福岡の今をあれこれ更新
鉄なべさんから歩いて数分、ぼうっと灯る「餃子」の文字。のれんをくぐらず通り過ぎるということが、今夜に限りあるはずがない。
今回お伺いしたのは黒崎店でしたが、中間市に本店を構える東天紅さん、創業は昭和32年だそう。戦後、創始者が長崎大学水産学部に在学中、実習船で航海をしたそうなのですが、なんと中国に捕らえられてしまい、抑留生活を送ることに。しかしその地で中国の大衆食であった「餃子」に出会い、その味を持ち帰ったことが始まりだそうです。どんな経験が宝になりうるか、人生は奇なり。
ここでも早速。「大事なのは中身」ともよく言うけれど、見目麗しいのは人も食事もやはり魅力的なのでしょうか、美しく整列する端正な餃子のたたずまいに、うっとり見惚れてこれまた目が点に。思わず現れたときから心を掴まれました。包みもこんなにきれい。これで“中身”も良しなら、最高だな。
最高でした。焼餃子(¥490)は少々もちっとした皮に、ジューシーな中身。こちらも同じ一口餃子ながら、鉄なべさんとはまた違った魅力が。ビールを一口あおりたくなる、あんの余韻が楽しめます。“恋人選び”というのも簡単じゃないですね、みんな違って、みんないい。こうも魅力的な餃子が多いと、ビールも困ってしまうのでは。
ここでもスープ餃子への誘惑に負け注文。鶏ガラベースのスープ餃子は、食後にシメまで味わえます。すっかり深夜に昆布茶を出せるぬかりない女性のような要素も持ち合わせているものだから、「おぬし、やるな」でやられたり。
夕暮れ時はすっかり過ぎ、ネオンが所々に灯る街を帰ります。冬であったこともどこ吹く風、風のようにまた駅まで戻る足が不思議と進んでいきます。
「寒いっていいな」、あたたかさがありがたく思えます。あたたかさが際立つ冬、実は結構好きだったりします。夏は聞き捨てならなかった“あの曲”も、自主的に選曲してみたりして。
“たくさんのわたしを知っているつもりだけど、油断しない”、そんな男性はいまはどこで何をしているのでしょうか?どこかで旅をしているかもしれないし修行をしているかもしれない、ひとり山奥を冒険しているかもしれないです。どんなひとかはわかりませんが、もしも世の中にいるのなら、“わくわく”してまた一杯ひっかけちゃいそうです。
わたしは餃子、ビールはどこにいるのでしょうね。
瓶ビールならサッポロ、ワインなら白、つまみなら鳥刺し派です。音楽なら、古いほうがいいですね。 あ、今日ですか?空いてますよ、今夜なら。
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