AFRO FUKUOKA

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VOICE 来福した旬な著名人にお話を聞いてきました。

  • PEOPLE
  • 2017.12.9 Sat

VOICE TITLE

Vol.85 山崎貴

映画監督

INTERVIEW

  • 山崎貴
    映画監督
    1964年6月12日生まれ、長野県出身。
    2000年『ジュブナイル』で映画監督デビュー。CGによる高度なビジュアルを駆使した映像表現・VFXの第一人者。2005年には『ALWAYS 三丁目の夕日』が第29回日本アカデミー賞において計12部門で最優秀賞を受賞し、後にシリーズ化されるなど大ヒットを記録。その後も『SPACE BATTLESHIPヤマト』(10)、『STAND BY ME ドラえもん』(14/八木竜一との共同監督)など、多くの大作・話題作を手掛け、中でも『永遠の0』(13)は、2014年年間邦画興行収入NO.1のメガヒットとなった。今や日本を代表する映画監督の一人として、大きな注目を集めている。

TEXT BY

平塚 璃
経営企画

魚座の金星人+ すきな言葉は「生きてるだけでまるもうけ」 日本のサラリーマンはスナックに支えられていると本気で思っています。

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代わり映えのしない明日こそが待ち遠しく感じる

2005 年の『ALWAYS 三丁目の夕日』で第 29 回日本アカデミー賞において計 12 部門で最優秀賞を受賞。のちにシリーズ化され 3 作総興行収入 112 億円超の大ヒット記録を樹立した日本映画界の至宝・山崎貴監督待望の最新作は、西岸良平の累計発行部数 1000 万部(既刊 34 巻)のベストセラー「鎌倉ものがたり」。かつて誰も見たことのない日本映画最高のファンタジー超大作に挑んだ監督に、作品への想いやエピソードを伺った。

-原作となっている漫画「鎌倉ものがたり」に「DESTINY」というタイトルが付けられていますがこの言葉を選んだ理由は?

僕の映画は英語のタイトルが付いていることが多いんですけど、実は付けているのはプロデューサーなんですよ。仕方なく容認しているんです(笑)。 まあ、映画を観る前はなんのこっちゃという感じでしょうが観たら「DESTINY」だな、と感じていただけるかと。

-すごく腑に落ちました。それでは、この漫画を原作に選ばれた理由は?

一つは「ALWAYS 三丁目の夕日 」の原作者である西岸先生の代表作なので是非やりたいなと思っていたのと、原作の中の夫婦のエピソードが凄く好きで。実は原作者の先生と奥様の関係にとても似ているんですよ。 何度か会わせていただいたんですけど、お二人の感じそのまんまなんですよね。いいな、素敵だなぁと思いました。

-理想とするご夫婦の代表のようでしたよね。自分とかけ離れているせいか実際にこんなご夫婦存在するのかな、と思いながら観ていたので驚きです。(私情)

そんな辛い結婚生活なんですか(笑)。少なくとも鎌倉地方には一組いますよ。

-今回舞台となった「鎌倉」という土地に、人間と魔物が当たり前に共存している世界が観ていてとても自然でした。撮影時のエピソードを教えてください。

そうですね、最初に決めたのは「理想の鎌倉」を作ることです。皆が思い描くノスタルジックな鎌倉を作ろうっていうのがありまして。実際撮影するとなると看板が入ってきちゃったり工事現場が入ってきたりするので、それらは全て排除しました。有名な観光地でもありますし、撮影の時はいくら待っても工事が終わらないなんてこともあって、デジタルで綺麗に整え直さないといけなかったりとか。ムードを維持するために大変な目にはあったんですけど、でも皆の記憶に残っている鎌倉が出来たので、結果良かったなと思っています。

-劇中に出て来る魔物たちは、恐い印象はなく、可愛らしくて人間に近いなと感じました。デザインも監督がされたそうですね。

西岸先生の漫画でも魔物はたくさん出てくるんですけど、すごく愛らしいものが多くて。敵のボスだったりしてもそこまで怖くないんですよ。それを実写の映画に移し替える時にまんまってわけにはいかないし、ある種のリアリティみたいなものを残さないといけないんですけど、そこが今度リアルになりすぎちゃってハリウッド的なやつになるとどうしても恐い・・。愛嬌みたいなものがなくなっちゃうので。その中間の良いところを探るのがすごく難しかったですね。

-堤真一さん演じる本田さんが途中で魔物に変身してしまうシーンでは、人間時代の癖(手をくるくる回しながら話す)が残っていましたね。

あれはプロデューサーの癖なんですよ。

-なんと、実在されるのですか!!

脚本の打ち合わせをするとすぐ(くるくる・・・癖を再現する監督)やり始めるので(笑)。それが面白かったから、じゃあそのまま使おうって。変身すると、あまりにも姿が変わっちゃうので、本田さんが本田さんであるという痕跡をいくつか残しておかないといけないな、と。もちろん声とか表情とかは堤さん本人のものなんですけどね。何個か残そうと思ったうちの最たるもので分かり易いのがそれです。

-出来るだけ実写での撮影にこだわったそうですが、亜紀子が魔界の松茸を買ってしまう”夜市”、あれは実際に作られたものですか?

そうです。ほとんど作ったものです。何個かCGのキャラクターが紛れ込んでいるんですけど、基本的には全部実際に作ったんですよ。美術部・装飾部は凄く大変だったと思います。物語に出てくる変な果物とか足大根も全部再現していたので驚きましたね。 現場ではオープンエアでの撮影でした。32店舗くらいあったのかな。けっこう大変だったと思いますよ。(夜市のセットがリアルで)本当に間違えて一般の方が来ちゃって(笑)。山の中でやってたんですけど「あれ、何やってんの?何やってんの?」って(笑)。

-堺雅人さん演じる一色先生が住んでいるお屋敷はどうやって作られたのですか?

あれは東宝のスタジオの中にあるセットです。背景の山々の景色を作るために周りは全部合成し直して。門から外を見るシーンとかがけっこう大変なんですよ。そこも全部合成しなきゃいけなかったんで。きっと現場に行くとびっくりすると思いますよ。

-堺雅人さんと高畑充希さんをキャスティングされた理由は?

堺さんはクレバーなシーンの時はすごくそういう感じも出るし、且つだめなときというか失敗した時にキュートさがあるというか、可愛らしさがあるんです。もちろん、お芝居がとても上手な方という大前提のもと、お願いしました。高畑さんも当然お芝居は上手なので。そしてこの二人は結構いちゃいちゃするシーンがあるんですけど、反発を買わないようにしなきゃいけないんですよ。ギリギリのところで皆から可愛らしいねって思わなれきゃいけない。それをやるのは意外とスキルが高くないと出来ないんですよね。きわっきわのとこまでいってもらいつつそこですませとくっていう。もうちょっとスキルが足りないと何か鼻につくような感じになってしまう可能性があるんですけど。持って生まれたスキルの部分であったり人柄の部分で可愛らしい夫婦でいるためのキャスティングをしていますね。

-なるほど。高畑さんが演じた亜紀子さんの原作でのイメージも見た目が幼く童顔な設定でしたが、外見も伴ってなおかつ堺さんとの夫婦役も様になっていましたよね。そこも選ばれたポイントですか?

そうですね。童顔に見えるっていっても本当に若い子になっちゃうと離れすぎてしまうんです。年齢が24、5才で童顔に見える人を探さないと。童顔女優としてはね、すでにお力を持ってらっしゃるので(笑)。でも母性も出さなきゃいけない、両方出来なきゃいけない。

-いやぁ・・本当に可愛らしかったです・・・。旦那さんに尽くす愛らしい部分なんか私も見習わないといけないなと思う部分が多くて。

大分私情に向かってきましたね(笑)

-すみません!どんどん私情を挟んでしまいます!!

いえいえ、どんどん挟んでください(笑)。私情を挟みやすい映画だと思うので。結構いろんな人達が、早く帰って奥さんに会うんだ!とか、結婚したくなったとかいう声を聞かせてくれるんですよ。

-豪華俳優陣も印象的な方々がそろっていますが、私は個人的に「心霊捜査課」の方々が好きで、出てくるたびに心躍ってしまいました。

あ~!なんか本当にいいチームになりましたよねぇ~!あれでスピンオフ作りたいくらいです。

-それは是非観たいです!!例えば、要潤さんが見た目の美しさとは対象的に捜査のために匂いを嗅ぐシーンとかすごく面白くて(笑)

はい、はい。あれは捜査のためですから。誤解なきよう。 すっごい夢中に嗅ぐんですよね。変態のように嗅いでくださいって指示したんですけどね。本当に変態のように嗅いでくれて素晴らしかったです。あの時の堺さんの「あっ・・・」っていうリアクションすっごい好きですよ。丁度いいリアクション。

-あのシーンではどうしても笑い声を抑えることが出来ませんでした(笑)。

どんどん笑ってください!

-今まで山崎組で何度かご一緒になった方と今作で初めてキャスティングされた方がいらっしゃると思いますが、特に監督の印象に特に残っているキャストの方はいらっしゃいますか?

もうみんな濃くて印象に残りまくりですね。誰が聞きたいですか?

-では、死神役の安藤サクラさんはどうでしたか?

安藤さんは今までこういう役はされてないんですけど、イタリアの映画祭に行った時に日本チームの中に安藤さんもいて。数日一緒に行動してたら結構仲良くなって。その時に当時映画で演じられていたような女性っぽい役ではなく、今回の「死神」のような性別がない感じの中性的なキャラクターをやってもらうと逆に面白いんじゃないかなって思ったんですよ。本人もすごく楽しんでくれて。ストーリーの中ではするっと流れていってしまうようなキャラクターなんです。奥深いところまで関わってくるわけでもないし。だけど安藤さんが演じてくれたことでキャラとして立ち上がったので、いろんな所で意味が出てきてくれました。 実際の反響もあって、Twitterとか見てると安藤サクラの死神が~ってつぶやいている人多いですね。

-中村玉緒さんは今回初めての山崎組ですよね?いかがでしたか?

昔から映画に出ていらっしゃる方なので、僕のこと「先生」って呼ぶんですよ。最初「先生」って呼ばれた時は僕のことだと思ってなくて誰のこと言ってるんだろうなと思ったら、どうも僕のことらしいってことがわかって。あの時代の方は先生って呼ぶみたいですね。 NGを出すと「フイルムを無駄にしてしまってすみません・・・。昔からよく怒られるんです・・・」って。「デジタルなんで全然大丈夫ですよ〜」って何度言ってもなかなか信じてくれなくて(笑)。

-奥ゆかしい…。大女優さんなのに。

ねっ。

-山崎組の常連ともいえる堤さんは?

堤さんはね。もう長いんですけど、でもあの人が醸し出す切なさって独特のものがあるじゃないですか。何か、通り一遍のものじゃない感じの、ちゃんと突っ張っていても漂う切なさがすごく感じられるというか。途中でカエルの魔物に変身しちゃうので今回の映画の撮影では、現場にはほとんどいなかったんですけどね(笑)。堤さんは初日に声まで録っちゃって、その声に合わせて女優さんが演技しているんです。表情はCGで堤さんに置き換えているので変身してカエルの魔物になってからも堤さんっぽく見えるとは思いますが。

-劇中ではホロリとくるシーンも沢山あって。本当にいろんな役に感情移入しやすい映画だなと思いました。

そうですよね。いろんな人生のケースが描かれているので、どれかには引っかかると思います。まぁ魔物になっちゃった人は居ないと思いますけど(笑)。

-劇場では大きな笑い声だけでなく泣き声もよく聞こえました。

どんどん声を出して泣いてください。笑うと泣きやすくなるしね。感情が出しやすくなる。作っている時はそんなに泣いたりする映画ではないと思っていて、ちょっとグッときたり、にこっとしたりするくらいの感情の幅かなと思っていたんですけど、皆の感受性が高くてよかったなって(笑)。

-今回主題歌を作られた宇多田ヒカルさんには監督がお手紙でオファーされたとのことですが、どのような思いだったのですか?

普通の日常というのがどんなに素敵かということを伝えたい映画なんですよね。そうすると宇多田さんの曲ってそういう部分、あると思うんです。何ということない日常の時間を描いているのに少し輝いて見える技を持っている気がしたので。是非そういう部分を描いて曲を作っていただきたいと思い、お願いしました。おかげで映画がとても豊かになりました。

-では最後に福岡の読者にメッセージを!

女性も男性も是非、これを観て結婚してください(笑)なんて。デートとかで行くとグッと距離が縮まる気がするんですよね。付き合い始めの感じとかを思い出してもらえるかな、と。恋人も夫婦関係も日が経つとごく当たり前のことのような気がしちゃうんだけど、そうじゃないんだよっていうことが少しでも伝わればいいなと思って作りました。どうぞ劇場でお楽しみください。

INFORMATION

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『DESTINY 鎌倉ものがたり』


鎌倉に暮らすミステリー作家・一色正和(堺雅人)のもとに嫁いだ年若い妻・亜紀子(高畑充希)はその生活に驚くばかり。道を歩けば、魔物や幽霊、妖怪や仏様、死神(安藤サクラ)までも現れるのだ。どうやらここ鎌倉は、人と人ならざるものたちが仲良く暮らす街らしい。
本業の小説執筆に加え、鎌倉署の捜査にも協力する夫・正和は、その上、鉄道模型収集やら熱帯魚飼育やら多趣味でもあり忙しい。そんな一色家には、実年齢130歳? の家政婦・キン(中村玉緒)、腐れ縁の編集担当・本田(堤真一)、果ては貧乏神(田中泯)が居座るなど個性豊かな面々が次々に現れ騒がしい日々。亜紀子の理想とはちょっと違うけれど、楽しい新婚生活が始まった。
しかし、正和には亜紀子に隠していた秘密があった。その秘密が原因で正和は結婚に疑問を感じて生きてきたようだ。正和はなぜ亜紀子を見初めたのだろうか?
ある日、病に倒れた正和が目を覚ますと、亜紀子の姿が消えていた。夫への愛にあふれた手紙を残して――。なんと亜紀子は不慮の事故で亡くなっており、黄泉の国(あの世)に旅立っていたのだった。失って初めて気づく妻・亜紀子への愛。正和は亜紀子の命を取り戻すため、一人黄泉の国へ向かう決意をする。そこで彼を待っていたのは、亜紀子を黄泉に連れさった魔物たちとあの人の姿・・・・・・。
一色夫婦の命をかけた運命が、今動き出す。




■監督・脚本・VFX :山崎貴
■原作:西岸良平『鎌倉ものがたり』(双葉社「月刊まんがタウン」連載)
■出演:堺雅人 / 高畑充希 / 堤真一 / 安藤サクラ / 田中泯 / 國村隼 / 薬師丸ひろ子 / 三浦友和 / 中村玉緒 他
■公式サイト:http://kamakura-movie.jp/
■公開日:12月9日[土]
■劇場:TOHOシネマズ天神ソラリア館 / ユナイテッド・シネマキャナルシティ13 / T・ジョイ博多 他全国ロードショー
©2017 DESTINY 鎌倉ものがたり」製作委員会


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  • 山崎貴
    映画監督
    1964年6月12日生まれ、長野県出身。
    2000年『ジュブナイル』で映画監督デビュー。CGによる高度なビジュアルを駆使した映像表現・VFXの第一人者。2005年には『ALWAYS 三丁目の夕日』が第29回日本アカデミー賞において計12部門で最優秀賞を受賞し、後にシリーズ化されるなど大ヒットを記録。その後も『SPACE BATTLESHIPヤマト』(10)、『STAND BY ME ドラえもん』(14/八木竜一との共同監督)など、多くの大作・話題作を手掛け、中でも『永遠の0』(13)は、2014年年間邦画興行収入NO.1のメガヒットとなった。今や日本を代表する映画監督の一人として、大きな注目を集めている。

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