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VOICE 来福した旬な著名人にお話を聞いてきました。

  • PEOPLE
  • 2018.6.15 Fri

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vol.90 小山 健

漫画家・イラストレーター

INTERVIEW

  • 小山健[koyama ken]
    漫画家・イラストレーター
    東京都在住。
会社員時代に趣味でブログに描いていたマンガ「手足をのばしてパタパタする」をきっかけにマンガやイラストを様々なところで執筆。
    
2013年に独立以降、雑誌・書籍・ウェブなどで幅広く活動中。
    
ときどきイベントに出て絵を描いたりしゃべったりも。
    小山健OFFICIAL WEB SITE
    小山健 Twitter @koyapu
    instagram @koyapu

TEXT BY

STAFF
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福岡の情報ポータル&ウェブマガジン

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会社員時代から書いているブログを発端にSNSで人気となり、現在はWEBを中心とした作品を書籍化するなど、幅広く活動する漫画家・イラストレーター小山健氏。自身のプライベートを赤裸々に描いた作品から、女性のデリケートな心情を丁寧に描いたり、ときには欲望度直球なものまでと、その作風から男女問わずファンが多い。6/11[月]に新作「生理ちゃん」の単行本も発売!そんな小山氏が初来福しSaturday . AND READYにて3月に開催した個展「絶対にがんばらない」へ潜入し、気になることを根掘り葉掘りお話してきました!

ホントはイラストレーターになりたかった

福岡は、今回はじめてなんですか?

小山氏(以下敬称略) ーいや3回目です。前回は、現在のWEBサイトを作ってくれた人が福岡の方で、その方に会いに。SNSでWEB作れる人って呼びかけたら挙手してくれて。挨拶に来て、さらっと中洲とかを観光したくらいなので、今回は2泊3日なんで楽しみにして来ました。

美味しいもの沢山なので是非楽しんでくださいね!先ほどのご挨拶の時に思ったのですが、現在イラストレーターではなく漫画家として活動されることが多いのですか?

(小山)ー学生のときから絵を描くことが好きで、本当はイラストレーターになりたかったんです。コンペとか応募してたりしたんですが鳴かず飛ばずで。大阪のイラスト系専門学校を卒業して印刷会社でサラリーマンをやっていました。その時のお給料でパソコンを買って、ブログにハマって。最初は文章を書いていたんですけど、漫画を描いたら反応が良くて。そこから描き始めたかんじですね。なので、小さい頃から漫画家を目指していました!っていうタイプではなく。ホントはイラストレーターになりたかったんだけど…好きな絵と文章と…ってうまくマッチングしたのが現在のスタイルにつながっている感じですね〜。気づけば漫画のほうがウケたので、楽しくなっちゃって。

どんな漫画を読まれていましたか?

(小山)ー兄貴が2人居るので、完全に兄貴の影響が強いです。僕は男3兄弟の一番下なんですけど、特に一番上の兄貴ですね。漫画意外にもいろいろ影響受けてると思います。絵を描いてるのも兄貴の影響だし。昔から好きな漫画は…桜玉吉先生の漫画が好きです。昔ファミコン通信なんかで描いてた方なんですけど、日記漫画系の人ですごく影響を受けています。去年発売した『お父さんクエスト』を、桜玉吉先生を知ってる人が読んだら、めちゃくちゃ分かるくらい似てると思います。似てるっていうか影響受けてんなーってバレると思います(笑)。あとは…ブログで描いてる内に今の作風になっていったかなー。

▲お兄さんの影響(Twitterにて)

昔の黒歴史が活きているのかも?(笑)

今回原画を拝見しましたが、ほんとに鉛筆やサインペンだけで描かれているんですね。

(小山)ー漫画家として名乗るようになって、コピー用紙から原稿用紙に描いてるようにしているんですが…Gペンなど漫画家さんが使う道具をうまく使いこなせなくて(笑)。割りと諦めてこうなってます。

そうなんですね。絵柄が凄くシンプルなのに、シーンの描き分けがすごく上手ですよね。シリアスなシーンとかも、このタッチで伝わってくる。何か意識していることはありますか?

(小山)ー本当ですか。ありがとうございます。シンプルにっていうのは意識してますね。絵で言うと、絵は全部アナログでやろうと。それくらいですかね。絵は全然似てないですけど、鳥山明先生がすごく好きで。シンプルで白と黒が効いててみたいな感じ。本当はあんな絵を描きたいんですけどね。あとは隠れてパロディネタをぶっ込むのも好きです。あれ描くぞって机に向かいやすくなる。
セリフ回しでいうと…比較的短くってことは意識しています。昔から詩を読むのが好きで。実家にあった詩集、山田かまち茨木のり子の本とか熟読してた影響からか、ポエムみたいなものをブログやmixiで書いていて。その頃の感覚が生きているのかもしれないです。まぁ、当時は全くウケなかったから黒歴史ですが(笑)。

自分で描いてて、自分のことを詳しい人に出会うとびっくりする

ストーリーを作る上で意識されていることはありますか?

(小山)ー『お父さんクエスト』は、ほぼほぼ実話で。実際にあったことをなぞって描いてるので、たまに読書の方に「あれがこうでしたよね!」って言われると「なんで知ってるの!?」って思ってしまいます。自分で描いてプライベート公開してるのに(笑)。
僕はまだ6Pくらいの短いショートストーリしか描いたことがないんですが、そのときはテーマを1つにしぼるってことに意識しているかなぁ。あとは、世には母さんが描いた育児マンガは結構あるので、かぶらないようにと思って。子どもが何かをしたとか、ちょっとこんなおかしな言葉をしゃべったとかはなるべく避けて、育児マンガなんだけど自分の心境ばっかりを描いてしまいました。男の本音を描いたものが、多分無いんじゃないかなって思って、男同士(お父さん同士)が居酒屋で集まった時に喋ることを描いたって感じですね。

私も2歳の息子が居るので、育児漫画よく読むんですが『お父さんクエスト』を読んで、ちょっと心の整理がつきました。あー、男の人ってこうなんだって笑えてきちゃって。開き直れたというか(笑)。

(小山)ーそうですか(笑)。よかったです。育児漫画って、読む人によっては怖いって感じちゃう人も居るのかなぁって思うんですよね。お母さんの不満が爆発してたりすると、子育て…結婚に対しても恐怖を抱く人も居てしまうかもって。僕も漠然と結婚って怖かったし。笑えるものにできたらいいなって思いました。

誰も描いたことがないから描きたいことが山積み

一方、『生理ちゃん』ですが…WEBでタイトルを見ただけでも衝撃でした。(ど直球すぎ!) 小山さんが男性なのに、女性の心境を絶妙に描かれているなと関心しました。時々、自分でもわからなくなる感情をうまく描けるなって。

(小山)ーよかった。ありがとうございます。なんか、生理ちゃんに関しては男女共に、救われたって声がすごく多くて。僕は男性なので、当たり前に生理のしんどさが分からないけど、身近な女性や、仕事で出会う女性と話してなんとか描いてるって感じです。

▲第1話 登場シーン(生理ちゃんより)

じゃあ、なんとなくモデルがいたりするんですか?

(小山)ー話によってはモデルが居る時もあるし、居ない時もある。話の構想を考えて、意見をもらったり、ネットやSNSでリサーチしたりして完成させます。4話目の女戦士の話なんかはまさにそれで。女性同士でも分かり合えないことがあるっていうのをテーマに描こうって決めたら周囲の女性たちに意見を聞きまくりました。1番身近な女性の、僕の奥さんは生理痛が全く無くて。参考ネタをくれないんですが、それもそれで参考にはなる。人類が誕生してからあるものなのに、誰も描いたことのないブルーオーシャンな題材なので、描きたいことが山積みです。

小山さんのファンの方はどんな方が多いのでしょうか?

(小山)ー『お父さんクエスト』は、やっぱり同世代のファミリーですね。夫婦で読んでくれてる。『生理ちゃん』はカップルで。オモコロが男性よりのWEBメディアなので、彼氏さんが彼女さんにオススメして読んでくれてることが多いです。あとは…さち子ファン(笑)。

たしかに(笑)。ブログ『手足を伸ばしてパタパタする』から、奥さん(さち子さん)のことを描かれてますもんね。

(小山)ーそうですね。さち子人気は根強いですね。SNSでもさち子に対してのコメントを頂いたり、個展なんかでもさち子への差し入れを受け取ります。結構言われるのが、男性には「うちの奥さんもさち子さんみたいなんです!」ってことや、女性の(しかも綺麗な方にも)「私も家ではさち子さんみたいなんです!自分のこと描かれているようで(笑)。」とか言われて驚いてます。わー、みんなさち子みたいなんだーって。

人類の母的な存在ですね。私もさち子さんに共感することが多くて、大好きです。
さち子ネタはアップする前にチェックをはさむのですか?

(小山)ーいえ。チェック無しでアップしますね。

なんと…!さち子さん器が大きい…(拝)

(小山)ーそうですね。結構赤裸々に描いてるけど、一度もクレームはないですねぇ。描き終わってスキャンしてパソコンに取り込むんですけど、そのときに勝手にスキャナーから取り出して読んで笑ってる感じですね。

▲さち子さんのセブンルール (Twitterより)

信頼関係があるからこそっていう事ですね。そういうネタなんかはどうやって溜め込まれるんですか?

(小山)ー普段、気になったことや笑ったことがあると、携帯でメモを取るようにしているくらいですね。で、SNSなんかにあげる漫画を描くときは、そのネタを思い出して描いてるって感じです。前、ブログで毎日描いていた頃は、ほぼ習慣になっていて。だから、楽しんで描いてるし、何より僕は人に見せることが好き。そこで反応をもらえると、もっと描こうっていう活力になりますね。

では最後に。今後挑戦していきたいことってありますか?

(小山)ー今まではWEBを中心に描いていたんですけど、これからは漫画誌にも描きたいなって思っています。今は担当さんがついてくれて、一から構想中というか、まだまだチャレンジ中って感じの段階なんですけど。

そうなんですね。楽しみです。WEBとは違った難しさなどはあられるのですか?

(小山)ー漫画誌では、今までとは真逆のフィクションを描きたくて挑戦中なんですけど…今までは本当にあったことを描けばよかったのに、フィクションだと全くもって自分の頭の中でキャラクターやシーン、セリフなんかを考えないといけないから、小っ恥ずかしさみたいなっものが勝っていて(苦笑)。女の子のセリフとか考えるのも難しかったり。今まで、自由気ままに描かせてもらっていたので、今回初めてちゃんとした漫画の作り方をやっている感じで。普通の漫画家を目指す人が19、20あたりで体験してることを今やっていることが辛いですね(笑)。

でも、生理ちゃんは元ネタやモデルがいるにしろ、フィクションですよね。

(小山)ーそうなんです。だから、生理ちゃんはフィクションを描けるいいきっかけになりました。1話完結の短編集で、1テーマをだいたい6〜8Pにまとめる作業や7話目からは、ちゃんと漫画の原稿用紙に描いてみたりと道具も漫画の道具を使ってみたりとか。(それまではコピー用紙)そして、そんな生理ちゃんの単行本が6/11[月]に発売となりました。単行本に、新作カットに加え、新キャラ「PMSちゃん」の描き下ろし漫画も収録させれているので、是非。

楽しみです!LINEスタンプも楽しく使わせてもらってます!

(小山)ーありがとうございます(笑)。『小山健の夫婦でつかうスタンプ』、』『生理ちゃんスタンプ』はLINE Storeにて好評発売中なので、こちらも是非。小山家を助けると思って買ってください(笑)。

ありがとうございました!新連載期待しています!

INFORMATION

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「生理ちゃん」
共感の嵐を巻き起こす生理ちゃん、ついについに単行本化!
「大変なのを生理のせいにできないから大変なんです」
悩める女性たちの元にも、ツキイチで生理ちゃんはやってくる。
イタイ、ツライ、メンドクサイを吹き飛ばすほど、笑って泣けちゃう大傑作!
漫画「PMSちゃん」他、クスっと嬉しい描き下ろしもたっぷり収録!
6/11[月]発売!!購入はこちら↓
http://amzn.asia/e6JP9wL

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会社員時代に趣味でブログに描いていたマンガ「手足をのばしてパタパタする」をきっかけにマンガやイラストを様々なところで執筆。
    
2013年に独立以降、雑誌・書籍・ウェブなどで幅広く活動中。
    
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    小山健 Twitter @koyapu
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