AFRO FUKUOKA [ONLINE] 福岡の今がつまったグッドライフマガジン

VOICE

VOICE 来福した旬な著名人にお話を聞いてきました。

  • PEOPLE
  • 2015.10.23 Fri

VOICE TITLE

vol.66 皆川 明

デザイナー

INTERVIEW

  • 皆川 明[Akira Minagawa]
    デザイナー
    1967年東京生まれ。文化服装学院卒業後、95年に自身のブランド「minä(ミナ)」を設立。2003年ブランド名を「minä perhonen(ミナ ペルホネン)」とする。2006年毎日ファッション大賞(毎日新聞社主催)大賞受賞。

TEXT BY

川崎 雅宣
AFRO FUKUOKA 編集長

編集部のKISS

11388

回顧展にはしたくない。次のミナを見せたい。

ユニークで情感豊かなテキスタイルの洋服を中心とするデザインブランド「ミナ ペルホネン」が今年設立20周年を迎えた。これを記念し、同じく開館10周年を迎えた長崎県美術館で、ブランドの国内最大規模の展覧会「1∞ ミナカケル ―ミナ ペルホネンの今までとこれから」が開催されている。ブランド設立時からコンセプトに掲げる、“100年先も続くブランド”の20年の節目に、デザイナーの皆川さんに、ミナペルホネンの今までとこれからを伺うべく、会場へと向かった。

現在進行形のブランドの息づかいを感じてもらえたら。

ミナ ペルホネンの国内最大規模の企画展覧会となった今回の展示ですが、開催への想いを教えていただけますか?

20年という、ブランドとしてのひとつの節目の機会に、同じく10周年を迎えられた長崎県美術館から自主企画展のオファーをいただき本展の開催となりました。今までにも何度か、講師としてこちらの美術館にお招きいただいたこともあり、魅力的な会場だなと感じていました。今回は、全国でも珍しい“デザイン”をメインの一つとする長崎県美術館で、回顧展ではなく、未来に続くというコンセプトで、現在進行形のブランドの息づかいを感じる展覧会となればと考えています。

皆川さんが考える今回の展覧会の見どころとは?

今回の展覧会の中ではブランドの生産・加工をサポートしてくれている工場さんからの言葉や、ものを作る時の思いなどを文字に起こし、プロダクトと共に展示しています。そういうプロセスもまた、来場くださるみなさんに感じていただきたいなと思いますね。ファッションの世界を志す学生たちをはじめ、デザイナーになりたいという夢は多くの方が持ちますが、実際にものを作る人で“現場”に入る人は大変少ない。ですが、そのやりがいは、本当はとても大きなものなんです。
もちろん、プランするということもとても楽しい。しかし、それは“作る人”たちに支えられているものなのですね。そういう意味では若い人に、ものを作る現場の空気を、会場で感じていただけたらと思います。そして若い人たちが、もっと“ものづくり”自体に興味を持ってくれるきっかけになってくれたら嬉しいですね。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA
OLYMPUS DIGITAL CAMERA
OLYMPUS DIGITAL CAMERA
OLYMPUS DIGITAL CAMERA

それでは、ミナ ペルホネンの次代を担うデザイナーについて教えてください。

ミナ ペルホネンのなかにはもう、自分が「いいな」と思うデザイナーが生まれています。当然、自分自身のデザインはこれからも膨らませていくのですが、最近ではブランド内に良いデザインがたくさん生まれていて、感心してしまうこともあるんです。現在では、そのなかでどうやって自分の在り方を見つけるかということを考えたりもしますね。デザイナーというものは衰えることはありません。可能性はどんどん枝分かれして膨らんでいきます。アイデアやクリエーションは、しぼんでしまうということはないんですね。枝分かれする起点として、出発点が異なる人が生み出すものに対する驚きはありますね。

そこに至るまでに、ブランドの継承や育成という点で苦労などはあったのでしょうか?

苦労は正直あまりないですね。もちろん若く経験の少ない人は“気づき”の部分において、もう少し足りない面もあります。ですが、それは現場で一緒に仕事をしながら学ぶということが多いので、必要なことだと思っていて。ある種、上手くいかない点というものは常につきまとうので、自然と「次はそこを改善してみよう」となりますから。上手くいかないというのは、解決するアイデアがないだけなんです。つまりいずれは解決できるということですね。
あとはなるべくなら、何をするにせよ、その人自身の考えが含まれてほしいなと。そのさじ加減は伝えるようにしています。「そのままする」ではなく、「自分の考えを足す」。言われたことをやるのが仕事なのではなくて、それを理解して自分の仕事にしていくことが大切ですね。ミナ ペルホネンの次の世代の人たちは、今では概ねその意識が共有できているので、やり易いですね。

皆川さんは“時間”という概念を非常に大切にされているという印象を受けました。

そうですね。自分自身、器用な方ではないと自覚しているので、頭のなかで描けることを、自分の手が習得し具現化するには、自分の人生の時間では足りないと思っているんです。どうしたって、動かす“手”よりは、想像する“頭”の方が先を見ることができるはずですから。なので、頭に浮かんでいることをやろうとすると、まあ100年くらいは見ておいた方が良いなと思っています。そうすると自分の人生だけでは足りないので、次の人に繋げなければいけないですよね。建築の分野では教会を数百年かけて造るということはあります。プロジェクトにかけた時間を越えて残っていく訳ですよね。ファッションも、建築やインテリアのように、生活のなかに残るものにできたらいいなと考えています。

その時に「自分たちがどうあるか」をまず考えていきたい。

100年先も続けていくブランドとしての「ミナ ペルホネン」の展望を教えていただけますか。

少なくとも自分たちは、今日の「やれない」という可能性に左右されるのではなく、「やりたいことを必ず表現する」というブランドであれば良いなと思っています。その表現のアプローチが時代のなかで変わっていくことは、社会が変わるように当然のことだと思います。ですが、「こういう理由だからできない」とか、「こういう世の中だからこれは作れない」ということではなくて、作ったもの自身にきちんとした説得力があれば、どのような時代でも人の心は動くと思うんです。考え方として、社会や環境がこうだからと理由を考えるよりは、その時に「自分たちがどうあるか」をまず考えていきたいなと思います。

ありがとうございました。それでは最後に読者のみなさんにメッセージをお願いします。

九州の方にとっては、地理的にも東京のお店にいらしていただくということはなかなか難しいこととは思いますが、今回は九州で、逆に東京でもここまでの表現をしたことがないという規模での展覧会を実現できました。ぜひこの機会に、我々のものづくりのプロセスと、その背景を見ていただければ嬉しいなと思います。

INFORMATION

11365

tambourine, 2001-02→a/w ©minä perhonen


1∞ ミナカケル ―ミナ ペルホネンの今までとこれから


■会期:2015/10/10[土]~12/6[日]
■時間:10:00~20:00 ※最終入場は19:30
■会場:長崎県美術館 企画展示室
■休館:10/13[火]、10/26[月]、11/9[月]11/24[火]
■料金:一般 1,000(900)円、大学生・70歳以上 800(700)円、高校生 600(500)円、中学生以下無料
※( )内は前売りおよび15名以上の団体割引料金。
※期間中、本展観覧券で常設展示室に入場可。
※障害者手帳保持者及び介護者1名までは5割減額


皆川明さんのサイン入り書籍を抽選で1名様にプレゼント!応募はコチラ

INTERVIEW

  • 皆川 明[Akira Minagawa]
    デザイナー
    1967年東京生まれ。文化服装学院卒業後、95年に自身のブランド「minä(ミナ)」を設立。2003年ブランド名を「minä perhonen(ミナ ペルホネン)」とする。2006年毎日ファッション大賞(毎日新聞社主催)大賞受賞。

OTHER VOICE

その他の記事