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VOICE 来福した旬な著名人にお話を聞いてきました。

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  • 2013.12.15 Sun

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vol.53 ナガオカケンメイ

デザイナー

INTERVIEW

  • ナガオカケンメイ
    デザイナー

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STAFF
AFRO FUKUOKA

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ここにしかない店は、都市を活性化する装置となる。

11/22、「D&DEPARTMENT」福岡店が博多区に登場した。昨今、福岡では中央区の都心部に路面店として展開していたセレクトショップが続々と、商業施設内へと移転していく中で真逆と言えるアクション。今回の出店に対し、デザイン関係者だけではなく地元愛のある人々の期待が一層高まった。その結果、オープニングパーティーは大盛況。以前より出店計画について、ナガオカ氏が話していたとおり「D&Dを目的に出かける人だけをターゲットとした店作り」に惹かれ集まった人達で店が溢れかえった。オープンの翌日、パーティー時の圧倒的な人数や賑やかな雰囲気から、新店舗への確かな手応えを感じているはずのナガオカ氏にお会いした。D&Dに託す思いやデザインへのこだわりを伺う中で見えてきた、そのもの”らしさ”について考えてみたい。

基本的な店のあり方を実現できる、 最適な都市を考えた時に福岡だと思いました。

オープニングパーティーを終えて、みなさんの反応はいかがでしたか?

僕は県民性を知るのがすごく好きなんですね。当日は、福岡の県民性がよく分かる一日でした。それと福岡のパーティーは、大阪でやった時とすごく雰囲気が似ていました。来る人、みんなが知り合いという感じで。友人が、「福岡のクリエイターのほとんどが集まってたよ!」と言ってくれて嬉しかったです。

福岡に出店を決めたのは何故ですか?

「D&DEPARTMENT」は、コミュニティショップだと思っていて、コミュニティショップというのは、品質表示がなくても、知っている人が作ったものだから安心して購入できるのがいい所。地元農家の野菜などが買える、道の駅と同じようなものだと思います。最近になって“コミュニティ”というキーワードをよく耳にするようになりましたが、基本的な店のあり方を実現できる、最適な都市を考えた時に福岡だと思いました。

福岡をどんな所だと捉えていますか?

まだイメージですが、必ず何かを始めるときに自分の知り合いを巻き込んでる気がします。それか最初から、仲間と一緒に何かやり始めている。東京では、そういうことが少ないんです。誰かが突然、新しいことをスタートするし、世界観を作り込んでいくのも個人作業で。口では一緒にやろうと話すんだけど、全く話が進んでいかない。

どこにでもある本屋や花屋、 酒屋や喫茶店などに入ってもらったこと。

ナガオカさんは東京にいらっしゃいますが、そんなイメージがないですよね。

僕は、東京のスタイルが染みついているから、その感覚が分かるんです。ただ、東京のスタイルには違和感を感じていて。そもそも、“コラボレーション”という言葉は、大都市であるニューヨークや東京など人と人とが交わっているようで交わっていないような所で生まれたもの。本当の意味で、コラボレーションしているのは福岡のような場所だと思います。一度人と繋がると長く、とことん一緒にやっていく。他人の価値観やアイデアが交差している部分に対し、価値を見出している。僕は、重なった所が見せかけでしかなくて、重なっていない部分でどうビジネスするかということばかりに気を取られている人は苦手です。だから最初から、地方で展開する時は地元の人との協業スタイルがいいと思っていました。

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福岡は、東京と大阪に続いて直営の3店舗目だそうですね。

店を始めた頃は、僕のスタイルを誰かに絶対真似されたくないと思ってたし、真似出来るはずがないとも思ってました。その頃、フランチャイズ展開の誘いも多く、ずっと断っていたんですが、北海道店をやり始めてから考え方が変わりました。北海道店は、47都道府県に一カ所ずつ現地のパートナーと共に拠点をつくる「NIPPON PROJECT」の第一号店。パートナーはデザイン会社の「3KG」なんですが、僕の店らしさとか、崩したくない部分を汲んでくれながらも個性のある店にしてくれた。それ以来、地方にこんな店を作れば、“地元らしさ”を整理することができると思いました。「D&DEPARTMENT」は、地元の人が集まって自分の住む土地の特徴について考える、都市を活性化する装置になり得ると。そう考えて、これまで抱いていたブランド意識を捨てました。福岡は直営店ではありますが、その土地らしさは大切にしています。

福岡店の特徴とも言える商品は何ですか?

「小石原ポタリー」の器のように、伝統工芸に若いクリエイターがプロデュースで入って作られた、現代的な暮らしに沿ったものはすごくいいなと思っています。そして最も、特徴的な所を言うと、どこにでもある本屋や花屋、酒屋や喫茶店などに入ってもらったこと。本屋は「ブックスキューブリック」に入ってもらっていて、馴染み深い書店員さんが提案している本を通し、今ここにある日常性や土地の空気など福岡の魅力を伝えられたらいいなと思っています。

製品そのものだけではなく、コーディネートする人のセンスまでも扱っている所が面白いですね。

本当は、最初から誰かとコラボレーションして1つの大きな店を作りたいんですよ。ただそれは、すごく時間が掛かることだし、妥協できない所も出てくるから…。今は、絵の具のパレットのような小さな受け皿に、徐々に好きな色を出していって最終的には全部混ざり合う感じがいいなと。オープン当初は、商品がコーナーごとにしっかり整理されていたのに、いつの間にか様々なものが混ざり合う。もう少し時間が経ったら、奥にある「プラセール」の原生蘭がバーっと店頭まで出て来たりして。僕は、基本のスタイルを作っただけで、これから3〜4年くらいかけ、スタッフがやりたいことを形にしていってくれたらいいなと思います。

ダメなものがあれば、 一緒になってメーカーにクレームをつけに行きましょうと。

個性的な商品ばかりが揃っているからこそ、接客サービスで大変なことはありませんか?

開業時、スタッフには「ここに来るお客さんは普通のお客さんじゃない。アクセスが不便な所にあるこちらを目的地としてやって来る訳だから、かしこまった接客をしてはいけません。家に友達を招くような気持ちで対応してください」と話しています。ここでは、お客さんと僕ら売り場にたつ人間とが共同で、ものの良し悪しを吟味する時間をつくりましょうと。それでダメなものがあれば、一緒になってメーカーにクレームをつけに行きましょうと。

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メーカー側としては恐ろしい話ですね(笑)。そういう考え方を理解する人達がここに集まって、お店の方とじっくり話して帰るんですね。

僕は、飲食事業には全く興味がなかったんだけど、こんな所までわざわざ来てくれたお客さんにお茶の一杯も出さないのはよくないなと。それで必ず、出店の際は飲食業態を一緒に出すようにしています。

僕が大切にしているのは形の美しさではなく、 使い勝手を追求して作られているかということ。

「D&DEPARTMENT」のバイイング基準として、「美しいこと」があるそうですが、ナガオカさんにとってそれはどういうことですか?

機能美ですね。僕が大切にしているのは形の美しさではなく、使い勝手を追求して作られているかということ。例えば、船のプロペラのデザイン。あれは機能を突きつめて考えた結果、あの形になっている。デザイナーって、やはり始めは表層的なデザインから入るし、美しく見えるものを自ら作ってしまいがち。ただそういうものは、形がキレイでも使い心地が悪いこともある。物づくりでは、自分が使ってみて、より良い形に改良しながら納得のいくものを世の中に提案するのが大事だと思います。

ロングライフデザインをテーマとしているナガオカさんですが、ご自身の愛用品は何ですか?

いつも着けている時計が大好きですね。ただそれを着けてることが普通すぎて、着けていくことを忘れてしまうことがあります(笑)。「スウォッチ」のスキン・クラッシックというシリーズのもので、すごく軽いんです。このブラック・クラシネスのタイプは、これまでに無くしたり、人にあげたくなってあげたりして、かれこれ50本くらい買ってます。そのうちの10本は道に落としてますが。これは、オススメですね。

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それと僕はクルマも好きで、普段メルセデス・ベンツに乗っているんですが、「W124」は完全な機能美を持ったクルマ。それは、美しいクルマの形を作ろうとしたものではなくて、安全性も機能性も考えられていて、最上級の上質なセダンを目指した結果があの形だったという。

最後に、今後福岡で新しくやりたいことはありますか?

ん〜、それがないんですよね。福岡へ、「D&DEPARTMENT」の装置を取り付けることができたので。今は、地元の人たちがここに集まり、その装置の基本機能を使いながら新しくこれを追加してみようとか、これはやはり必要ないですねとか、そんなやりとりを続けていって欲しいです。僕は、福岡の人がこの装置をどう使っていくかを想像するのが一番ワクワクすることなんです。

INFORMATION

D&DEPARTMENT FUKUOKA
福岡市博多区博多駅前1-28-8 2F
営業時間 ダイニング:9:30〜21:00(LO 20:00)ショップ:11:00〜21:00
定休日 水曜
http://www.d-department.com/jp/

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