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  • 2017.8.3 Thu

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今年のお盆の手みやげは?福岡のクリエーターが手がける、「博多土産」の新定義

TEXT BY 岡島 佐和

TEXT BY

岡島 佐和
プロジェクトマネージャー

瓶ビールならサッポロ、ワインなら白、つまみなら鳥刺し派です。音楽なら、古いほうがいいですね。 あ、今日ですか?空いてますよ、今夜なら。

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ようやく夏本番が始まったと思ったら、
あっという間にお盆シーズンが迫り来ていたわけで

夏本番がいよいよスタート。早くもせまるお盆の時期、帰省や旅行、いつも会えない家族や友人に会いに、遠出をされる方も多いのではないでしょうか?

大切な人にあげるお土産って、いつも何を買っていますか?私は毎年趣向をこらそうと博多駅をぐるぐると小一時間悩んでみるのですが、結局のところ定番を選びがちです。みんなもちろん大喜びしてくれるけど、ド田舎出身の私としては、アカ抜けたアーバン感をそれとなく地元人にアピールしてみたい。今年こそは…

そう意気込みはじめていた今日このごろ、いつも悩み回る博多駅の博多阪急でなんともアーバンな「新しい博多土産」を提案するイベントが行われるとか。悩み歩き続けたこの数年、やっと心待ちにしていたイベントの開催が本当に喜ばしい…!

イベントには福岡のクリエーターが手がける2つのバッグブランドが参加。手軽に手土産にできる軽くてコンパクトなプロダクトが展開され、購入できるというもの。「福岡の人 do you know fukuoka?」というイベント名のもと、クリエーターから直接プロダクトを購入できる機会もあるのだとか。

さっそくお土産できるというバッグが気になったので、クリエーターのお二人に、プロダクトのこだわりや、バッグの楽しみ方を聞いてみることに。

[PROFILE]

植村 浩二 Kouji Uemura
福岡市中央区今泉のセレクトショップ「PARQ」のオーナー&デザイナー。日本に古くから伝わるふろしきを縫い合わせた新しいあづま袋「AZUMA」のプロデュースをはじめ、その他「thinq」「fit」などアパレルブランドの企画・デザインを手掛ける。
http://azumabag.jp/

山内 健太郎 Kentaro Yamauchi
厚手の不織布を素材にしたパロディライン「unnun」をはじめ、「矛盾あるデザイン」をコンセプトとしたバッグブランド「KaILI」を展開する。福岡市中央区平尾にアトリエを構えるデザイナー。
http://unnun.jp/

ーバッグ制作のきっかけとなったアイデアソースはなんでしょうか?

[ 植村さん、以降敬称省略 ]
自分の目で見て、耳で感じたものをデザインのソースとしていることが多いです。AZUMAは江戸時代から伝わる日本の伝統的な風呂敷を縫い合わせ生まれたあづま袋を、機能的デザインで再構築した新しいあづま袋がこのAZUMAです。 僕が作り出した新しい形のプロダクトというわけではなく、旧き良き伝統を活かしこれからの時代に向けた発想のもと生まれました。僕は子供の頃は剣道(武道)をしていて、手ぬぐいや風呂敷といった日本の伝統的な道具に触れる機会がありそんな道具がある傍らで、現代の日本には別のものが取って代わって普及している。そこに違和感を感じていたことが、AZUMAの発想に至ったきっかけのひとつです。

[ 山内さん 、以降敬称省略 ]
素材には厚手の不織布を使用しています。鞄業界に携わる者としての認識では、この不織布はカバンの芯材に使われる素材で、部分的に張りを持たせる役割や、生地に裏張りをすることで、くたっとした鞄を自立させる役割があります。しかし、生地の風合いには各々良さがあるわけで、使う生地と鞄の仕上がりのギャップを埋めるために芯材使うことは素材自体に張りぼてを塗り固めることと同じように感じ、違和感がありました。それなら芯材自体が表に出たら面白いんじゃないか、という発想から生まれました。不織布はあまり表立って使われる素材ではありませんが、強度も透過性もあり機能的で魅力的な素材。さらに形についても定番の鞄や日常よく見かける形のものをこの素材で作り替えることで、違う解釈ができるのではという発想が「unnun」のスタートです。

ーバッグの面白みや特長は、どんなところでしょう?

[ 植村 ]
僕のクリエイションの大きなテーマである「機能美」を考え尽くしたプロダクトということです。AZUMAが新しいデザインとして評価されているのは持ち手とベースの生地を切り替えているところ。持ち手は結び易く持ちやすいようにコットンを、袋は丈夫で撥水もするナイロンを使用しています。また色は、“ワーク / ミリタリー / ドレス”という様々なファッションシーンに想定される配色を採用することで、どんな人にも必ず満足してもらえるように工夫しています。 今回、8月に発表し、新しくお披露目するTASUKI のたすき袋も、AZUMA 同様に機能美に優れた袋で、きっとさらに楽しく満足していただける製品になっていると思います。

[ 山内 ]
デザインは元ネタとなる汎用品をベースに、日常使いを考えポケットをつけたり、形が際立つようにできるだけ簡素化したりすることで、実用性とファッション性のバランスをとっています。普段見慣れすぎて、デザインとしての美しさが見落とされているものをモチーフに、デザインを見直してもらい、楽しんでもらえたらと考えています。

僕は自分が違和感を持つものや一般的に好まれないものが発想のきっかけになることが多いのですが、マイナスイメージを、モノづくりというフィルターを介してプラスのイメージに転換できることが、僕なりのモノづくりの面白さだったりもします。 ちなみにパッケージは雑誌の付録のパロディーです。付録の概念は、商品として生まれた僕のプロダクトとは性質が異なるものの、クオリティを追求することと異なる点に価値が置かれたプロダクトの存在に少し皮肉の意味を込め、このパッケージにしました。

ーどんなひとがバッグを楽しんでいる印象ですか?また、その反響などはいかがですか?

[ 植村 ]
AZUMAは老若男女問わず、みなさんに楽しんでもらっている印象です。そう言えばAZUMAについて一度新聞に掲載して頂いたことがあるんですが、その記事を見てくださった70代の女性から問い合わせがあったことが。その時は、AZUMAがどれだけ一生懸命、使う人のことを考え尽くして作られたのかをお伝えました。女性からは「がんばんなさいよ!」という心強いお言葉をとともに、商品もお買上げいただけました。ただかわいい、かっこいいという感覚的な価値でなく、機能美を追求し、その熱量が伝わったことが何よりうれしい出来事でした。

[ 山内 ]
こだわりのある方は多い気がしますね。バッグは「見たことない」、と言ったような真新しさが評価されることが多いです。でもその“真新しい”と感じて頂いているデザインは、あくまでも既存のデザインがベース。そこに自分が新しいエッセンスを取り入れたことで新鮮な感覚を感じてもらえているのなら、うれしい限りです。

[ 植村 ]
山内くんのバッグは同じ作り手の僕から見ても、「この素材でよくここまで作り上げられてるな」と本当に感心させられるクオリティのプロダクトです。一見温度感を感じない平然とした表情のバッグではありつつ、実は裏の部分がしっかりと作り込まれた熱感のあるバッグだと、僕は思ってます。

ーお二人のバッグの楽しみ方を教えてください。

[ 植村 ]
どんなアイテムをどうファッションとして使うかは、ひとによって自由でいいと思います。ただ芯はやはり使われることでの機能美だと思いますし、大切なのはその機能美をどう楽しめているか、ということだと思います。僕自身も、このAZUMAでやりたいことはおそらくは「ファッション」ではないのかもしれない。あくまで楽しい気持ちになってもらうための商材、それがバッグ、ファッションだったということですね。

[ 山内 ]
落書きしてみたり、シルクスクリーンしてもらったりと、使う人の発想を膨らませるようなボディーとしても使って欲しいですね。素材に関しては強度を心配されることも多いのですが、「最強に丈夫なものが最上にいいものである」とは限らないと思っています。求められる全てを持ち合わせる万能な鞄などないわけで、素材の良し悪しを理解したモノづくりをすることが重要だと思います。不織布についてはまだまだ未知なる部分が多いですが。また、素材が不織布というだけで縫製方法には最大限気を遣って丈夫に作っています。肩肘を張らずに汚れることすら楽しんで頂きたいですね。

ー活動の場としての福岡は、どんな場所だと感じますか?

[ 山内 ]
実はこの活動を始めて、また福岡に帰ってきてからはまだ1年ほどなのですが、植村さんはじめ周囲でモノづくりに携わる人は本当に多いですね。その人たちに刺激を受けたり、アドバイスを頂いたり、共同でモノづくりを行う機会にも恵まれました。作り手同士が互いに好意的に受け入れ合うような「人の温かみ」ある場所であることを、最近は特に感じているところです。

[ 植村 ]
ここ、「PARQ」は人と人とが交差する場所という意味で作り上げた場所。福岡の町で実際僕の周りには素敵な人が沢山いるしいろんな繋がりある人から刺激をもらえてるんです。モノづくりで悩んだことなんてないほどです。福岡には古着屋、大手メーカー、セレクトショップなど様々な展開がありますが、みんなが仲良い。コミュニティの強さは特長的なところだと思います。

ー福岡のクリエーターの方の印象には、どんなものがあると思いますか?

[ 山内 ]
まだまだ駆け出しの僕が口にするのもおこがましいですが、福岡ブランドの一体感というのはとても強いと思います。福岡の都心との丁度良い距離感、「福岡だからできること」というのは感じますね。

ー今回の博多阪急とのイベント「福岡の人」開催のきっかけとなったできごとは何だったんですか?

[ 植村 ]
実は今回声をかけてくださった博多阪急の担当の方が、ありがたいことに僕のブランドを支持してくださったファンのお一人でした。福岡には実は優秀なクリエーターが多く、それを知ってほしいという博多阪急さんのかねてからの想いと、お盆の時期で九州各県から人が集まるこの時期に博多の新しいお土産を提唱したいと、担当の方が考えていらっしゃったタイミングに偶然お会いしたことがきっかけです。

ー大手百貨店と個人で販売されている方による共同のイベント、面白いタッグだな、と思っているんですが、イベントに関してはどう感じていますか?

[ 植村 ]
作家とのタッチポイントを大手の企業さんが作るという試みは、本当にありがたいです。想定していなかった層の人が僕らのプロダクトに触れて、ファンになってくれるかもしれない。互いのファンが入り交じる可能性が生まれることはとても素晴らしいと思います。今回の山内くんとのタッグも、世代が違う中で、リンクし合えるきっかけでもありますので、非常に意味のあるイベントだと思います。

[ 山内 ]
同感ですね。お盆の時期に様々な人の目に触れるというのはブランドとしてとてもありがたいことです。

ー「福岡の人」は、みなさんにとってどんなイベントにして欲しいですか?

[ 植村 ]
福岡のプロダクトの良さを、まずは僕らのプロダクトから知ってもらえたらと思っています。共通して言えるのは二人のバッグはリーズナブルなこと。だから気兼ねなく、ガンガン使ってほしいです!いかに丁寧に作り込まれたプロダクトかということを、よりたくさんのひとの手に触れてもらい、実感してもらえればうれしいです。

[ 山内 ]
福岡は作り手と話し、作り手から直接購入できるような場が多い街だと感じています。今回のイベントは、まさにそのコミュニケーションが実感できる機会。たくさんの方とお会いし、お話できたらと思います。

______________
[AFTERWORD]
ネットでなんでも買える時代に、わざわざ足を運んで店主に会い、話し、そこでしか買えないものを買う。買い物や飲食という行為に、コミュニケーションを楽しむという付加価値を見出す消費者が、福岡の街に活気を与えているよう。

今回のイベントはそんな福岡のムーブメントに寄り添った、博多阪急の新たな試み。博多の真ん中で実現する“福岡コミュニケーション”の再現に期待は早くも高まるばかり。今年はバッグとイベントの土産話を携えて、いつもとはちょっと違ったお盆にしてみるのもいいかもしれませんよ。

ちなみに私も新たな博多土産を引っさげて、「福岡にはこがんバッグのあるとね、おっとろーし!」と長崎弁を流暢に話す母に、軽めにドヤ顔をキメこむ予定です。

[EVENT INFO]
「福岡の人 do you know fukuoka?」
●日程: 8/9(水)~15(火)
●場所: 博多阪急1階 ウェルカムホール
●営業時間:
∟日~木曜日 あさ10時→よる8時
∟金・土曜日 地階~4階 あさ10時→よる9時、5階~8階 あさ10時→よる8時
※8月10日(木)~14日(月)の地階~4階はよる9時まで
●住所: 福岡市博多区博多駅中央街1-1
●電話: (092)461-1381 博多阪急 代表

TEXT BY

岡島 佐和
プロジェクトマネージャー

瓶ビールならサッポロ、ワインなら白、つまみなら鳥刺し派です。音楽なら、古いほうがいいですね。 あ、今日ですか?空いてますよ、今夜なら。

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