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  • 2017.10.20 Fri

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岡島です、恐縮です #01 「ロマンティック・フルーツ」

TEXT BY 岡島 佐和

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岡島 佐和
プロジェクトマネージャー

瓶ビールならサッポロ、ワインなら白、つまみなら鳥刺し派です。音楽なら、古いほうがいいですね。 あ、今日ですか?空いてますよ、今夜なら。

20268

福岡に来て3年、ピーク時は来福時より5キロ体重が増加したことが

原因は増えすぎたお酒の場。

25歳を過ぎた頃から、来福したてで出会いのない自分の身を案じ、職場の先輩から勧められた“一人呑み”をはじめたことを皮切りに、以降覚醒したように飲みの場を楽しむようになったことがきっかけでした。酒場には、決して自分の家で出来上がることのない美味しい料理や、日常では考えられない出会いや事件が溢れ、こんにちの岡島形成にも、大いに影響を与えたのでした。

「隣に座った女性には、1杯おごるのが男ってもんよ」と、ハイボールをくれた船乗りのおじさんからは「昭和の男のマナー」を、DNAを研究しているというご紳士には「ひとのマッチング」について、刑事さんには「防犯と福岡の犯罪事情」を、と言ったところでしょうか。

街では各々の“専門分野”を持つ“先輩方”が今日もどこかで“教え”を授けている。そういえば、お客さんの半数の方々に前歯が確認できなかった場末な角打ちで出会ったおじさんも「酒場は人生交差点や」、とグイッと景気良く一杯やりながら、酒呑みとしての背中を見せつけてくれたっけな。いやほんと、かっこよかった。

これまでに大切にこさえたぜい肉には、私の大切な学びの歴史があり、ムダに太ったわけじゃない。エスプリの効いた女性になるべく、いやむしろ、“肉感”も出ていい感じだ、とちょっと目線はそらしがちに、今日も街に出てみようかと。

それでは岡島行ってきます、恐縮ながら。

「呑むためだけに遠出」、そんな大人に憧れてたどり着いたのは北九州・小倉

歩けば歩くほど、吸い寄せられるようなノスタルジックな魅力ある街並みに、こころはもうほろ酔い、なんて。かつては日本を代表する工業地帯だった北九州。労働者が集まっては、その疲れを癒す酒場が栄え築かれた北九州の酒文化は、いまも脈々と街に残されています。

駅側から街を抜けていくと、旦過市場が見えてきました。北九州の台所と呼ばれる、趣きしたたる市場の雰囲気。早く信号、変わってくれ。

ひまな時分にはよくフルーツパーラーを営む妄想を頻繁にしている私ですが、さっそく、おみちびきではと、運命を感じるほどに目に飛び込んできたものが。

旦過市場入り口すぐにある「森下フルーツ」さんです。

個人的にはこのメロンの出で立ちが愛らしく。

森下フルーツさんは果物の販売・フレッシュジュースやソフトクリーム・パフェを扱うフルーツパーラーのお店です。街歩きにひとやすみする、親子連れやカップルなどで人が途絶えません。メニューは500円玉でお釣りが返ってくるほどのお手頃価格。

岡島:「こんにちは〜」

ひょこっと顔を出したのは、やわらかな表情が印象的なお母さん。小花柄のかわいらしいエプロンをまとい、話すとスローテンポでやさしく話されるお母さんに、実家に瞬間移動したような安心感が(…ただいま)。すかさず、人気の「チョコレート・パフェ」を注文。

チョコレート・パフェ(¥400)の中にはメロン、梨、ラ・フランスなど7種類ほどのフルーツが。

お母さん:「店頭の熟れた果物やから、美味しいはずよ」

果物は一品ひとしなのまぁ香り高いこと。ソフトクリームはミルク感たっぷり、単品でも十分楽しめるコク深い味わい。かと言って、小さいわけでも決してない。

岡島:「お母さん。このパフェ安すぎませんか?」

もう60年ほどは続くというお店、馴染みの常連さんのことを考えると、値段を上げるのはしのびないのだとか。それでもメニューに合う果物を選んだり、使う素材には妥協はしないんだそう。

お母さん:「お客さんが美味しいのが、一番いいじゃない」

お店にいるとお母さんに道を尋ねる人や、手を振ってあいさつする街の人々にたくさん出会いました。その度に満面の笑みで応じるお母さん、このお店が続く理由は、果物やデザートの美味しさだけではないよう。 お店は夜の12時まで開けているそうで、夜になると賑わう、おでん屋台のお客さんや飲みの帰りに立ち寄る人々を受け入れてくれるようです。

岡島:「今度は呑みのシメにぜひ来てみます…!」

意気込むわたしに満面の笑みをたたえ、「またおいで」、と送り出してくださいました。

それにしてもいいな、旦過市場。
約120軒のお店がずらりと並び、昔懐かしの手作業の看板がよく目につきます。香ばしい焼き魚や、お漬物の香り。台所の名にふさわしい、食材溢れる昭和レトロな街。戦前から栄えたという市場は、行けば行くほどに、巡る楽しさとタイムスリップ感に時を忘れるほど。

旦過市場の中ほどまで進むと、新旦過飲食街の入り口に出くわしました。ザ・路地裏がピタリな、ぼうっと白熱灯の明かりが灯る、夜の街。戦後間もなくから続くという飲食街は、2人で並んで歩くくらいがちょうどいい小路。

ひときわ素晴らしいフォントをたたえた看板に、足が止まりました。
「カクテル しろ」、とあります。

近年のスナックブームに、何の抵抗もなく乗っかっている私としては、久方ぶりの違う街の夜を、楽しまない手はない。

ハッとしました。外観からは想像し得ない、まるで宝石箱を広げたような色鮮やかな店内に、思わずため息がこぼれます。踏み入れた異空間に、恍惚とするほかありません。

香水瓶のように並ぶ酒瓶に、作り物ではないかと疑うほどに美しいフルーツもすべてまがいなく本物で、ところせましと置かれています。

「いらっしゃい」と迎えてくれたのは1人の女将さん。キリリとアイラインのきれいな、凛としたお方。

店内にあるフルーツのものなら、どれでもフレッシュ・カクテルを作ってくれるそう。森下フルーツさんでの愛らしいメロンの残像が忘れられなかったのか、メロンのカクテルを注文してみました。注文すると、その場でメロンを切ってくれ、それをジュースに。女将さんがシャカシャカとシェイカーを振り出します。

三角グラスが差し出され、トロッと濃厚なカクテルがなみなみと注がれて。

いわずもがなの濃度の高いメロンの香りと、飲んでいるというよりはいただくというのでしょうか、一口の満足度がとても高いカクテル。それでいて意外とお酒が効いているものだから、これは気づかないうちに酔っちまうやつです。メニューは出していないようでしたが、フレッシュ・カクテルは1杯1漱石といったところ。本格的なカクテルにしては、お安いです。

バーは今年で58年を迎えるそうで、ご夫婦で始められたこのお店も、今では女将さんお一人で切り盛りされているそう。亡きご主人が笑う写真の中に、同じように笑う、若き女将さんもお隣に。

連れ添うどころか、今のところそのお相手にすら見つけられていない受身な私には、連れ添い別れた痛みのほどはまだわかりませんが、改めて「ひとと出会うってなんなんだろう」と恒例のおセンチスパイラルに突入したのでした。

「はぁ…」と頬杖にため息を吐くと、あまり多くは語らない女将さんでしたが、「がんばんなさい」とおもむろにみかんを2つ。帰る背中を押してくれているようでした。

駅へ戻る道、森下フルーツのお母さんは街の人に囲まれ忙しそう。あえて声はかけないで、また会える日を楽しみに。

家に帰りテーブルにみかんを2つ。並ぶみかんにお二人の顔が浮かびます。「魅力的な女性2人、求められる女性とは…」、急に肌寒くなった風に、望まずとも否応なしに迫りくるクリスマス。お年頃岡島、3つ目のみかんになりたいものです。

もらったみかん、甘いといいな。

TEXT BY

岡島 佐和
プロジェクトマネージャー

瓶ビールならサッポロ、ワインなら白、つまみなら鳥刺し派です。音楽なら、古いほうがいいですね。 あ、今日ですか?空いてますよ、今夜なら。

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