福岡の今をあれこれ更新
スキあらば呑みに出かけては、化粧を落とすことすら忘れ、リュックは背負ったまま、気がつけば朝が来るという嫁入り前にしては随分親泣かせな生活を送る娘になってしまいました。
知ってか知らずか、“娘”の表現も危うい最近、実家に帰れば「佐和ちゃんも結婚するんだし、お金貯めとかなきゃ」と洗濯物を畳みながら笑う母と「マタニティの服もう使わないけど、とっといていい?」と、また母のように笑う姉に挟まれるように。
苦笑いで逃げ戻った福岡では、それがまた妙なつまみになる。お母さん、明日から“いろいろ”頑張るから、今日だけその件、置いといていいですか。ちょっと、外の風にでもあたってこようかな。
ということで今回も参ります、恐縮ですが。
“かつての青年”たちと肩を並べては、珍しく現れた“若い娘”だと、チヤホヤとして頂ける場所。「俺が若けりゃ絶対ほっとかないね」とタラレバ話に一体どれだけの花が咲いたことやら。
角打ちといえば、北九州は言わずと知れた有名どころ。1901年の官営八幡製鉄所の開業から栄え、北九州工業地帯の労働者たちにより築かれた角打ち文化ですが、時代を共にしてきた古き角打ちは、今でも北九州の街に息づいています。
うんちくを語るとまた、「かわいげがない」と婚期に逃げられそうなので、ここはサクっとのれんをくぐって。
99年も続く角打ちでは老舗のお店。以前は八幡製鉄所の労働者たちもよく訪れていたんだとか。
昼間っから賑わってますね〜。店内にいらっしゃるお兄さん方は、どこか1点をしきりに見つめている様子。競馬のお時間のようです。
入り口のレンガは、これまでに人が多く出入りしたことですり減ったんだそうですよ。
店内に飾られている看板。絵のモチーフに、時代を感じますね。
お酒は高いほうでも1杯は300円台。おつまみは小袋の乾き物から、焼き鳥やコロッケなど惣菜のバラ売りも。お値段は駄菓子屋さん価格。角打ちはどのお店もだいたいはこのような価格帯のよう。
うれしいことにお客さんが持ち込みしたという塩ゆでのお芋も頂いちゃいました。
「最近角打ちに行き始めたんです」と語ると、おすすめの角打ちを教えてくださる常連さんも。ポケットから紙を取り出し、お店を書きとめてくださいました。
裏はちなみに。
店の奥の方で“ディスコのステップ”がチラつきました。自らを“イケメンのおじさん”と名乗るその人は、何度撮ってもピントが追いつくことはありませんでした。
「歳じゃない、気持ちよ」、とアツく語り、「笑って飲んだほうが良いでしょ」と瓶を一本開けてくれました。またその横ではお店のお母さんが、小銭を落とした常連さんに「もっと落としてもいいのよ」とおちゃめに小踊り。
「…自由だ」。お店の器の大きさにひたり、100周年、僭越ながらお祝いに行くと心に決めて。
先ほどのおすすめのお店リストに導かれ、小倉へ戻り旦過市場の「赤壁酒店」さんへ。闇市時代から70年ほど続く、こちらも老舗のお店。
恐縮ですが早速いただきます、アニキ。
ここではお店のお母さんに、“本来の角打ち”について教えて頂きまして。「角打ち」と「立ち飲み」は違う、というお話。
角打ちはあくまでも「酒屋さんが売っているお酒をその場で提供する場所」、立ち飲みは「飲食店がお酒を振る舞う場所」という違いだそう。
角打ちではあくまでも“サクっと”がマナー。お酒の売値で場を提供する場所なので、極端に言えばコンビニでファイブミニを朝買って、クイッと飲んで出社するような場ってことです。コンビニに、長居はしませんよね。
あまりにそれは上級者ですが、買って10秒チャージ、そのまま颯爽と街に溶け込んでいくイカした方々も珍しくないそうです。「飲食は30分以内でお願い致します」、マナーをキメてお酒を“嗜む”大人、かっちょいいと思います。
瓶ビールならサッポロ、ワインなら白、つまみなら鳥刺し派です。音楽なら、古いほうがいいですね。 あ、今日ですか?空いてますよ、今夜なら。
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