AFRO FUKUOKA

VOICE

VOICE 来福した旬な著名人にお話を聞いてきました。

  • PEOPLE
  • 2019.9.2 Mon

VOICE TITLE

vol.98 WONK

Experimental Soul Band

INTERVIEW

  • WONK
    Experimental Soul Band
    東京を拠点に活動する4人組バンド。メンバーは長塚 健斗(vo)、江﨑 文武(key)、井上 幹(b)、荒田 洸(ds)。2016年9月に全国リリースした自身初のフルアルバム『Sphere』は第9回 CDショップ大賞 ジャズ賞を受賞。ジャズやソウル、ヒップホップなど様々な音楽に影響を感じさせる彼らの幅広い音楽性は多方面から注目されておりデビューわずかながら、2017年夏には第16回 東京JAZZやBlue Note JAZZ FESTIVAL 2017、SUMMER SONIC 2017、FUJI ROCK FESTIVAL 2018等に出演。また米Blue Note Recordsを代表するシンガーJosé Jamesの最新アルバム『Love in a Time of Madness』のリードトラック 『Live Your Fantasy』のリミックスを担当、ヨーロッパ2大都市公演を成功させるなど、国内に留まらず海外からも多くの注目を集めている。
    http://www.wonk.tokyo/

TEXT BY

山之内 みか
WEBディレクター

鹿児島出身。低血圧、胃腸が弱い6月生まれ。最近手相やおみくじで健康面に注意と言われたので、怯えながらひとまず積極的に鉄分を摂ることを心がけています。

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今もっとも注目を集める“エクスペリメンタル・ソウルバンド”

ジャズやソウル、ヒップホップなど様々な音楽に影響を感じさせる幅広い音楽性が多方面から支持され、全国多数のフェスへ出演。2018年1月にはBlue Note TOKYO/NAGOYA、Billboard Live OSAKAの三都市ツアーを開催するなどライブバンドとしてより一層その名を知らしめている、今もっとも注目を集める“エクスペリメンタル・ソウルバンド”「WONK」。その活動は国内だけに留まらず、パリ・ベルリン・シンガポール・台湾公演を成功させ、海外での人気も獲得しています。そんな「WONK」が2019年7月31日に満を持してリリースした新作EP『Moon Dance』を提げ全国ツアーを開催中。ライブのため来福した彼らの楽屋にお邪魔し、作品づくりの話しや新作EPへの想い、福岡に対するイメージやこれからのバンドについてなど、様々なお話をうかがってきました。当日のライブ写真と共にお楽しみください!


ーお名前と担当パートをお願いします。(画像左から順に)

井上 幹(以下:井上) ベースの井上です。

長塚 健斗(以下:長塚) ボーカルの長塚です。

荒田 洸(以下:荒田) ドラムの荒田です。

江﨑 文武(以下:江﨑) キーボードの江﨑です。

ー出会ったきっかけを教えてください。

荒田 僕の大学の先輩がベースの井上です。別の大学のジャズ研みたいな所で知り合ったのが江﨑。ボーカルの長塚は…?なんで知り合ったのかはちょっと定かではない。(笑)

江﨑 いつの間にかいた。(笑)

長塚 野良ボーカルです。(笑)

ーそれぞれが活動していく中で自然と集まっていったという感じなんですね。

長塚 気付いたら集まってたんですが、僕とベースの井上は高校の時にバンドを組んでたんです。

井上 そうそう、高校の時一緒にバンドを組んでいたんですけど、それを知らずに(バンドを組むために)集まったらいたんです。たまたま。

ーそれまで一緒に活動していたわけではなく?

井上 全くしてないです。

長塚 むしろお互い大学に入ってから一回も会ってないですし。

ーそんな偶然があったんですね。作品が出来上がるまでの流れはどんな感じなんですか?

江﨑 リーダーの荒田が、毎回ビジョンを持ってきて、そしてそれをみんなで具現化していく感じです。

ーまず大まかなテーマを荒田さんが決めるんですね。

荒田 そうですね。今回こういう感じのアルバムで、こういう感じの曲にしたいというのはありましたね。

江﨑 本作(EP『Moon Dance』)がコンセプトありきの作品だったので、コンセプトの部分を荒田が持ってきて、楽曲の基礎となる部分は荒田が持ってきたものもあれば、僕や井上で作ったものもあるっていう感じです。


新作EP『Moon Dance』は大きなストーリーの中の序章

ー今回のEPはWONK史上最もコンセプチュアルな作品で「一つのストーリーの序章的な立ち位置」ということですが、この辺をもっと詳しくお聞かせください。

荒田 ストーリー仕立てに曲が進んでいくようにアルバムを作りたいと思っていて、それが最終目的地なんですけど、今回のEPはそのアルバムに入るであろう曲、ストーリーの中に組み込まれている曲を抜粋して何曲か入れたものになります。なのでアルバムが出た時に、このEPが全体のストーリーの中の一つという立ち位置ということで組み立てられていて、今後一つのストーリー仕立てに最初の曲から最後の曲に至るまで展開されていくっていうのが、今回コンセプチュアルと言われている所以です。


ー自分たちから見て「WONK」というバンドはどういうバンドですか?

長塚 なんですかね、WONK…。個性が強くて好みがはっきりした4人が集まって、4人で集まんなきゃ出来ないことをやっているバンドなんですよね。それぞれできることや得意分野はバラバラにあって、それぞれ活躍しているフィールドも違うんですけど、でも4人じゃなきゃできないことだっていうのはみんな分かってて、4人じゃなきゃ作れない音っていうのは明確にある。それをやりたいようにやっているっていうバンドです。

荒田 もっと具体的に聞きたいよ!

井上 今わりとどのバンドでもそうだよなって思ったけどね。(笑)

江﨑 誰か一人が曲を全部作っているわけじゃない、それぞれがWONKの曲を作ってるというか、曲によってアイデアを持ってくる人も違うから…。それって他のバンドと作り方も全然違うし、そういう意味では曲ごとに違いのあるバンドかなって思います。


ーバンドによっては一人が作ったものに対して他のメンバーが手を加えていくっていう作り方もあると思うんですけど、WONKはそうではないんですね。

井上 そうではないですね。

荒田 曲によって作り方を変えるのが僕らの特徴だと思います。セッションでも作れるし、一人が持ち寄ったものをWONKの曲に仕上げる事もできるし。

ー曲によって作り方を変えるというのはすごく特徴的ですよね。

井上 そもそも作り方が決まっていないんですよね。「こうして、こうして、こうする」みたいなものはなくて、今回はこういう感じにしてみる?という風に作り方からみんなで考えながら進めていくので、そこは割と特徴だと思う。

ー作品によって世界観や雰囲気が違うのはそういう作り方がベースにあるからなのでしょうか。

江﨑 多分そうだと思います。やっぱり軸になる人物が変わるのと、ある楽曲のベースができた時に、これは誰々がやった方がうまくいくだろうなみたいな役割分担が明確なので、割と実践共同体っぽい感じというか、誰か一人のものすごい大きな引力に引っ張られていくバンドというよりは誰かが素材を投げかけて、それを一番カッコよくするにはどうすればいいかっていうのをみんなでちゃんと考えていくっていう感じだとは思います。

ー楽曲以外、アートワークやMVに関してもメンバー全員で意見を出し合っているんですか?

井上 そうですね、基本的にはみんなで話し合って。

江﨑 それも荒田が軸となる部分をバシッと決めてくれて、その後それを具体的にするにはみたいなところでみんなで話し合って行くって感じですね。

ー軸というのは、大きなテーマを言葉として持ってくるんですか。

荒田 はい。曲も一緒です。

ーなるほど。曲に限らず「WONK」に関するものはそうやって作られているんですね。

荒田 うーん、そういうことが多いですね。

江﨑 それがリーダーたる所以です。


ー今回のMVはクリエイティブチーム・PERIMETRONさんと一緒にやってるんですよね。これまでも一緒に作ったことがあるんですか。

江﨑 そうですね、ただの友達です。(笑)メンバー全員みんな友達なんです。

ーみなさん世代が一緒なんですか?

江﨑 そうですね、みんな同世代で。PERIMETRONを主宰している常田大希のバンド、King Gnuのレコーディングも鍵盤は僕が担当しているのですが、それも別に仕事っぽくWONKの人として声をかけられたというよりは、大学生の頃から友達だからっていう、ただそれだけのことです。(笑)

演奏以外のところも4人で考えて行動するのが「WONK」

ー今回のツアーについて、現在ツアーの真っ最中で先週東京公演が終わったばかりですが、東京公演はいかがでしたか?

井上 楽しかったです。

長塚 うん、とても楽しかったです。初めて「始まり」と「終わり」が明確にあったというか、ぼやっとしたところがあんまりなくて。

Photo by 木原隆裕


ーぼやっと…というと?

長塚 僕らいつもMCとかでぼやっとするところが多いんですよ。でも今回はどういう風に進行していくかみたいなところが明確に決まっていたので。

一同 そういうことではない!(笑)

荒田 そういうことではないです。(笑)EP自体がストーリー仕立てのコンセプチュアルなものなので、今回のツアーもライブを通して世界観をストーリー仕立てに味わってもらおうっていう考えの元、イントロから始まり、終わりまで照明演出をつけるとか…あと東京でもやったんですけど、ここ(福岡)でも匂いやるんだよね?

江﨑 うん、やる。

荒田 匂いだったり、視覚的な演出だったりを予定してます。

ー匂いもあるんですか!?

江﨑 そうなんです。今回会場でディフューザーを使って香りを焚いていて。今回のEPのテーマに「現実世界の話」と「パラレルワールドの世界の話」があって、だから入り口までは「現実世界の香り」というテーマを元につくった香り、ステージホールの中は「パラレルワールドの香り」というテーマの香りを焚いています。同い年の香りのアーティストの方と一緒に香りを作って、それをグッズとして販売もしています。

ー香りまで演出するって珍しいですよね。

荒田 そうですね。それがぼやっとしてないってことですね。

長塚 そういうことです。(笑)

江﨑 だから先ほどのPERIMETRONの話じゃないですけど、僕らはバンドを演るだけってよりは、そうやって演出やグッズをどうするかっていうところも4人でしっかりと考えて行動していってるって感じかなと。

Photo by 木原隆裕

Photo by 木原隆裕


ー久しぶりのツアーだと思いますが、実際にお客さんの前で演奏するのはどういう気持ちですか。

井上 エリアごとで反応は全然違うなっていうのは感じますね。中でも福岡は過去めちゃくちゃ盛り上がったことが多かったよね。お客さんによって曲調が変わるとかそんな高度な話ではないですけど、僕らのテンションは変わりますよね。単純な話ですけど、演奏してあたたかく迎えられると気合い入るみたいな。僕らの場合は結構アドリブの部分があって、フレーズは各々の自由にしているんです。決まったフレーズをCD通り演奏しているわけではないので、そういう細かいところ、自由に演るって委ねられた時に、出てくるものの差はテンションによって変わってくるかなと思いますね。

ー福岡の後に仙台、大阪、札幌まで回られるそうですが、意気込みというか、こういうツアーにしたいといった想いはありますか。

江﨑 そうですね、ツアーをやること自体2年ぶりなんですよね。東京以外の方々はお待たせしてしまっていたので、この2年で蓄積したものを丁寧にお届けできればいいなと思っております。

ー今後海外ツアーとかも考えていますか?

江﨑 行きたいと思っております。

荒田 なんだかんだこのところ毎年行ってるもんね。

Photo by 木原隆裕

Photo by 木原隆裕


福岡は行きたいお店の候補がありすぎる

ーみなさんそれぞれ福岡のお気に入りスポットがあるとうかがったのですが、良ければ具体的に教えてください。

荒田 俺は大名の「KIDS CLUB」っていうバーですね。福岡に来たら行きます。あとは「ON AIR」いいですね。あの人たちかっこいい。あと「もつ幸」ね。

江﨑 「もつ幸」は荒田が初めて福岡に来た時に僕が紹介したんですけど、すげえ感動して。なんなら感動しすぎて「もつ幸」が僕の実家だと勘違いしてました。(笑)

荒田 ここが実家とか最高やな!って思って。

江﨑 いやいや、家から近いだけだから。(笑)僕は福岡が地元なので全部がお気に入りです。

長塚 僕はラーメン屋さんの「Shin-Shin」です。今回も行きますし、行けるタイミングがあれば絶対行ってます!

井上 僕はサンセットライブの場所、糸島ですね。というかサンセットライブにかなりいい思い出があるので。ものすごい良い場所ですよね。オーシャンビューの楽屋とかそうそうないもんね。

荒田 あとこの前行ったいろんな仮面とか、民族っぽいグッズとかがあるところあれなんだっけ…。あ、「MORE LIGHT」!そうそう、「MORE LIGHT」がやばかった。

ーめちゃくちゃ詳しいですね。

江﨑 僕だけが唯一地方出身なので福岡の仕事はめっちゃ多いですね。なんなら2週間前もこの三人(江﨑、井上、荒田)で来ました。

ー福岡の印象はどうですか。

荒田 太る。食べちゃうから。

井上 太るという印象です。(笑)羽田の時点でみんな夜どこで呑みたいか、何を食べたいかっていう話をしてます。 候補がありすぎるんだよな福岡って。贅沢な悩みですよね。(笑)どこも美味しいし、いろんなものがあるし。


ーこれから、バンドとしてチャレンジしたいことはありますか。

荒田 直近で言うと、さっき言ったストーリー仕立てのアルバムを作るぞっていうのが一番のチャレンジな予感がしていて。音源をそういう風に完璧なストーリーとして作ったことがないのでそこもチャレンジだし、そこに付随する映像作品だったりいろいろ構想しているものはあって。全部新しいことなので、全部チャレンジですね。

ー最後に福岡のファンに一言お願いします。

長塚 今回の福岡でのライブはあいにくの台風で来れなかった方もたくさんいると思いますが、新作をリリースしてパワーアップした僕らをこれから楽しみにしてくれたらなと思います。

井上 WONK単独で来るのはかなり期間が空いてしまったので、これからもっと来ます!

荒田 ライブを楽しんで頂きたいし、今回のライブに来れなくてもまた機会はあると思うのでそこでぜひ来て欲しいし、アルバムも買ってほしい。ストリーミングでもいいし、聞いていただけるなら何でもすごくありがたいです。それと、福岡のおすすめスポットを僕らにも教えて欲しい。(笑)この記事を見られた方、SNSの「#WONK」でおすすめを教えてください。チェックしますので。



INFORMATION

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福岡・天神エリア一帯をまるごとフェス会場にする九州最大級の音楽ライブイベント「MUSIC CITY TENJIN!」。9月28日のRUGBY "MATSURI" PROJECT 2019 FUKUOKA STAGE (福岡市役所西側ふれあい広場)にWONKの出演が決定!WONKファンの方はもちろん、まだ聴いたことのない方も、独創性の高い彼らのライブをこの機会にぜひ楽しんでみてください。

■出演
2019年9月28日[土]
RUGBY "MATSURI" PROJECT 2019 FUKUOKA STAGE
(福岡市役所西側ふれあい広場)

■MUSIC CITY TENJIN 2019
https://www.musiccitytenjin.com/

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    東京を拠点に活動する4人組バンド。メンバーは長塚 健斗(vo)、江﨑 文武(key)、井上 幹(b)、荒田 洸(ds)。2016年9月に全国リリースした自身初のフルアルバム『Sphere』は第9回 CDショップ大賞 ジャズ賞を受賞。ジャズやソウル、ヒップホップなど様々な音楽に影響を感じさせる彼らの幅広い音楽性は多方面から注目されておりデビューわずかながら、2017年夏には第16回 東京JAZZやBlue Note JAZZ FESTIVAL 2017、SUMMER SONIC 2017、FUJI ROCK FESTIVAL 2018等に出演。また米Blue Note Recordsを代表するシンガーJosé Jamesの最新アルバム『Love in a Time of Madness』のリードトラック 『Live Your Fantasy』のリミックスを担当、ヨーロッパ2大都市公演を成功させるなど、国内に留まらず海外からも多くの注目を集めている。
    http://www.wonk.tokyo/

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