揺れてて、こういうのも描けるようになりたいなって思うようになりました。人の体を描くように観察して、ラインを描き出して、描けるようになって、人物と植物を組み合わせてみたりしてます。今回のSTEREOCOFFEEでの個展「いつかいつかの」も人物と植物の組み合わせるけど、その境界をなくしていく感じで、線を削って、繋げていくということをテーマにしています。

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—はじめからこのスタイルでなくて、環境が変わったことによって今のスタイルが生まれたんですね。今後も変わっていく可能性もあるんですか?

あるかもしれません。

—デザインの方も、文字を組むのがすごく好きということで意識されてることがあれば教えて下さい。

音楽がゆったりしてたら、字間や行間をゆったり組んだりとか、逆にギュッて詰めて面で見せたりとか、その中にイラストを組み合わせたりとか。つねに視線をどこに置くか、どこにたどり着かせるかを意識しています。ただ、音楽デザインは書籍より可読性がなくても許されるところがあります。書籍だとちょっとでも文字に絵がかかったらだめとか、読みづらいとか、結構厳しくて。音楽なら、読めるけど読めなくてもいいくらいのデザインが許されている部分もあると思います。

—最後に惣田さんが追いかけている人がいれば聞きたいです。

デザイナーのつもりでデザインをやり始めて、イラストレーターとしての仕事も多くなってきた時に「これは大丈夫なのか?」っと感じた時があって。どっちも中途半端になってるんじゃないかって。そんな時に宇野亜喜良さんとか和田誠さんとかはイラストを描いてるけどデザインもやっている人で。こういう偉大なる先輩方がいるなら、これで大丈夫なんだって。描くことは続けようと思ってます。

—ありがとうございます。

また福岡でお会い出来ることを楽しみにしています!

INTERVIEW

  • 惣田紗希
    グラフィックデザイナー/イラストレーター

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