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VOICE

VOICE 来福した旬な著名人にお話を聞いてきました。

  • PEOPLE
  • 2015.12.2 Wed

VOICE TITLE

vol.68 [.que]

音楽家

INTERVIEW

  • [.que]
    音楽家
    柿本直によるソロプロジェクト[.que](キュー)。アコースティックギターを基調に、繊細なエレクトロニクス、柔らかで清涼感溢れるサウンドを奏でる。これまでに5枚のアルバムを発表。2014年、活動拠点を大阪から東京へ。
    http://que-music.net/

TEXT BY

後藤 麻与
編集兼スタイリスト

香蘭ファッションデザイン専門学校卒業後、インポートセレクトショップ・広告デザイン会社のマーチャンダイザーを経て、現在は編集を中心にスタイリングまで行う。ファッションをより身近なものにしたいと願う良いお年ごろ。

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日々の記録を楽曲として鮮やかに再生する力

現在、福岡を中心に長崎県の島原半島観光PRプロジェクト「シマバライフ」のテレビCMや写真ギャラリーサイトが公開されている。国内外で活躍する写真家・津田直さんをはじめ、さまざまなクリエイターが関わるプロジェクトだが、今回はテレビCMへ楽曲提供をした[.que](キュー)さんをフィーチャー。15秒という短時間でも、映像にドラマを感じさせる叙情的なメロディで、自然風景をより美しく見せてくれる音楽が魅力的だ。フォークエレクトロニカ界の新生として音楽業界からも注目される彼に、作家性や作品の背景について伺った。

「あぁ、終わっていく。終わらないで。」そんな印象になるよう制作しました。

福岡へ来られた事はありますか?

3度あります。1度目は大学時代に友人とショッピングで天神周辺を散策しました。2度目は、2012年に発表したアルバム「sigh」「calm down」のリリースツアー。大名にあるギャラリー「紺屋2023」でライブをしました。3度目も同じくライブで、2013年に小倉のカフェ「SPITAL」を訪れました。

「シマバライフ」にある風景写真を初めて見たときの率直な感想を教えてください。

懐かしい感覚になりました。実際に島原を訪れた事はないのですが、自然豊かな海や緑がたくさんあり、僕の故郷である徳島と同じような風景だったので何かリンクしているような気がしました。ゆっくり時間が進んでいる、そんな印象も受けました。

テレビCMを拝見しましたが、 [.que]さんの音楽による効果もあり風景に澄んだ空気が漂っている気がしました。実際、使用されている作品にはどのような思いが込められていますか?

今回提供した「Never End」は、アルバム『BRILLIANT HOPES』の最後に収録されている楽曲で 終わらないで、いつまでも そんな意味を込めています。アルバムを最初から通して聞いたときに、最後「Never End」へ辿り着く。ここまで数々の曲を聞き想像が膨らんだ世界への、かすかな余韻にふけるための楽曲でもあります。フェードアウトで曲が終わっていくのですが、「あぁ、終わっていく。終わらないで。」そんな印象になるよう制作しました。

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BRILLIANT HOPES / [.que] 2015.2.12 Release(SCHOLE)購入

僕が撮影する写真は日々の記録のようなものなので日常の何気ない風景、見慣れた景色をよく撮ります。

[.que]さんのホームページにも多数写真が掲載されていますよね。写真は好きですか?

好きです。ただ、僕が撮る写真はメモ代わりですね。目の前にある風景と、その時に感じた気持ちを忘れないために撮っている事が多いです。どちらかと言うと撮るより見る方が好きだったりもします。

具体的に、どのようなときシャッターを切るのですか?

壮大な景色に遭遇したときはもちろん、「綺麗だ」「美しい」と反射的にシャッターを切る事もありますが、僕が撮影する写真は日々の記録のようなものなので日常の何気ない風景、見慣れた景色をよく撮ります。季節や時間が違えば見え方も変わりますし、そういったわずかな変化を逃さないために写真を撮っている気がします。あとは曲を作りたいと思い立ったとき、僕は今の気分や思いを曲にする方なので、今抱いている思いに対して見えた景色というのを大切にするようにしています。

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楽曲制作は、どういった手順で進められているのですか?

テーマを決めずに作る場合は、ギターのコードやピアノの気に入ったメロディから膨らませる事が大半です。テーマを決めて作る場合、例えば写真を見てこの風景のなかで流れている曲はどんなものだろうとイメージしながら作ります。

いわゆる宅録音楽でこんなにも素晴らしいものがあるなんて、それまでは全く知りませんでした。

現在のスタイルとなった経緯や転機など作品作りに関わるエピソードを教えてください。

エレクトロニカやポストロックというジャンルを知るきっかけとなった、ストレイテナーのホリエアツシさんによるソロプロジェクトentのアルバムとの出会いが大きいです。いわゆる宅録音楽でこんなにも素晴らしいものがあるなんて、それまでは全く知りませんでした。音楽を始めた当初はバンドをやっていて、就職を機に脱退し大阪で暮らし始めたのですが、一人でも何かできる事はないかと考えときに、思い浮かんだのが今のようなPCを使って作る音楽、DTMでした。それから急速に知識や技術を吸収していきましたね。

楽曲制作のうえで、大切にしている事は何ですか?

自分のカラーや思っている事、伝えたい事がメロディに反映されているかを常に考えています。今の気分と出来上がった曲とがシンクロしていないときはボツにする事も多々あります。

アルバムリリース元である「SCHOLE(スコーレ)」というレーベルは[.que]さんにとってどのようなところですか?

大阪にいる頃から、SCHOLEの主宰である小瀬村晶さんにはとてもよくしてもらっていて、音楽家には何が必要でどんな事をしていけばいいのかなど、さまざまな事を教えてもらいました。そもそもSCHOLEには、本当に良い作品を作っている方がたくさんいてリスナーとして好きになったところでもありましたし、エレクトロニカやインディーズ系の作家性の高いアーティストの面倒をしっかりみてくれるところというイメージがありました。僕もここで、音楽家としての可能性を見つけることができたと思っています。実は、SCHOLEの音楽を好きになってからピアノをやり始めたので、3年前くらいから楽曲に取り入れるようになったんですよ。

柔軟に曲作りをしていきながら、そのニュートラルな感じを作品としてアウトプットできたらと思っています。

作風を少しずつ、柔軟に変えていくところが、[.que]さんの魅力ですね。これからはどんなものを作りたいですか?

「ねぇ、聞いてよ。カッコいいから。」と、自ら言える作品を作り続けていきたいです。それは ジャンル問わず という意味合いを込めていて、音楽家としての可能性を常に試していきたい方なので、日々変化を惜しまず作り続けたいですね。柔軟に曲作りをしていきながら、そのニュートラルな感じを作品としてアウトプットできたらと思っています。昔の方が良かった、なんて言われる日も来るのかもしれませんが、同じ場所に居続けるのはもったいないと考えているので、今よりもさらに音源や自分をアップデートしていきたいと思います。

映像作品への楽曲提供や楽曲制作については、他にもいろいろと手掛けてられているようですが最近ではどのようなものをリリースしましたか?

今一番多いのは、WEBムービーの楽曲制作ですね。最近では、出光興産さんのエンジンオイルの CM曲を制作しました。これまで自分一人で完結する制作が多かったのですが、この曲は初めて自分だけではなく、コーラスにロックバンドaquarifaの岩田真知さん、ベースにロックバンドRhycol.の松藤裕志さんを迎えるなどして、これまでできなかった事を試すことができました。自分の作品では他の人と作る事は何度か経験がありましたが、クライアントワークでは初めてだったので、今後もこのような事ができたらなと思っています。

さまざまな経験を経て、今後のやりたいことが多々膨らんでいっているようですね。今後のご活躍に増々期待が高まります。次回作のリリースのご予定はありますか?

僕の楽曲リリースとしては未定です。ただ、次の作品はこれまでとは違う動きをしようと思っているのでひと味違った作品になると思います。クライアントワークでは、2015年12月にリニューアルオープンする、池袋の「コニカミノルタプラネタリウム満天」のロビーに設置される映像システムの音楽を担当しています。プラネタリウムを観る方達の待ち時間を利用した、インタラクティブ動画の一種なのですが、とても面白い仕様となっているのでおすすめです。来年は海外でのライブももしかしたらあるかも?と、いろいろ計画しているところです!

INFORMATION

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日本で初めて世界ジオパークに加盟した島原半島。火山活動が残した奇跡と生きる半島の暮らしを、世界を旅する写真家の視点を通して綴るウェブサイト。第一弾は、独特な視点で切り取るランドスケープ作品で知られる写真家・津田直さんによるもの。「シマバライフ」

INTERVIEW

  • [.que]
    音楽家
    柿本直によるソロプロジェクト[.que](キュー)。アコースティックギターを基調に、繊細なエレクトロニクス、柔らかで清涼感溢れるサウンドを奏でる。これまでに5枚のアルバムを発表。2014年、活動拠点を大阪から東京へ。
    http://que-music.net/

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